ふぇみにすとの雑感

日々の雑感、テレビ、社会、フェミニズムについてなど。モンタナ発信。

経験している「アメリカ」の違い

2009-04-30 13:53:00 | 日々の出来事、雑感
「海外で勉強して働こう」というブログエントリが話題になっているようだ。(はてブつきまくりだし、様々なブログでこのエントリについて触れられている。)きちんとエントリ書きたいのだが、今学期末などで時間がないので、思った事を軽くつらつら書き留めておく。

私もこのブログエントリを書いた渡辺千賀さんという人と同様に、アメリカで院に行き、現在仕事をしている。もちろん分野は全然違うし、仕事内容も、(おそらく確実に収入面も!)すごーく違うわけだが。でも、その違いを置いておいても、同じアメリカに同じ時代にいながらして、アメリカ社会の現状について見ているものがあまりに違うことに驚く。

渡辺さんの言われたいことは、1)日本はもう立ち直れないと思う。だから、2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい、という2点らしい。そして、「伸びてる場所を海外に見つけよう、という話しです。」とも書かれている。

しかし、、今のアメリカ「伸びてる」とはほど遠い社会だぞ。これだけ不況が騒がれ、失業者率も様々な都市で高くなり、自動車は売れず、ビッグ3は真剣に破綻しかけている状況。そして、私が今住んでいるモンタナなどは、ここ何十年も常に不況なので、今回の不況のインパクトがほかの今までうまくやっていた州にくらべたら弱いのではないかというくらいだ。(どうせ不況だから同じ、という状態で、「伸びてる」の正反対といえるだろう。)

貧富の差のはげしさ、といえば、日本がどんどん悪化しているとはいえ、アメリカの都市部の貧困地帯をみれば、まだまだ日本はマシかもしれないと思わされるようなひどい状況である。私が2年前まで住んでいたシカゴのサウスサイドの貧困エリア、そしてそれにも増してもっとひどいと思う、アメリカで最も危険な都市ランキング1位に最近なってしまったデトロイトの強烈に寂れ、空き家や空き地、放火された焼け跡の家などがパラパラある貧困エリアなどをみたら、どう考えてもアメリカの貧富の差は本当にひどいと言わざるを得ない。ここモンタナだってそうだ。とくにネイティブアメリカンのリザベーションに住む人たちの貧困状況はかなり深刻だという。うちの近所にだって、今にもつぶれそうなトレーラーハウス群などはいくらでもある。
金持ちエリアのシリコンバレーのようなところにいると、この国の貧困の現状はみえなくなるんだろうか。。「貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす」というのはアルゼンチン型、と渡辺さんは書くが、誘拐はおいておくとしても(っていうか、誘拐される前に銃で撃たれてそれまでだな)、基本的にこれはアメリカにも当てはまるんじゃないのか。

渡辺さんが行ったというスタンフォードのような大学なり大学院に留学すれば、卒業したときに何らかの仕事はあるのかもしれないし、日本に帰っても就職活動で有利に働くこともあるだろう。有名大学だからな。でもスタンフォードは学費も高いし、生活費だってかなり高いだろうし、ローンも借りられない立場の外国人が気軽に留学できるような大学ではないはずだ。

しかし、例えば私が今働いているような、学費もお手頃なマイナー州立大学の場合、アメリカ人の学生だってこの不況時、仕事をさがすのにはげしく苦労している。とくに文系の場合、キャリアフェアなんてものを学校が開いたところで、文系の求人なんてほとんどないと学生がいっていたし(その学生はビジネス専攻だが、それでもその状態なのだから、人類学なんて専攻してしまったらもっとひどいことになるだろう)、仕事を探すのがひじょうに困難な状況なのだ。そのプレッシャーを学生たちはひしひしと感じている。そして、アメリカ人でさえそうなのだから、学生ビザでアメリカに来ている日本人の学生になれば、もっときびしいということである。アメリカ国内で仕事を探すのは本当にきびしいことだし(たいてい、ビザ切れで帰らざるを得なくなるだろう)、だからといって日本での就職もかなりきびしい。外国人にとって、アメリカという国は9/11以降、居づらさが増した。それに加え、この不況である。たとえ留学したからといって、すんなりアメリカで仕事がとれる人なんて、どれだけいるのかどうか。

大学院をでて、博士号をとったとしても(そして、たとえそれが有名大学だったとしても)、現状では就職はかなり大変な状況だ。私は大学業界にいるが、かなりの大学がhiring freeze(雇用凍結)方針を打ち出しており、私の大学ももうすぐそうなるかもしれない。アリゾナ州立大学など、非常勤教員大量解雇にうちきったりもしているわけで、ここでも仕事を探すのが困難な状況である。

