ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

松竹座のヤマトタケル3

2005-05-18 00:15:17 | ヤマトタケル
●5月5日昼の部

右近さんタケル初日@松竹座
この日は、右近さん、すごーくテンポを上げてる感じでした。
前日の、なんとなく全体的に濃い?と感じたことと合わせ、
大阪バージョンなのかな~と思ったり・・・
三幕、場面転換で暗転幕が下りないというアクシデントもあったのですが
(右近さん、さすが咄嗟に見事な処置でした!)
終わってみればそんなことは、何もなかったかのような
熱いエネルギーの凝縮された舞台でした。

この昼の部は花横ブロックでの観劇でしたが、いつもあまり
しっかりと観ることの出来ない、花道居所での役者さんの表情を間近に観る事が出来
とても良かったです。演舞場では、花横で前列を取ると、七・三の居所の役者さんを
見上げるか、あるいは、引っ込む役者さんの後姿を見送る事になりますが、
前回の記事で書いたように、松竹座は九・一くらいが居所なので、
立ち位置の役者さんを、わりと正面にというか前方に観ることが出来ます。

大詰、ワカタケルと顔を見合わせ、手を握り歩んでいく兄姫の母性溢れる微笑や
笑三郎さん演じるところの帝の使者が、その二人の後姿を、澄んだ眼差しと
口元に湛える僅かな笑で見送る表情も、はっと胸を突かれる印象的なものです。
(真女形の印象の強い笑三郎さんですが、立役、凛々しくて素敵なんですよね。
98年のオグリでも近江屋の女将はもとより、立役がかなりカッコ良かったです。)
段ちゃんタケヒコの泣き顔の上に浮かんだ笑顔もなかなか麗しく
自身を鼓舞するような、また、明日や未来への希望を示唆するような、
そして、タケルに寄り添ったように、あるいはそれ以上に強い忠誠心で
ワカタケルを支え続けていくのだろうことを、私たちに確信させるような
花道を行く彼らの、それぞれの表情が、ぐっと迫ってきました。

そして、泣きに泣いたヘタルベが、頬に涙の跡を残しながらも
タケヒコに遅れまいとダッシュしていく姿が
(それは、実際、いま皆に遅れを取るまいということと、
タケヒコに倣って自分もワカタケルの時代を支えていくのだという、
そのことに遅れをとるまい、というイメージとも重なって)
宙乗り前のクライマックスを盛り上げていくような、タケルを巡る人々の心が
ダイレクトに伝わるようで、この日の大詰はいつもにも増して感動しました。

●5月5日夜の部

何人かの友人は昼の部で帰り、ごく少数?の友人は更に居続け客(^_^.)
夜は三階に席を取り、ビッグバードお出迎え席~♪とか云っておりましたが。

可哀相だな~と思ったのが、初日、綺麗な女形の声に戻ってる!と
思った延夫さんの声が、この日の三幕では、すでに、少し掠れてきたかな~と。
あんなに、太い大きな声を使う役と女形の二役ですものね・・・大変だと思います。
猿弥さんも2回公演では、一日四度も!!殺されねばならず、
しかも、どちらも、結構古典の味つけもたっぷりな大落入り!!なので、
観ているほうもぐったりするような激しさですが、
演じる方もかなり心身とも消耗されるのではないでしょうか?
相変わらず、山神の大立廻りは迫力満点ですし。
初日はちょっと舞台の間口や奥行きも演舞場とは変わるし、微妙に計ってるかな?
という感じもなきにしもあらず、でしたが、本日は、まったくそんな気配はなく
もう、この場でタケルの息の根を止めるのではないか~というくらいの豪快さ。

姿は大きいけれど、雛鳥のような無垢さを抱えているような
段ちゃんの宙乗りは、とても可愛らしかったです。

(続く~)

ポイント募金