今学期は文化人類学の入門クラスを教えている。このクラスの最大の課題が、学生が自分でフィールドリサーチをしてエスノグラフィーを書くことだ。そのための準備として、小さな練習をしてもらおうと、全員に地域のスーパーマーケットの好きなところに行ってもらって、観察などのフィールドリサーチ的なことをしてもらい、短いエスノグラフィー風ペーパーを書く、という宿題をやってもらった。
学生たちはそれぞれ、いろいろなスーパーを選んでいて、その観察やら分析やらもけっこう面白いものもでてきた。それぞれのスーパーマーケットの特徴的な「文化」みたいなものをつかもうとしてくれた。そんな中、浮かび上がってきたひとつのテーマとして、坊主マンやモンタナ的な文化ともいえるのかもしれないが、「地元」へのこだわり系スーパーと、ナショナルチェーンスーパーの違いがあった。
モンタナ州というところは、「地元」へのこだわりが強い。別の言葉でいえば、国などは自分たちのことを放っておいてくれ、というような政治文化のようなものがある。だから、オバマの健康保険プランに全力で反対モードにはいってる人がけっこういたりするし、自分たちが銃をもつ権利なども著しく重要なものであるとして、声高に主張する人も多い。そして、だからこそ大統領選挙で、ロン・メ[ルが大人気だったりもしたわけだ。
そんな政治文化的なものと、アウトドアに燃える人たちが多い坊主マンならではかもしれない環境へのこだわりとがあり、オーガニック系「地元産」野菜や肉などへのこだわり系スーパーが数件ある。そして、他の地域にある、オーガニック系ナショナルチェーンスーパー(ホールフーズ、トレーダージョーなどの)ははいってきていない。それらのオーガニック系スーパーは、生協だったり、地元スーパーだったりする。そういった店舗が数件ある。
反面、ナショナルチェーン店もはいってきており、代表的なのがWalmartだろう。巨大店舗をもち、格安に食料品から電化製品など、そこに行けばほぼすべて手にはいるというスーパーだ。そのほかにもSafewayや、Albertsonなど、全国チェーン系スーパーも数件ある。
「地元」産物へこだわって、オーガニックのものを出してくる地元経営スーパーをサメ[トしたい、そこで買った方がよい安心品質のものが手にはいるし、という理由で利用する人は多い。私自身も、Coopなどは値段が高いのだが、やはり卵とか野菜とかいいものを売っていたりするので、時々利用する。店舗もフレンドリーな感じだし、ジャンクフードなどをレジの近所に置きまくってとにかく売り唐ケ、という雰囲気もない。
でも、学生の目はかなりシビアだった。「地元」にこうやってこだわれる人たちというのは、それだけの余裕がある裕福な人たちであるとしっかり見ているペーパーがけっこうあった。たとえばそういったスーパーで従業員として働いている学生たちが数人いたが、客に対してけっこうシニカルなまなざしをもっていた。パートタイム従業員である自分たちが買えない高い食材を買っていく裕福な人たち、という見方だ。
「地元」商店へのこだわりが強い坊主マン市民でも、アメリカを襲う経済不況のため、地元商店で買いたいけれど高いため無理で、値段がより安いナショナルチェーン店で買わざるを得なくなった、という客の話を紹介した学生もいた。そして、地元商店で買う場合は客も従業員に対してナイスかもしれないが、安い値段でものを売るナショナルチェーン店にくると、従業員に対しても、とたんに人間扱いしなくなるような側面があると。ひとり、ナショナルチェーン系の店で働いている学生が、そういった実感を書いていた。
要するに「地元」や、安心な食材などというものにこだわれるというのは、裕福であればこその特権であり、貧しい人たちはナショナルチェーン店に行かざるを得ない。そのこと自体にイラついている人たちもいるが、安さにひかれて全国チェーンのほうに行く。そうした店の従業員の扱いは、労働条件もよくはないが、客からの扱いもひどい傾向がある、と。要するに、階級問題が厳然と存在しているということが見えてくる。
