ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

本日のヤマトタケル4

2005-04-15 00:21:12 | ヤマトタケル
本日(4月14日)の観劇の中で、とっても感動した事がありました。

アクシデントを殊更、言い立てるつもりではないのですが、
今日の昼の部の宙乗りの際、いざ吊り上げようとした瞬間、
段治郎さんの向きが反対になってしまったんですね。
(鳥屋ではなく舞台方向に向いて吊りあがってしまった)
絡んでいる風にも見えないし、何故向きが反転してしまったのか
よく分からなかったのですが、すぐ下げられ、黒衣が様子を見たあと、
また吊り上げられましたが、少し上がった段階で、再度向きが反対になり・・・

身体的に、とても危険があるような状況ではなかったのですが、
この一番のクライマックスでアクシデントに直面している事実が、
なんだか可哀相に思えてしまって、涙がこぼれて仕方なかった。
でも、客席から、ザザーっと拍手が沸き起こり、それが、とても暖かくて
「頑張って」に聞こえるような、あるいは、
「私たちは(この中断を)全然気にしてませんよ~、大変ね~」
と励ましを伝えているような感じというか・・・
二度目に下げた時に、やはり、すぐは直せないと判断されたようで、
段治郎さんの身体からワイヤーが外され、
即興?で所作をつけながら本舞台に戻りました。
舞台中央まで戻り正面に向き直った時、更に大きな拍手に包まれて・・・
その拍手の意味が強く感じられ、心から感動しました。

平日なので、コアなリピーターというよりは、
ほとんど、一般のお客様(満席で補助席ーたぶん立見もー出ている盛況)
だったと思いますが、劇場内の心がひとつになったように感じました。
皆、自身も拍手をしているのに、
多くの見知らぬ他人の拍手の暖かさに、何か心を打たれるような・・・
5分ほど芝居を止め(暗転となり)その間に大至急の確認が行われたようで、
三度目は無事、いつもの典雅な飛翔となりました。
(長袴の裾についているワイヤーに問題があったのか、
それは外されていましたが。)

幕が上がり、タケルが舞台中央から、花道に出て行き
「今、ひとたび、大空へ飛び立とうぞ」という台詞が加えられたことにより
さらに、演者と観客が『同じ時間を共有している』感が強まり
怪我の巧妙というか、いつもにも増して非常に親密な劇空間が生まれました。
(ちなみに、夜は、大過なく終わりました。ご安心下さい。)

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