ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

女性学会本の感想(2)男女平等教育運動の歴史認識

2006-06-23 12:43:39 | フェミニズム
私も本にぱっと目を通してみた。
斉藤正美さんがご指摘されて、私自身も「男女平等教育=性別特性論」説について、すでに6/19のエントリで少々書いたのだが、実際の本に目を通した上で再度感じたことについて、記しておきたい。

まず、木村涼子氏担当のQ6。ここで、木村氏は「男女平等教育」について、「場合によっては、男女の特性論・性別役割分業を前提とした上での男女の平等を主張する立場を意味することもありました」(46)と書いている。しかし、これは具体的にどんな場合に、誰の立場だったのかという説明はないままだ。
 同様に、船橋邦子氏も、同書中で「性別特性論を前提とする『男女平等』と区別するために「ジェンダー平等」という場合も出てきました(169)と延べているが、誰がどこで「性別特性論を前提とする『男女平等』を主張したり、実践していたのか、という具体例は挙っていない。
 いったい、この「特性論に基づく男女平等」というのは、いつ、誰が主張したり、実践したりしていたのか。この学者たちがもつ信念のようにも見える主張は、いったいどこから来たのか。90年代半ば以前の、「ジェンダーフリー」導入以前の教育関連の女性運動は、何をしていたと理解されているのかなど、疑問が山積みだ。

 また、木村氏は「『ジェンダーフリー教育』は、特性論や固定的性別役割分業を批判的にとらえることこそが、差別の撤廃につながるという発想を前面に押し出したものとして位置づけることができます」(46)と述べる。これは、私が6/19のエントリで紹介したような、教育をめぐる70年代からの女性運動の蓄積を無視、あるいは少なくとも軽視した見解だといえるのではないだろうか。70年代からの日本のフェミニズム運動の大きな柱は、固定的性別役割分業批判だったからだ。

 そして、木村氏は第一波フェミニズムによって「法制度上の男女平等が達成された」と述べているのだが、日本で本当に「法制度上の男女平等」が達成されたのかも疑問だ。「第一波フェミニズム」といえば、参政権運動が思い起こされますが、参政権だけが「法制度上の男女平等」ではないだろう。その後、第二波フェミニズムをうけてできた均等法などは、「法制度上の男女平等」関連の法律なのではなかったのだろうか。現在に至るまで残る、「婚外子差別」や「夫婦別姓」などの民法上の問題、いまだに刑法堕胎罪が存在していること、非常勤労働や不定期雇用問題、まだまだ穴だらけのDV法などなど、法律上、女性に差別的な状況が残っている例は、枚挙にいとまがない。問題は山積みのはず。
 にもかかわらず、「実質的平等が達成されないのは、男女の「らしさ」や性役割が原因だ、という木村氏の議論展開は、差別をすべて「個人のらしさ問題」に収斂してしまうという、「ジェンダーフリー」を最初に導入した、東京女性財団の主張と同じようなものに聞こえてくる。
 
 「隠れたカリキュラム」が学校現場で意識されるようになるのと、「ジェンダーフリー」という言葉が用いられたのは、ほぼ同時期のことだと木村氏は主張している。そして、Q8において、その「隠れたカリキュラム」を問題視したので、男女混合名簿が広がった(55)と書く。またもや繰り返しになるが、この解釈は、「隠れたカリキュラム」、「ジェンダーフリー」などの概念が登場するはるか前、80年代初期から続く混合名簿運動の歴史を無視するものといえるだろう。


日本女性学会『ジェンダーフリーバッシング』本の感想(1)

2006-06-22 12:57:47 | フェミニズム
日本女性学会ジェンダー研究会編『Q&A 男女共同参画/ジェンダーフリー・バッシング』(明石書店)、アメリカ在住者にも到着。
この中で、脳の性差論について述べている、荻野美穂氏によるQ3についてのコメントがnorisansunより、早速はいりました。norisansunの許可を得ましたので、ここに一挙掲載!
(ってか、このブログ、ほとんど借家ブログみたいになってきたような。。)

AOLダイアリー、長過ぎるタイトルがダメみたいで、この本のタイトルが長過ぎてタイトルにできない!ということで、本の実際の著者名、タイトルと違って申し訳ないのですが、「日本女性学会 『ジェンダーフリーバッシング』本」、という表現を使いました。今後もこのパターンで行きます。

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あの脳の性差の文、ホルモンによって性差ができるというのを認めてるのね。いった
い何を根拠にいってるのか、論文名とか、知りたい。 本当にそんなリサーチがされ
た論文があったのかどうか。ホルモン分泌が直接脳の性差に「直接」関与している証
拠をだした研究を、私は見つけ出すことはできなかったから、ぜひ知りたい。日本で
はいろいろな脳科学研究所があるみたいだから、されてるのかなあ。

