ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

クリスマスが終わった

2006-12-27 10:52:29 | 日々の出来事、雑感
クリスマスが終わった。といっても、別に何もしなかったんだけど。
アメリカのクリスマスは、宗教的祝日かつ、(キリスト教の人たちが)家族で祝う日、という位置づけ(日本の正月みたいなもんだ)なので、キリスト教信者でもなく、アメリカに家族がいるわけでもない私には基本的に関係がないのだった。家でのんびりうだうだしていて、普通の日のように終わってしまったクリスマスだった。
というか、クリスマスに下手に人のお宅に呼ばれてしまったりすると、人数分のクリスマスプレゼントを持って行かねば、、という状況に陥ったりして、私みたいな貧乏人には困った展開になることも多いのだ。

クリスマスは基本的に世間の店などがすべて閉まってしまう。開いているのは中華レストランか映画館かというところ。クリスマスに映画館に行くと、来ている客はユダヤ系かアジア系がほとんどだったりする。

日本はクリスマスが終わると、街の飾りも突然新年モードに変わるのだが、アメリカの場合、1月にはいってもまだクリスマス飾りが残っていたりする。聞き飽きたクリスマス音楽も世間では流れ続け、「もういい加減にしてくれ」という気がしてしまうのだった。

感謝祭あたりからクリスマスまで、クリスマスプレゼント購買客で店もとんでもなく混んでいたりするのだが、今日からは、セールも始まるけれど、それ以上にクリスマスプレゼントでもらったものを返却する客の長い行列で店もますます大混雑なんだよなー。アメリカにきたばかりの頃は、もらったものを返してキャッシュにしたり、自分の欲しいものと取り替えたりするのにびっくりしたものだが、もはやすっかり慣れてしまった。クリスマスショッピングシーズンに買い物すると、「ギフト用レシート」まで発行してくれて、それをプレゼントとともにあげれば、何ら問題なくもらった人が店でその品物を返すことができるのだ。
この妙な合理主義ぶり。だったら最初から、キャッシュや商品券にすればいいのに、、と思うけど、「プレゼント」ってのがャCントなんだろうかねえ。


塾禁止と植民地教育復活をめざす教育再生会議委員たち

2006-12-24 04:51:41 | ニュース、時事ネタ
「塾は禁止」 教育再生会議で野依座長が強調

もうあきれるばかりだな、教育再生会議。「普通以上の子ども」と「以下の子ども」ってどうやって区別するんだか。

で、塾禁止で盛り上がったという、「規範意識・家族・地域教育再生分科会」(第2分科会)の議事要獅烽ンてみた。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/2bunka/dai3/3gijiyoushi.pdf

(野依座長)
塾をやめさせて、放課後子供プランをやらせといけない。塾は出来ない子が
行くためには必要だが、普通以上の子供は塾禁止にすべきだと思う。


どうも、野依良治氏は、できる子は塾禁止にして、かわりに「放課後子供プラン」に行くべきだというご意見のようだな。で、できない子はその時間帯、塾に行けということか?それじゃあ、「放課後子供プラン」がエリート養成の場所になって(公的なエリート塾か)、民間の塾ができない子用の場と色分けされるだけじゃないのだろうか。

その続きの議論(らしきもの)。

(野依座長)
入学試験のあり方もいろいろあると思う。これからワールドワイドな頭脳獲得合戦になった場合、全員試験する訳にいかない。アメリカの一流の大学院では試験はしていない。

(小宮山委員)
している。面接で厳しい試験をしている。


「アメリカの一流大学院」の入学審査について委員間で意見が割れているご様子。これ、両方間違っていると思うな。アメリカの大学院入学審査に、GREの試験はほとんどの場合あるわけだから、「試験をしない」ってのは変だ。だが、小宮山委員の「面接で厳しい試験をしている」ってのも、している大学院もあるのだろうが、多くの場合、面接はなく、GRE試験結果、エッセイ、成績と推薦状などを総合的に評価する入学審査だと思う。第一、応募書類は殺到するわけで、全員に厳しい面接試験なんてやっていたら大変なことだ。

で、その後の川勝委員発言が強烈である。

(川勝委員)
....また、できる子を伸ばす必要がある。そういう事が出来るのは葛西さんの学校のようなところだろう。テレビを禁止し、有害情報はシャットアウトし、土日も帰さない。大家族、擬似家族のようなものになっている。こういうことは私立でしかできない、ではなく公立でも真似るべきだ。ある特定の期間だけでもやると必ず、家族にフィードバックされる。日本は植民地に学校を作って、教育した。それをやると躾ができた。学校がもたらす家族へのフィードバックというものもある。学校コミュニティーを大家族のように使うこともいいのでは。



うわわ。 「テレビを禁止し、有害情報はシャットアウトし、土日も帰さない」なんて教育を公教育でやりたいのか。コワすぎだぞこれ。で、戦前植民地での教育を現代の日本でやれと?

