『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想48  風雪の檻―獄医立花登手控えー

2013-01-16 14:04:25 | 小説(日本)

 

 

著者       :藤沢周平<o:p></o:p>

 

生没年      :1927年誕生 1997年死亡<o:p></o:p>

 

出身地      :山形県鶴岡市<o:p></o:p>

 

初出       :1980年「小説現代」掲載<o:p></o:p>

 

単行本として出版 :1981年 講談社<o:p></o:p>

 

著者の主な受賞歴   :<o:p></o:p>

 

1971年「溟い海」で第38回「オール読物」新人賞<o:p></o:p>

 

 1973年「暗殺の年輪」で69回直木賞<o:p></o:p>

 

その他、吉川英治文学賞、芸術選奨文部大臣賞など<o:p></o:p>

 

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感想<o:p></o:p>

 

 立花登は小伝馬町の牢獄で働く医者で、町医者の叔父の家に下宿している。柔術の使い手で鴨井道場の三羽烏と呼ばれている。これは、立花登が牢獄の囚人の世話をする中で様々な事件に巻き込まれ解決していく物語である。江戸時代の獄医の目を通した人情捕物帳である。<o:p></o:p>

 

5話から構成されている。簡単に物語を紹介すると次のようになる。<o:p></o:p>

 

1話 老賊<o:p></o:p>

 

 牢に盗みの罪で捕われた無宿人の捨蔵は死病にかかり、余命いくばくもない。その捨蔵に娘を捜してくれと頼まれた立花登は、娘のおちかを訪ねる。おちかは長屋から長屋に何かに追われているように転々として行方がしれない。そうした中でおちかを捜している男がいることに気付く。立花登自身、おちかを探しながら何者かにあとをつけられていた。<o:p></o:p>

 

2話 幻の女<o:p></o:p>

 

 小伝馬町の牢で島に送られる日を待つ30過ぎの巳之吉(みのきち)は、幼馴染のおこまと所帯を持ちたいと思っていたが、18歳で別れたきり消息がわからないと言う。巳之吉の語るおこまは控えめで優しい女だ。巳之吉に同情した登はおこまの消息を探る。<o:p></o:p>

 

3話 押し込み<o:p></o:p>

 

 両国橋の南河岸にある水茶屋で三人の若者を見かける。その三人が悪徳の足袋屋川庄に押し込みに入る計画を立てていることを偶然登は耳にする。川庄から追い出された病身の嫁おしずに対する義憤からだ。しかし、三人の押し込みの計画に便乗して本物の盗賊が動き出していた。<o:p></o:p>

 

4話 化粧する女<o:p></o:p>

 

 与力の高瀬甚左衛門が囚人の房五郎に定法を踏まない牢問を加えている。牢医も徒目付の立ち会いもなく、高瀬が単身で行っている。房五郎は血まみれになりながらも、高瀬の拷問に屈しない。房五郎は吟味が終わりお仕置きを待っている囚人なのにさらに牢問(拷問)を加えるのは理屈に合わない。<o:p></o:p>

 

登は高瀬に牢医の立ち会いを求める一方で、房五郎の女房を訪ねる。女房はつぎはぎの着物を着て化粧もしない質素な若い女であった。ある日しゃれた白い浴衣に派手な化粧をした女を見かける。房五郎の女房だった。<o:p></o:p>

 

5話 処刑の日<o:p></o:p>

 

 大津屋の妾が殺され、そばに出刃包丁を握っていた主人の助右衛門が捕縛された。助右衛門は終始無罪を言い立てていたが、しまいに白状し死罪の言い渡しを待つ身である。養女のおゆきに頼まれ、事件を調べ直す登は、大津屋のおかみと手代の新七が船宿から出てきたという話を小耳にはさむ。(201319日読了)<o:p></o:p>