ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

国立女性教育会館は本当に必要なのか?

2009-11-28 01:11:00 | フェミニズム
国立女性教育会館(NWEC)が、仕分け関連のニュースでとたんに有名になってしまったようだ。蓮舫議員と、神田道子さんのやりとりは、何度もテレビで流れたときく。私もyoutubeで見てみたのだった。

さて、その件について、フェミニズム業界では「日本の女性の地位向上のため、NWECの存続は必須」だから、予算削減に反対してください!という要望を出してくれとかいうメールがMLでまわってきたりしている。
これをみて、「えーっ、別に「女性の地位向上のため」にNWECって必須じゃないのでは」と思い、ちょっとこれは要望しようとは思えんなあと思っていたところ、北原みのりさんが、「国立女性教育会館というハコはいらないと考えるし、予算削減に反対する気も起きない」という趣獅フ文章を書かれ、ネットに掲載していた。

http://www.lovepiececlub.com/kitahara/2009/11/post-184.html
http://www.lovepiececlub.com/kitahara/2009/11/post-184.html
http://www.onnamedia.com/kitahara/?itemid=124

私も書こうかなと思ったけど、これ言ったらまたフェミニズム業界内で微妙な立場になるのかしらと思ったりする面もあったので、北原さんがはっきり書かれたことは、すごいと思う。やっぱりちゃんと書かないとダメだね。書かないと、同じような立場の人が実はいた、ということがわからないままになってしまう。

私も、北原さんに同感だ。ヌエックはあの場にある必要はまったくないと思う。本当に遠くて行きづらいもん。ましてやテニスコートやお茶室などがある必要もないだろうし、どう頑張っても現在の場所と、男女共同参画関係特化機能のままでは、稼働率だってあがるとは思いづらい。今だって、部屋利用状況をサイトで確認すると、テニスコートとか調理室はそれなりに予約されているけれど、肝心の男女共同参画がらみの利用が多いとはどうみても思えないし。

ヌエックが行っている調査や、ジャーナルの類いも、大学や学会がジャーナルを出してきている現在、何がどう役に立っているのかわかりづらいものがある。(個人的には、内容にもいまいち興味がもてない。)研修の類いも行っているようだが、おそらく一番人を集めていると思われる夏の男女共同参画フォーラムには何回か行ったことがあるけれど、ここ数年はテーマも限定されていたりして、勢いは明らかに落ちていた。地方の行政職員とかが多く出席しているのだとも思われるし、市民の出席のために地方の行政が助成を出したりすることによって、地域の運動体などを行政がとりこんでいくという、いわばマイナスの役割も果たしている面もあるのではないか。そんな背景もあり、本当にあのフォーラムが必要なのか、といわれると、どうなんだろうかなと思ってしまう。

たしかに、ヌエックのつくるデータベースや、集めるアーカイブの類いは貴重なものもあり、情報事業は残してもらいたいところだ。でもほかは、、。本当にヌエックという施設や事業をそのまま残すことが、「日本の女性の地位向上のため」必要なのか謎だと思う。少なくとも私はそうは思わないんだよな。
最低限、予算削減への反対を呼びかける段階で、「日本の女性の地位向上のため」どのように具体的に役立つものなのかを、(内輪だけでなく)一般市民誰にでもわかるように説明できないようでは、ダメだろう。

話題の神田道子さんが書いた「国立女性教育会館の30年間を振り返る」という文章が会館のジャーナルに掲載されているが、その中で神田さんは「女性が力をもち、その力を発揮していく社会基盤として必要になるのが、男女共同参画意識の醸成である」と述べる。出た、「意識の醸成」! 会館の役割は、この「意識の醸成」ということらしい。
ここからして、社会において女性がおかれている問題の数々から、ずれているとしか思えなかったりするのだった。

高岡女性の会連絡会の解散集会

2009-07-02 23:42:00 | フェミニズム
エントリ書くのがすごく遅くなってしまったが、先週の水曜日(6月24日)、富山県高岡市の女性団体「高岡女性の会連絡会」の解散を決める総会および「ぶんぶん集会」と名付けられたシンモノ参加してきた。集会の際は、私がちょっとしたトークをさせていただき、その後に、この会に関わってこられた巴陵嘉子さん、斉藤正美さん、そして解散時の会長だった向富士子さんを含めてのパネルディスカッションとなった。
中日新聞富山版に報告記事がでていたのでリンクしておく。

