これからの日本のエネルギー政策と米軍
何処の国でも、
軍(自衛隊)の活動は国家が危急の時。
軍(自衛隊)が全力をもって任務を果たすに
当たって制約事項は少ないほど望ましく、
また制約されてはならない。
国家・国民の安全の確保は、
何にもまして国が果たすべき最大の役割であるため、
あらゆる国は歴史的にも例外なく軍事分野には
できる限りの資源を最優先に投資してきた。
米軍は、地球温暖化への対応策として幅広い分野で
具体的な施策を推進し始めた。
国防省は現状を把握し、新たに導入する装備品の設計時の
要求に整備性や効率性向上などとともに省エネ、環境への
配慮を追加して二酸化炭素の排出を減らす努力を求めた。
米陸軍では特別なプロジェクトチームを
編成して省エネの徹底を図り、
部隊に具体的な省エネ目標値を求めた。
米空軍では、「需要を減らし、供給を増やし、認識を変えようを
モットーに掲げて省エネへの努力推進を訴えた。
また化石燃料に代わるバイオ燃料活用の道を探り始めた。
米空軍は一昨年までに、すべての航空機でバイオ燃料が
使用可能かどうかの確認を終えたという。
しかし米軍をはじめとする米国における急激な
バイオ燃料へのシフトの予兆は、
トウモロコシなど食料価格の高騰をもたらし、
中南米諸国をはじめとする世界中からの批判を浴び、
新たな資源を模索している。
米海軍は比較的のんびり構えていたように見える。
大型艦船や主力戦力である潜水艦には原子力を
動力とするものが多く、担当者によれば
「一度少量の燃料を補給するだけで2年間はゆうに運用できる」と、
これ以上の好ましいエネルギーはないと言わんばかりの口調であった。
福島と中東が世界の軍隊を悩ます
今年に入り、2つの大きな事象がエネルギー問題に
悩む各国の軍をさらに慌てさせている。
1つは中東地域の不安定化による原油高騰の恐れ、
そしてもう1つは日本の地震・津波による福島第一原発の事故である。
チュニジアで発生した民衆による反政府運動は、
インターネットの普及などにより北アフリカや中東各国にたちまち飛び火し、
米軍が第5艦隊の司令部を置くバーレーンも例外ではなかった。
この混乱は、リビアやひいてはサウジアラビアなど
産油国の政情不安定化によって、
原油高騰の恐れという2008年の悪夢が再び頭をもたげている。
もう1つの福島第一原発の災害は、突然やって来た。
自然の猛威は、想定していた原子力発電の
事故のレベルをはるかに超えていた。
前述の米海軍担当者には衝撃が走ったのではなかろうか?
軍の艦船に搭載している原子力エンジンは
安全に万全を期しているとはいえ、何しろ戦場で戦う艦船である。
攻撃を受け被害を蒙る可能性が決してないとは言い切れない。
続きは「第2回」は後日投稿致します