もうアホかとしか言いようが、、こういう下らん議論を税金使ってやってるのもひどすぎだ。そして、この議論が政策に反映するようなことがあったらとんでもないことだ。さっさと教育再生会議、解散してくれ。。




アメリカに徴兵制とは初耳だ

2006-12-24 04:05:18 | ニュース、時事ネタ
「教育再生会議」の教育再生分科会、12/9開催の第三分科会の議事要氏ip.10):
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/3bunka/dai2/2gijiyoushi.pdf

教育ジャーナリストであるという、品川裕香氏のご発言より。

(品川委員)
奉仕活動は、何歳から何歳の間で何ヶ月行う等期間に幅を持たせて弾力的に行うことができるようにすればいいのではないか。ボランティアとは違い、強制力のあるものが奉仕活動など、定義をはっきりさせる必要もある。奉仕活動は規範意識を育てるのに大きく貢献するといわれている。またアメリカ等徴兵制のある国はそこで規範意識や自国民という意識が高まるとの意見もある。奉仕活動の意味は多角的に検討されてもいいのではないか。


「アメリカ等徴兵制のある国」って、現在アメリカには徴兵制なんてないんですけど。
しかし、奉仕活動=徴兵制による軍隊への入隊、って化けるのもじゅうぶんありえそうだ、と思わせる発言だな。

この「品川裕香」って人、何者かと思ったら、元扶桑社編集の人だったのね。
http://blog.livedoor.jp/savearticle24/archives/50541411.html

この川勝平太氏の発言もすごいな。
(川勝主査)
留学生が増えているということだが、留学生会館というのがあるが、日本人は入居できない。留学生会館は出島、唐人屋敷と言われている。


日本人が入居できないから何だと言いたいんだろうか?世間のアパートなどへの入居で、外国人が入居を断られるということのほうが大きなスケールの問題なのではないかと思うのだが。そういう問題があるからこそ、留学生会館が必要になっているともいえるのだろうし。「出島、唐人屋敷」などの呼び名に至っては、差別的じゃないのだろうか?


「女性のストレス」研究エントリの反響と心理学

2006-12-23 10:11:46 | 人類学
『「女性の手、夫の手を握ることで解消」研究の実態は』エントリーに関して、ブログでご紹介いただいたり(トラカレパワー、相変わらずすごかった!)、ブックマークのコメントをいただいたりした。けっこうこの研究の報道、注目されていたのですね。しかも、無批判に受け取る人たちもけっこう多いというのに、びっくり。

nikubetaさんという方が、この日本語ニュース記事が与えた誤解について、うまくまとめていらっしゃったので、紹介しておきます。
http://d.hatena.ne.jp/nikubeta/20061221

あと、はてブのchidarinnさんのコメント
ストレス軽減の手段を「夫」に限定する必要は無い。何を導くための研究だったのだろうか。ヘテロセクシュアルを科学的、生理的に肯定するための裏づけ?と邪推せずにはいられない。


私も同様な印象を、この研究に対して持ちました。これはいったい何のための研究なのか?という、根本的な疑問を持ちました。

どうも心理学(だけじゃないけどね)には、「いったい何のために?」という研究が多いような気がします。「科学」を装い、研究の政治性がないかのように思わせておきながら、実はかなり政治的な効果があるのではないだろうかと、特にこの研究は思わせるものがありました。で、マスコミに流れるときには、センセーショナルに変えられ、非常に政治的なバージョン(この場合、「結婚生活がうまくいってると女性のストレスは解消されるよ」というメッセージ)が流されて行く。。

そういえば、以前にも心理学の批判エントリーを書いたことがあるので、貼っておきます。
http://diary.jp.aol.com/yamtom/141.html

心理学の院生さんらしい、leoさんという方の、私への批判エントリーがあったのですが、文字数オーバーになってしまうので、「ふぇみにすとの論考」ブログのほうにエントリ新しくたててそれについて書くことにします。






「女性のストレス夫の手を握ることで解消」研究の実態は

2006-12-21 12:05:58 | ニュース、時事ネタ
女性のストレス、「夫の手を握ること」で解消=米研究
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061220-00000402-reu-ent

米研究によれば、幸せな結婚をしている女性が、ストレスを感じた際に夫の手を握ると、ストレスが即座に解消されることが、脳のスキャンではっきりと示されるという。・・・親密な関係が精神面に及ぼす利点を量的に測ったのは、今回の研究が初めてのことだ」としている。


なんだこの研究?「(ヘテロな)結婚したほうが精神的にもいいよん」というファミリーバリュー系保守的価値観の振興につなげられそうな予感。そもそも「量的に測る」って、どうやったんだ?と疑問に思ったので、オリジナルの論文を見てみた。

James A. Coan, Hillary S. Shaefer, and Richard J. Davidson, "Lending a Hand: Social Regulation of the Neural Response to Threat" Psychological Science, Vol. 17, No. 12, Dec. 2006, pp.1032-1039

Abstractから引用すると
..For this functional magnetic resonance imaging (fMRI) study, 16 married women were subjected to the threat of electric shock while holding thier husband's hand, the hand of an anonymous male experimenter, or no hands at all. ...


ひえええ、なんとこれは電気ショック実験研究だったのだ!
結婚している16人の女性たちに電気ショックが与えられるという恐れのなか、夫の手と、知らない男性研究者の手と、誰の手も握らない場合について、脳の働きを調べたらしい。
論文の中身もぱらぱら見てみたが、実際に電気ショック与えているようだし、、

そもそも、リサーチデザインがへんだ。電気ショック実験の結果を、ロイターの記事に書いてあるような「女性のストレス」がどうという結論に結びつけられるとは思えない。
知らない男性の手を握る、ってのは何なんだろう。それはいかにしても効果なさげというか、あまり握りたいもんじゃないような。
これが友人の女性だったらどうかとか、夫以外の親戚の場合はとか、知らない女性の場合はどうかとか、そういうのは比較しないのだろうか。

Yahoo Indiaに載っている版のロイター記事は以下。
http://in.news.yahoo.com/061219/137/6afcj.html

これによれば、今度はレズビアン・ゲイカップルバージョンや、結婚生活がうまくいってないカップルについても研究する予定だとか。や、やめてくれ。。こんな研究して、何になるっていうわけ?
ああ、これだから心理学は・・・

しかし、ロイターの日本語版、またはげしく省略されたバージョンだったのね。。「電気ショック研究」だという情報が抜けているじゃないか。