ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

工学部と女性、そして派遣留学

2006-11-30 01:54:40 | 大学関係
私は工学部とはまるで縁がない人間なので、内情には疎いのだが、ひとつだけ体験上いえることがある。
大学院生時代、様々な日本からの留学生に会ってきたのだが、工学部の院に留学している日本人の女性だけは会ったことがないのだ。私の大学院生生活はひどく長く、10年以上にわたった(途中で学部変わったのも原因ーとちょっとだけ言い訳)。その期間での話だ。

ほかのアジアの国々からの女性は工学部にいるのに、なぜか日本からの女性はいないー少なくとも私は会っていないし、そういう人がいるという話も聞いた事がなかった。ほかの科学分野や、医学、ビジネススクールなどにも、少ないながらも女性はいたのに。

工学部そのものに女性が少ない、という問題もあるだろう。それに加えて、工学部で女性が院に入ることはますます少なく、そして女性が留学をしようと思えるまでに至るような環境がない、というのもありそうに思う。そして、その後の教員ャXトや企業への就職も、女性にとってとくに厳しいとかなのだろうか(まあどの分野もそうなのだが、工学部はとくに?)。

工学部じたいの人気も下がっていると聞くのだが、日本の工学部はどうなっているのか、いつもフシギに思ってきたのだ。アファーマティブアクション談義で、ふと思い出した。

そういえば、バブル期にたくさんいた、企業派遣でビジネススクールに留学していた人たちの中にも、女性はいなかったな。ビジネス系は、男は企業派遣、女は自費留学、というふうに分かれていた。バブルが終わると、役所からの派遣の数がやたら増えた感じで、Public Policyあたりには、一学年あたり7~8人もいたこともあったようだ。役所からの派遣も、ごく少数の女性はいたものの、たいてい男だ。同じ学年の同じプログラムにこんなに日本人が(しかも似たような環境からきた人たちが)いたら、その人たちだけでつるんでばかりいるようになるのは目にみえる。で、私が知る限り、実際そうなっているケースがほとんどだった。

大学にとっては、ビジネス的には、日本の国が授業料など払ってくれるからいい儲けになるし、日本の官庁とのコネもできるし、いいことづくめなのだろう。ただ、教えている教員の中には、日本からの学生たちがあまりに英語ができなさすぎるので、補習を行ったりせねばならないといって、困っているケースも聞いた事がある。そして、日本人男官僚がやたらと集まっている教育環境は、多様とは言い難いと思う。



アファーマティブアクションと大学についての雑感

2006-11-28 12:58:14 | 大学関係
前回の学術会議主催シンャGントリーで、アファーマティブアクションについての話題が少しでた。
その中でも、

低い点で優先入学させると授業についていけないことがある。あるいは女性を優先的に入学させると,「女性」であるがゆえに能力が低くみられる。低い点で入学できるなら,勉強しなくなるのでは等々。


という系統のアファーマティブアクションへの批判がある、という、シンヵ垂フ中の記述があった。

入学に際してのアファーマティブアクションというのは、あくまでもより多様な大学の教育環境をつくりだし、社会に多様な人材を送り出して行くための様々な方策のひとつだ、と考えるべきだと思う。単にマイノリティを入学させるだけではダメなのは当たり前。入学させてそのまま放っておいたり、マジョリティと同じ教育を受けさせるだけでは、落ちこぼれてしまったり、途中でやめるような展開になる可能性は高い。入れるだけでなく、不利を補うような教育やサメ[トシステムを大学が実践していくことが重要なのだ。それなくしては、何のために入学させたのか?ということになりかねない。実際、アメリカの大学でのマイノリティが卒業するレートは、マジョリティより低いことが多いだろう。すなわち入学後もきちんとサメ[トするシステムを実践している大学が少ないということだ。

マイノリティ学生が、様々な社会的差別や不利益により、大学の勉強のための準備がマジョリティよりできてないのは当然であり、入学時の点数や準備度が、その学生たちの能力と一致するわけではない。もし「授業についていけない」のなら、授業のやり方を根本的に考え直し、多様な学生のニーズにあう教育にしていくことが必要だろうと思う。

ゆうこさんとyokoさんから、実は女性のほうが試験得点が高い場合もよくある、というコメントが寄せられた。確かにそういう場合も多いだろう。

ただ、その「女性」に、ほかのマイノリティの要素が絡んだ場合は?など、単に「女性」とひとくくりにして語れりきれない面もあると思う。そのために、この文書に引用された発言で「女性はみんな納得しない」などと言い切ってしまっているのがあるのに、私は違和感を覚えた。

しかし、この文書ではアファーマティブアクション=女性優遇、みたいに語られていて、まったく複合差別的な視点が欠けているのはどうしてなのだろうか。

私はミシガン大学時代、アファーマティブアクション関連の運動に多少関わったが、私は「外国人学生」であったので、大学のアファーマティブアクションの恩恵にはまるで預かることはなかった。アメリカ人限定だからだ。(外国人留学生はかなり数が多いしね。)でも、例え私がアメリカ人だったり、永住権をもっていたとしても、社会科学分野での「アジア系」や「女性」はアファーマティブアクション対象外だった。すでに数が多いからだ。私のいた大学では、人文分野での「アジア系」、理系の「女性」は対象にはいる場合があったはずだ。