「メスの個体を運営していく脳と、オスの個体を運営していく脳がまったく同じで
は、生殖という面で不都合が生じるからです。」っていったい、脳のどの部分をさし
ていってるのかさっぱりわからん。ほんとにそうなのかあ? Sexualityをつかさど
る部分が違うといってるのかね?ハイャTラマス(視床下部)っていろいろな機能を
つかさどってるみたいだけど、核は性ホルモンの分泌と関係しているらしいというの
は確かに習います。視床下部の性腺脳下垂体神経分泌系(細胞体)は、いろいろなホ
ルモンを放出したり、抑制したりするらしい。例えば、黄体形成ホルモン、濾胞成熟
ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモンの分泌などなど。そういった
細胞体は視床下部の核(nucleus, 複数形はnuclei)にあるらしいけど、細胞体が視床
下部のどの核に存在するかはわかってなかったのではなかったかな? 最近、わかっ
たのかしら? それだったら絶対に研究者の名前がほしい! 

視床下部の二つの核の大きさと「男のtypicalセックス行動」が関連しているかも知
れないという研究も確かにあるよ。UCLAの研究者の引用がよくつかわれているよ。彼
らの研究によると、二つのinterstitial nucleusは「男のtypicalセックス行動」関
連していて、男の方が女より(平均的にってことだろう)大きいらしい。だけど、
「女のtypicalセックス行動」に関連しているらしいventromedial nucleusの大きさ
は男と女でほとんど同じ大きさなんだってさ。ホモセクシュアルの人たちのその部分
を比較して、男性を好む男性は女と同じ大きさだったとかいってるんだよね。サンプ
ル数はかなり少なかったと記憶してるけど。 死後の体をドーネーションしている人
たちってどのくらいいるのかしらね? そして、またまた、どうやって大きさを比べ
る問題が出てくるねえ。絶対値なのか、相対値なのか??「男のtypicalセックス行
動」、「女のtypicalセックス行動」てのも謎よね。脳研究ってラット実験、アカゲ
ザル実験が主流だし。それをそのまま人間に当てはめていいのかしらねえ。
そういうところって一番知りたいとこじゃない?

脳と一言で言われても、いろんな部分あるしね。
視床下部の核、なんてすごい小さい場所だしね。
さっきの意味わかったかなあ? ホルモン分泌系の細胞体がどの核にあるか、いまだ
にはっきりわかっていないのなら、性差について語るの意味ないよね。

細胞体のことなんてすごい小さい部分だと思うけど、
バックラッシュの連中ってその違いをすごく大きな、男らしさ、女らしさに結び付け
て、女には子育て、外の仕事はさせないみたいなことばかり言うのよねえ。
生殖行動しなきゃ、子供はできない。そのための行動ってあるけど、どのように
sexualに行動するかは、社会的に学ぶことはかなり多いと思うぞ。生殖のため(?)
の行動と、女に性別役割を押し付けることって別問題だとおもうけど。
いまや、生殖行動しなくても、子供つくれるけどね。


あっぷあっぷさん豆本第二弾 photo by norisansun!

2006-06-21 10:23:44 | フェミニズム
あっぷあっぷさんの豆本第二弾完成!今度の豆本は本格派、ウルトラマスカが登場!
norisansunより、また写真&メッセージが!
以下貼付けます。



あっぷあっぷさんの豆本第2弾をフェミニスト科学本の上にのせてみました!
ウルトラマスカがフェミニスト科学本にご加護を下さることでしょう!
その下にX染色体、まともな脳科学の英文論文とかをおこうと思ったけど、高くなり
すぎて写真が撮りにくくなったので、ちょっと選別した本だけにしましたよ。
ははははは。

Women in Human Evolution. 1997 Edited by Lori D. Hager
The Evolving Female. 1997. Edited by Mary Ellen Morbeck, Alison Gallaway,
and Adrienne L. Zihlman.
この二つの本は、女性生物人類学者のフェミニストヴューの論文集。このタイトルか
らして、いかに生物人類学、古人類学で女が無視されているかがよくわかるよね。

Has Feminism Changed Science? 1999. Londa Schiebinger
これは『ジェンダーは科学を変える!?―医学・霊長類学から物理学・数学まで』とい
うタイトルで日本語訳が出てるみたい。

Nature's Body. 1993. Londa Schiebinger
これも、『女性を弄ぶ博物学―リンネはなぜ乳房にこだわったのか?』というタイト
ルで日本語に訳されてるね。

Reflections on Gender and Science. 1985. Evelyn Fox Keller
これも日本語訳が出てるよね。



『バックラッシュ!』発売まであと一週間らしい

2006-06-20 07:10:47 | フェミニズム
日のたつのは早いものですねえ。ついこの間、キャンペーンブログがたちあがって、「デビューボ」熱が高まったと思いきや、もうあと一週間で発売だとか。
ということで、このブログでも再度宣伝をしておこう。


ご購入はこちらから。
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あるいは、地元の書店へご注文を!

あっぷあっぷさん特製、平積み想像図も載せておこう。