ヤマトタケルの夢 

―三代目市川猿之助丈の創る世界との邂逅―
★歌舞伎・スーパー歌舞伎・その他の舞台★

本日のヤマトタケル3

2005-04-11 00:05:40 | ヤマトタケル
一ヶ月ぶりのかぶりつき観劇。
やっぱり、目前で役者さんの汗や涙、表情筋の動かし方まで堪能できるのは格別。
熊襲兄弟が方向転換のたびに裾で打ち上げる埃を被るのも
タケヒコの振る旗の風圧に煽られるのも、スモークで頭上を覆われるのも(笑)
ヤマトタケル報告白書にある猿之助さんの、初演時のコメントも可笑しくて
スモーク被るたびに思い出します!(^^)!

>それから煙のところですね。(中略)前列のお客さんがみなさん、これでしょう。
>(ハンカチや扇子で煙をあおぐゼスチャー)何だかやりにくいんですねえ。
>特に死ぬとこなんかで、パタパタ、ザワザワあおがれると・・・(笑)
>「ああ~、雲が来た・・・」 ザワザワザワ~。
>「私は天に昇ろうとしているのに・・・(ハッハッハッと喘ぎ、死にそうな表情)
>・・・お前たちはあおいでいるのかァ~・・・」とも言えませんので、
>黙って死んで参りますけれども(笑)。

さすがに私たちはあおぎませんけど、
今日も、能煩野ではタケルの顔が隠れてしまったり
走水でも結構きますが「煙がすごっ!」と体感しつつ観劇
これもまたなかなかおつなもの(?)という事でヽ(^。^)ノ

段治郎タケルの方が、見た目的には猿之助さんとは印象が違う、はずなのですが、
一幕の倭姫や弟姫らとの別れ、花道に立ち、本舞台に向き直って彼女らに手を振り
そして、再度、くるっと向き直るところや
二幕水底に沈んだ弟姫を呼ぶ姿ー手を小刻みに震わせながら上げていくところや
三幕雹に打たれる件りのあたり、微妙に猿之助さんに似る。
手の使い方が似るのかな~。ふとした表情からも漂う。凄く不思議。
謳凌の時もそうだったけれど・・・『学ぶは真似る』からすると当然ではあるのかも。

ヘンな言い方だけど、舞台を観ているとホント『ヤマトタケル』だな~、
ヤマトタケルの物語だな~とつくづく思う。
個々に観れば、それぞれの役どころというか為所もあるのだけれど
終始一貫として、タケルの切実さだけが浮かび上がってくる物語。

最初の台本が出来上がって来たときには、猿之助さんが梅原先生に、
女性はよく描けているけれど、タケル役が悪い、もたればっかり~
もっと(僕の役!)良く描いて~(←意訳(~o~))というやりとりもあったようですが。
タケルの短い生涯を彩る大掛かりな道具立てが揃っているけれど、終局のところ
物語の冒頭からそして最期まで、自分が何者であるかよく分からない
与えられた人生の前で、呆然としている・・・という感じを受ける。
英雄譚としてよりも、等身大の一人の人間としての親さを覚えるところが
タケルに凄く想い入れ出来る大きな理由のひとつかな~と思ったりもします。


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