私のトークは、「女性団体の解散」についてのもの。いくつかの団体の解散を見聞きしてきた経験があるので、そのうち特に関わりが深かった、1996年解散の行動する女たちの会(博論でこの会の解散および記録集について扱った)、そして2005年解散の女性連帯基金(初期に事務局員として関わり、解散時は理事だった)の二例を挙げつつ、解散の理由だとか、記録の保存の重要性だとか、現在の男女共同参画の行き詰まりなどに言及したものだった。パネルディスカッションのほうは、皆さん会の歴史や会でのご経験、および何が重要だったかなどを話される一方で、「行政への要望」中心となってしまった会の運動の限界、という視点も提示された。その限界は現在の「男女共同参画」運動の多くに共有される面もあり、ここで高岡女性の会連絡会が解散するということは、ひじょうに意味があることだという意見もでた。

集会の前に発言があった、議員さんたちの「議員挨拶」が、こういったとてもストレートかつ鋭い分析もあった議論とは真逆のノリで、「解散おつかれさま(まあここまではいいが)。この会は素晴らしいことをしてきて、すごい会だった。女性の皆さんのパワーはすごい。意識改革をもっともっとすすめていきましょう!」みたいなトーンの、どっと疲れるタイプのトーク。聞いていて正直、くらくらしてきた。この会が解散するという時に及んで、いまだ「意識改革」の話をする自民党の女性議員はとくに何だったんだろう。「この後に私の話かよー」と、ちょっと参ったなと思っていたが、結果としては単純議員トークとはかなり違うトーンの集会だったと思う。

私自身は、この高岡女性の会連絡会には関わってこなかったし、よく知らない会だった。そんな会の解散集会にお呼びいただいたのも気が引けた面もあったが、結果としてとても勉強になり、考えさせられた集会となった。私が長時間話すよりも、なるべく会に関わってこられた皆さんのお話ができる場にしてください、私自身も皆さんのお話こそが聞きたい、とワガママをいい、コーディネーター役をされていた向さんはいろいろご苦労されたのではないかと思うが、私のトークより、パネルのほうを長く時間をとるフォーマットにしてもらって本当によかった。

その後にいった、高岡の居酒屋さん「魚人」。すごいボリュームで、美味しいお魚、岩カキ、そして富山の美味しいお酒「勝駒」など堪能させていただいた。メンバーの皆さんのお話や、この会の感想などもとても興味深く、かつ楽しいものだった。

写真をアップしておこう。


高岡女性の会連絡会の皆さんと。



この日配布された、活動の報告書について説明される代表の向さん。こういった報告書を解散前にきっちり仕上げられたところは素晴らしいと思う。



高岡駅前のラーメン屋さんで食べた「富山ブラック」のラーメン。黒醤油ラーメンだそうだが、本当に黒い!「見かけよりしょっぱくない」といわれていたが、それでもけっこうしょっぱく感じた。



けっこう寂れた雰囲気の高岡の駅前。(でもホテルと図書館、女性センターなどの行政機能がはいった建物は立派だった。)



女性学会ワークショップ終了

2009-06-28 22:39:00 | フェミニズム
今日、日本女性学会で『「ジェンダーフリー」「バックラッシュ」を再考する』というワークショップを行った。このワークショップのためのプレ研究会からはじまり、先週の「フェミニズムとインターネット問題を考える」研究会、富山県高岡市での高岡女性の会連絡会の解散集会と連続した研究会/学会/集会つづきも、今日で一段落だ。ほっとした。

詳しい報告や感想などはそのうちネットにアップできたらと思っているが(今日は疲れていてパワー不足)、ワークショップ自体は、まあバトルになることは覚悟してたし、対面して異論をぶつけあうという機会はここ最近の女性学会では稀な事になっていたのもあって、開催できたことはよかったのだと思う。賛否両論ある内容だろうけれど(会場コメントからもそれは伺えたが)、とりあえずこのワークが開催できたこと自体はよかったと思っている。

ワークショップの後で、部屋を片付けたりした後、さすがにシンモノでる元気はなく(ここ数日間異様に早起きだったし)、友人たちとファミレスでランチして、ビールで乾杯して、その後、友人2人と新宿にでてお茶して長い間話して、帰ってきた。長い一日で疲れたが、でも面白かったな。

ということで、とりあえずの終了の報告まで。明日からはちょっぴりのんびりモードの一週間になる予定なのだが、でもまだいれたいインタビューがいくつか残っているし、そうでもなくなるかもしれないな。

