松下幸之助戯言 母の愛
紘一郎雑記帳
母の愛
私は今でも、大阪へ奉公に出る息子の私を駅まで送ってきてくれた
母の姿を、はっきりと心に浮かべることができる。
涙で語ってくれた注意の言葉、汽車が出るまで
しっかり握って離さなかった手のあたたかみ……。
そのときの母の思いは、大阪へ行ってからの私の幸せ、
私の健康を、言葉では言いあらわせないくらい
心に念じていてくれたんだ、としみじみ感じる。
このように、あふれるようなというか、ひたすらな母の愛というものは、
今も私の心に脈々と生き続けているのであって、これまで仕事を
進めてこられたのも、私の将来というものを心から祈ってくれた
母の切なる願いの賜ものであろうと思っている。
続く
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