スーパーマーケットを素材にしたエスノグラフィー宿題は、いつも私のほうが学ぶことが多いくらいなのだが、今年も例にもれずひじょうに興味深かった。そして、やはり坊主マンの学生は「階級」や「労働」をめぐる問題には感覚的に敏感だなと思った。
学生たちはそれぞれ、いろいろなスーパーを選んでいて、その観察やら分析やらもけっこう面白いものもでてきた。それぞれのスーパーマーケットの特徴的な「文化」みたいなものをつかもうとしてくれた。そんな中、浮かび上がってきたひとつのテーマとして、坊主マンやモンタナ的な文化ともいえるのかもしれないが、「地元」へのこだわり系スーパーと、ナショナルチェーンスーパーの違いがあった。
モンタナ州というところは、「地元」へのこだわりが強い。別の言葉でいえば、国などは自分たちのことを放っておいてくれ、というような政治文化のようなものがある。だから、オバマの健康保険プランに全力で反対モードにはいってる人がけっこういたりするし、自分たちが銃をもつ権利なども著しく重要なものであるとして、声高に主張する人も多い。そして、だからこそ大統領選挙で、ロン・メ[ルが大人気だったりもしたわけだ。
そんな政治文化的なものと、アウトドアに燃える人たちが多い坊主マンならではかもしれない環境へのこだわりとがあり、オーガニック系「地元産」野菜や肉などへのこだわり系スーパーが数件ある。そして、他の地域にある、オーガニック系ナショナルチェーンスーパー(ホールフーズ、トレーダージョーなどの)ははいってきていない。それらのオーガニック系スーパーは、生協だったり、地元スーパーだったりする。そういった店舗が数件ある。
反面、ナショナルチェーン店もはいってきており、代表的なのがWalmartだろう。巨大店舗をもち、格安に食料品から電化製品など、そこに行けばほぼすべて手にはいるというスーパーだ。そのほかにもSafewayや、Albertsonなど、全国チェーン系スーパーも数件ある。
「地元」産物へこだわって、オーガニックのものを出してくる地元経営スーパーをサメ[トしたい、そこで買った方がよい安心品質のものが手にはいるし、という理由で利用する人は多い。私自身も、Coopなどは値段が高いのだが、やはり卵とか野菜とかいいものを売っていたりするので、時々利用する。店舗もフレンドリーな感じだし、ジャンクフードなどをレジの近所に置きまくってとにかく売り唐ケ、という雰囲気もない。
でも、学生の目はかなりシビアだった。「地元」にこうやってこだわれる人たちというのは、それだけの余裕がある裕福な人たちであるとしっかり見ているペーパーがけっこうあった。たとえばそういったスーパーで従業員として働いている学生たちが数人いたが、客に対してけっこうシニカルなまなざしをもっていた。パートタイム従業員である自分たちが買えない高い食材を買っていく裕福な人たち、という見方だ。
「地元」商店へのこだわりが強い坊主マン市民でも、アメリカを襲う経済不況のため、地元商店で買いたいけれど高いため無理で、値段がより安いナショナルチェーン店で買わざるを得なくなった、という客の話を紹介した学生もいた。そして、地元商店で買う場合は客も従業員に対してナイスかもしれないが、安い値段でものを売るナショナルチェーン店にくると、従業員に対しても、とたんに人間扱いしなくなるような側面があると。ひとり、ナショナルチェーン系の店で働いている学生が、そういった実感を書いていた。
要するに「地元」や、安心な食材などというものにこだわれるというのは、裕福であればこその特権であり、貧しい人たちはナショナルチェーン店に行かざるを得ない。そのこと自体にイラついている人たちもいるが、安さにひかれて全国チェーンのほうに行く。そうした店の従業員の扱いは、労働条件もよくはないが、客からの扱いもひどい傾向がある、と。要するに、階級問題が厳然と存在しているということが見えてくる。
スーパーマーケットを素材にしたエスノグラフィー宿題は、いつも私のほうが学ぶことが多いくらいなのだが、今年も例にもれずひじょうに興味深かった。そして、やはり坊主マンの学生は「階級」や「労働」をめぐる問題には感覚的に敏感だなと思った。