「フェミニズムとインターネット問題を考える」研究会

2009-05-29 15:12:00 | フェミニズム
大阪で開催する研究会のご案内です。

フェミニズムとインターネット問題に関する研究会を6月21日(日)、大阪にて開催しますので、そのご案内です。

公開の研究会で参加は無料です。お気軽にご参加ください。

「フェミニズムとインターネット問題を考える」

フェミニズム運動はML、ブログ、ホームページなど、ネット媒体をどのように使ってきたのでしょうか。そして、ネットにおける人権侵害や「炎上」などの失敗例はなぜ、どのように引き起こされるのでしょうか。インターネットは市民運動の広がりに大きな役割を果たすことができますが、 日本のフェミニズム運動の場合、ネットの効果的利用自体がまだまだできておらず、失敗例も目立っています。

フェミニズムとネット問題研究会では、インターネット上で深刻な人権侵害問題を引き起こしてしまったフェミニズム運動体に関わった当事者としての視点から、その運動およびネット利用の分析、検証を行ってきました。フェミニズムや市民運動がネットを利用するために、どういった課題があるのか、どう対応したらいいのか、などについて考えるために、自らの検証結果を題材とした公開の研究会を開催します。

ネットと社会運動に関心ある方のご参加をお待ちします。

日時:6月21日(日)13:00≠P6:30

場所:弁天町市民学習センター 特別会議室
〒552-0007 大阪市港区弁天1-2-2-700(オーク2番街7階)
(地下鉄中央線「弁天町駅」西口2A出口より徒歩3分 JR環状線「弁天町駅」北口より徒歩3分)
http://www.osakademanabu.com/bentencho/

発言予定者:かとうちひろ、きろろ、斉藤正美、田丸瑞穂、遠山日出也、宮下奈津子、山口智美 ほか

参加無料

問い合わせ先: 斉藤正美  saitohあっとまーくp1.tcnet.ne.jp (あっとまーくを@でおきかえてください。)

主催:フェミニズムとネット問題研究会/グローカルフェミニズム研究会

(この研究会は、サントリー文化財団の「人文科学・社会科学に関する研究助成」プログラムによる助成を受けて開催されます。)



男女共同参画という名の逆行

2009-03-17 05:33:00 | フェミニズム
「男女共同参画」で検索をしていて、偶然発見した千歳市の男女共同参画推進への取り組みの報告サイト

チラシ等の配布や、男性のための料理教室は、「男女共同参画社会の形成にむけて」そんなに役に立つ取り組みなのかどうかかなり疑問であるが、まあよくある企画だ。しかし、「女性に対する暴力をなくす運動」週間講演会には唖然とした。なんなんだこの内容は。

須磨展子氏というひとが、『「男の言い分 女の言い分」 ~多様性を認めあうコミュニケーション~』というタイトルで講演をしたようなのだが、サイトからレメ[トを引用してみよう。

講演は、「後出しじゃんけん 負けるが勝ちよ」のじゃんけんゲームで、頭で分かっていても行動に表せないことを実際に体験することから始まりました。

 須磨代表は、男性と女性の脳の構造の違いにより、思考パターンや行動パーターンがそれぞれ違うことを説明。頭で分かっていても、固定観念や先入観などで様々な人間関係のトラブルが起こったりすることがある。相手の立場を考え、誤解のないように伝えること、誤解のないように確認することが重要。また、男性と女性は、体力的にも肉体的にも違う、同じ事を目指すのが男女平等とは一概に言えない。一人ひとりを見ていくことが大切であり、それが多様性を認めることである。

 コミュニケーションのスキルアップとしては、相手の言いたいことを心を込めて聴く、良いところを見て言葉にして伝えることが大切。「ありがとう」と感謝の気持ちを忘れず過ごしていくことで、私たちの生活がより良くなるのではないかと話されました。



「男性と女性の脳の構造の違いにより、思考パターンや行動パターンがそれぞれ違う」「男性と女性とは、体力的にも肉体的にも違う、同じ事を目指すのが男女平等とは一概に言えない」「それが多様性を認めることである。」 うーん、なんだこれは。いわゆる「バックラッシュ派」の主張といったい何が違うのやら。

この講演会と、「女性に対する暴力をなくす運動」週間講演会というタイトルと、どう結びつくのかまったくもって謎である。そして、これに128人も出席したらしいことに、ますますクラクラする。

こういう謎の講演会、千歳市のみならずいろいろな地域で開かれているのだろうか。