題名:街道をゆく2 韓のくに紀行 作家:司馬遼太郎
発行年(初版):1972年 出版社:朝日新聞社
定価:620円(税別)
≪本書の位置づけ≫
古代の加羅、新羅、百済の地を訪ねる古典的な紀行文であり、旅行者にとっての必読書。
それまで知られていなかった日韓の多面的な交流と、文化の異質性に言及した文化論。
たとえば次のようなこと。
対馬が担った朝鮮半島と日本の外交の綱渡り。朝鮮の役で日本軍から脱走し朝鮮のために戦った沙也可。百済滅亡後に日本に亡命した一族のその後。伽耶に住んでいた人々と倭人のこと。李舜臣将軍の再評価と日本海軍。儒教文化と武士の文化の違いのこと。などなど。
≪感想≫
もう40年ぐらい前に書かれた本である。今読んでも古代や中世、近世の日本と朝鮮半島の関係が生き生きと浮かんでくる。そして現代の日本と韓国の関係も痛みとして浮かぶ。百済の故地を訪ねた後は、百済からの王族や亡命者が住んだと伝えられる日本の各地を旅したくなる。沙也可の謎は今でも魅力的だ。どこのだれなのか?
40年前に司馬遼太郎が指摘した日本人に対する韓国人の感情は少しは改善されたのか、それが唯一の気がかりだ。
2011年8月15日読了