要するに、どうひっくり返っても私には直接の恩恵はない制度だったのだが、やはりアファーマティブアクションを支持する大学環境というだけで、マイノリティのためのサメ[トといった雰囲気があったり、様々なプログラムや授業のテーマに反映されたり、、と実は間接的に非常に恩恵を受けていたのだと思う。



学術会議のジェンダー関連シンモフフシギ

2006-11-22 23:42:45 | フェミニズム
日本学術会議主催の公開シンャWウム「ジェンダー視点が拓く学術と社会の未来」についての記事を読んだ。
http://www.medical-tribune.co.jp/ss/2006-12/ss0612-2.htm


この中でひっかかったこと数点。

まず、東北大教授の辻村みよ子さんの発言として、以下のような記述がある。
70年代になって,欧米では第二次フェミニズム運動の影響を受けて「フェミニズム法学」が盛んになり始めた。ところが90年代になると,これが「ジェンダー法学」と言われるようになった。

「欧米では」って書いてあるが、"Feminist Legal Studies"って言葉、今も普通に使われていると思うんだけどなあ。
ためしにグーグルしてみたが、たくさん出て来たぞ。
「フェミニズム」を終わったものとし、それは「ジェンダー」に置き換わったもの、という位置づけにしたいのだろうか?その狙いは何なんだろう?

そして、この記事、妙にアファーマティブ・アクションに関する否定的解釈ばかりが目立つのも気になる。

序論部分では
特にアファーマティブ・アクション(Affirmative Action:積極的差別是正措置)が話題になり,「点数が低くても優先するといった優遇措置を,女性は望んでいない」などと議論された。

そして、文章後半にも:
 川口さん自身,アファーマティブアクションには反対論があると次のようにふれた。低い点で優先入学させると授業についていけないことがある。あるいは女性を優先的に入学させると,「女性」であるがゆえに能力が低くみられる。低い点で入学できるなら,勉強しなくなるのでは等々。

利点は具体的に書いていないのに、マイナス評価ばかり丁寧に記載されているように思うのだが、、

そして、辻村みよ子さんの発言がまた記載されている。
さらに東北大学教授の辻村みよ子さんは,とくに発言を求め「アファーマティブアクションを,点数の低い女性でも優先入学させるといった定義で理解するなら,女性はみんな納得しない。女性は優遇を求めているのではない。もっときめ細かなアファーマティブアクションを考えていきたい」と述べた。

「きめ細やかなアファーマティブアクション」とは具体的に何なのか、そこを議論しないと意味ないのでは?
また、「女性はみんな納得しない」と「女性」全部を代表して言い切っているのも気になるなあ。

サンノゼのホテルと「カリフォルニアの法律」?

2006-11-21 22:40:14 | 日々の出来事、雑感
学会が推薦してた会場に近いホテルの中で、いちばん安いのを選んだのが失敗だったか。。
ホテルに到着したらいつまでたってもチェックインできず、ツインの部屋を選んだはずなのにベッドひとつの部屋にいれられてしまった。エキストラベッドをいれたものの、いかにしても狭い!
だいたい予約してあった部屋と違うタイプの部屋にいれられるとは、まあたぶんオーバーブックしたんだろうが、ひどいことだ。

ということで、部屋の変更を頼みに(文句を言いに)またフロントへ。
だが、部屋がないのだ、という。しかもその理由づけがすごい。
「カリフォルニア州の法律で、宿泊客が予定の日にチェックアウトしない場合、追い出せないことになっている」
というのだ。
前の日から泊まっている客が、予想に反して滞在を延長したのだという。その客は法律のために追い出せないのだ、と。
そんなこと言ったら、ホテルの予約システム自体がまったく成り立たないのでは?と思ったが、部屋がどうしてもないのだ、という。翌日は部屋を変えることができるから、一日我慢してくれとも言う。せめて部屋のレートはシングル用に下げろ、と交渉した。(むこうの都合でそういう部屋にさせられたんだから、当たり前だ)

で、翌日。また、「チェックアウトする予定の客がしないので、部屋を移ることはできない」と言うのだ。「昨日変えてくれるっていったじゃないか?」といっても、「約束はしてない」と開き直り。「その客はいつ出るんだ?」ときいても、「さあー」とのお答え。このホテル、予約システムがまったく機能しないといいたいのか何なのか。で、また「カリフォルニア州の法律」を持ち出してくるので、「その法律の名前と、何条にどう書いてあるのか教えてくれ」と言った。もごもごしているので、「じゃあ、印刷したものを明日にでもください」と伝えた。「もちろんです」とフロントのマネージャー男は言っていた。

その後も、結局4日間ずっと、部屋の移動はないまま。しかも、部屋レートは初日だけ下げてあったが、残りの3日間は下げてなかった。これを「下げるべき」と主張し、チェックアウト時に下げてもらった。

しかし、結局、「カリフォルニア州の法律」とやらはもらえないまま。
こんな法律が本当にカリフォルニアにあるのか、ご存知の方がいらっしゃったら、よろしく~。

しかし、どう考えても単なるオーバーブックだよね、これ。最初からそう言っておけばいいものを、謎の言い訳をするからややこしくなるんだ。