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『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

翻訳  朴ワンソの「裸木」4

2013-03-20 00:01:19 | 翻訳

 

Dsc03481


 

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「ハーイ」<o:p></o:p>

 

「ハーイ」<o:p></o:p>

 

「グッド モーニング」<o:p></o:p>

 

「グッド モーニング」<o:p></o:p>

 

 朝の挨拶が弾けるように飛び交う売場を横切っていると、肖像画部の方から崔社長がさっと手を挙げ、私を喜ばせた。私は曖昧にとりあえずぺこりと頭を下げた。<o:p></o:p>

 

「早くいらっしゃったんですね。今日はもう土曜日でしたっけ」<o:p></o:p>

 

 私がまだわけがわからず、まごまごしていると、<o:p></o:p>

 

「なんで私が勘定の日しか出て来ないと思うんだ? 時々奇襲して事務の監査をしなければならないだろう?」<o:p></o:p>

 

 彼は、毎週11週間の間に稼いだドルが支払われる土曜日にニコニコして現れるのだった。事務室で売場使用料として2割差し引かれても、まるで手品のように驚くべき分量の原画に化けた。<o:p></o:p>

 

 明らかに今日は土曜日ではないのに、彼は気分がとても良さそうだった。彼は気分の良い時はいつもこうして威張りたい様子だった。耳学問で事務監査だなんだっていうのだ・・・<o:p></o:p>

 

 崔社長の横には彼とは対照的に堂々とした大柄な中年の男が照れくさそうに笑っていた。<o:p></o:p>

 

 染めた軍服を窮屈そうに着ている彼の顔は一種の善良さ、愚かではない善良さで堂々としていた。<o:p></o:p>

 

 彼の立派な体格と憂鬱でない表情によって、横の崔萬吉が一層矮小で、そしてさっぱりした洋服と赤いネクタイが急に浅はかに見えた。<o:p></o:p>

 

 私はそんな奇妙な対照が愉快で、彼に対して笑いかけたり、机の引き出しから仕事を取り出して、期限の迫っているものから順番に4人の絵描きの仕事をおおまかに分けてみた。<o:p></o:p>

 

「ちょっと、ミス李」<o:p></o:p>

 

「はい?」<o:p></o:p>

 

「今日から画家をもう一人使うことにした」<o:p></o:p>

 

 私はびくっとして二人をもう一度振り返ってみた。<o:p></o:p>

 

〈あいつもあの年でやっと絵描きなんだ〉<o:p></o:p>

 

「玉喜も才能だ・・・」<o:p></o:p>

 

 崔萬吉はわりと無造作にそのたくましい男の腰を後ろからぽんとたたいた。しかし崔社長の体格がもともと小さいせいで、滑稽に見えた。<o:p></o:p>

 

 ちょうどその時、昨日絵描きたちにもっと絵描きを使わなければと脅したことが、本意ではなかったが的中してしまい、私は奇妙にも苦しまざるを得なかった。<o:p></o:p>

 

 4名の絵描きの8つの視線が一斉に私の横顔を鋭く刺した。<o:p></o:p>

 

「近頃、仕事がそんなに多くないんですが・・・4名だけでも・・・十分で・・・」<o:p></o:p>

 

 実際に絵描きに聞かせるように大きい声で抗議しようとすると崔社長が素早く、<o:p></o:p>

 

「ああ何だと。この肖像画部の主人は俺じゃないのか。俺の趣旨は最初から不遇な芸術家を一人でも使い、更にまた不遇な芸術家に・・・」<o:p></o:p>

 

「うっふふ」<o:p></o:p>

 

 私は不遇な芸術家という言葉につい吹き出してしまった。<o:p></o:p>

 

 彼は絵描きを新しく連れてくる時は必ず悲壮なまでに〈不遇な芸術家〉と主張し、取り替えるときには〈酷いペンキ屋〉に変わるのが常套的な言い方だった。<o:p></o:p>

 

「笑うのは・・・え・・・またそういうことだから、ミス李もそこをわかって俺の意を酌んで、不遇な芸術家のために作業の実績が上がるように努めてくれ。仕事でミス李の手腕如何にかかることはないかな」<o:p></o:p>

 

 それは、絵描きが10名に増えてびくっとすることもないけれど、茶碗一杯のご飯に家族が増える境遇なので、絵描きだけが損する。そんな絵描きが気の毒で、一枚でも多く注文を受けようと頑張っている間に、私も気が付かないうちに米軍を扱う手際のようなものがうまくなった。<o:p></o:p>

 

 崔萬吉がこっそり絵描きの数を増やすという腹積もりもまさにそんなことだった。とにかく絵描きが増えるに従って少しずつ仕事が繁盛して崔萬吉の収入も一緒に増える一方なのだった。<o:p></o:p>

 

 新しく来た絵描きに対するわずかな好意は、滑稽なことに収まってしまった。<o:p></o:p>

 

 結局、このたくましい男も私の肩にぶら下がる、また一つの荷物に過ぎなかったから。<o:p></o:p>

 

「ミス李」<o:p></o:p>

 

 崔社長は突然囁くように小声で私を呼ぶと、<o:p></o:p>

 

「ミス李もちょっと化粧したら、素敵になるだろうよ。ちょっと派手に冷たい感じに。変身すればいつかこの売場で目立つことができるよ」<o:p></o:p>

 

 一体全体この男は私にどうしろというのか。そうして見ると、この小さい男こそ、私にぶら下がった、どんなにかしつこく頑丈な荷物であることか。<o:p></o:p>

 

「じゃ、ミス李、俺は忙しいので行かなければならないんで、えーとどうするかな。まず椅子だけ新しく用意してやって、シャジンに言って臨時のパス(入場許可証)でも出してもらうように、じゃ頼んだよ」<o:p></o:p>

 

 まず雑巾とか空き缶とかたらいとか肖像画部の独特の汚れた物が人目につかないに間仕切りの後ろにおいてある所から、まず古い椅子を探し出して彼に勧めた。<o:p></o:p>

 

 とにかく、どっしりした尻の下で古い椅子がぐらぐらするや、彼は体を少し上げてもう一度座り直して楽に体の中心を固定させた。<o:p></o:p>

 

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