渡辺さんのエントリ、日本への危機感は感じているようなのだけれど、アメリカのこの状況に関する危機感がまるでないのはどうしてなんだろう、、と思った。同じ「アメリカ」にいても、見ているものがまるで違うのは、どうしてなんだろう。環境が違うからなのだろうか。

アメリカ国内でいくつか違う地域に住んだ経験は大きいのかもしれない、とも思うのだった。もちろん私がみているものだって限定されてはいるわけだけれど、、

マスク文化のないアメリカ

2009-04-29 23:35:00 | 日々の出来事、雑感
日本の親に電話したら、豚インフルエンザ騒ぎがあるから「マスクをしなさいよ」と言われた。そういえば、日本の人には風邪ひいたとかなんとかいうと「マスクしなくちゃ」とよく言われる。日本に帰ったときも、街にでたり、電車にのったりすると、マスクをしている人たちがいるなあということに気づく。

なぜこうなっているかというと、アメリカには、医者でもペンキ塗りをしているわけでもない普通の人たちが街にでるとき、マスクをする、という習慣がないからだ。(たとえばこの英語ブログでの「日本のマスク文化」に関するエントリに、日本で人々がマスクをしていることへの違和感が書いてある。)このマスク文化、アジア圏的なものらしい。まあ北米でもアジア系が多い地域ーカナダのバンクーバーだとか、アメリカでもカリフォルニアだとかーなら、マスクをしている人たちもいるようで、そう奇異には捉えられないかとおもうが、私が住んでいるのはアジア人が非常に少ないモンタナである。「マスク文化」というものがまったくないし、公共の場でマスクをしていたら、かなり怪しまれてしまうこと確実という状況だ。

さきほど、ドラッグストアCVSのサイトをみてみたが、マスクをみつけるのも大変、、というか、みつけられなかった。(どこかにあるのかもしれないが。)そういえば数年前、SARSが流行ったときはカナダ近所のミシガンにいたわけだが、そのときなんとなく雰囲気にのせられてSARS用に使える強烈なメディカルマスクなるものを買ったのだが、それをみつけるのもけっこう苦労したものだ。

モンタナではまだ豚インフルエンザのケースが報告されていないことと、アジア人が極度に少ないことがあいまって、マスクをして街や大学にでる、というのはかなりの勇気を必要とする。というか、下手にしていったら、「インフルエンザの元」扱いされるか、ヘンな人扱いになりそうだ。実際、豚インフルが報告でもされれば、マスク族もでてくるのかもしれないが、現状ではいないし、そんな中ひとりでマスクしていく勇気は(まあ、マスクじたい持ってないのだが)今のところはないんだよなあ。飛行機でマスクしても、かえって怪しまれてしまいそうなアメリカなのだった。



豚インフルエンザに関する領事館メールがきた

2009-04-29 22:34:00 | ニュース、時事ネタ
「豚インフルエンザに関するお知らせ」なるメールが、シアトルの日本領事館から送られてきた。以下のようなものだ。



豚インフルエンザに関するお知らせ
                                                 2009.0427
在シアトル総領事館

在留邦人の皆様へ

1. 現在、米国及びメキシコ等で豚インフルエンザの発生について報道がなされています。米国疾病管理予防センター(CDC)によれば、4月27日(月)13時現在(米国東部時間)、カリフォルニア州で7例、カンザス州で2例、ニューヨーク市で28例、オハイオ州で1例、テキサス州で2例の計40例の豚インフルエンザの人へ感染が確認されています。この情報は、CDCのホームページ上で随時更新されることになっています。

2. 4月27日(月)10時現在(当地時刻)、シアトル市及びその近郊都市を含むワシントン州での感染例は確認されていません。
    しかしながら、近接したカナダのブリティッシュコロンビアで、2例の感染が確認されています。

3. CDCは、メキシコへの渡航に関し、渡航自体を避けることは勧告してはおりませんが、この地域への渡航予定の者に対し、以下の情報を発出しました。
・ CDCなど、関係機関のホームページの更新情報をチェックする。
・ 渡航前に、渡航先に関する十分な情報(ワクチンの要否や医療機関の情報等)を入手する。
・ 渡航先においては、現地政府機関の告知等に注意を払い、それに従う。
・ 渡航先においては、衛生上の注意を十分に払う。
・ 渡航先において喉の痛みや咳を伴った発熱があった場合は、ただちに医師にかかる。
またCDCは、あわせてカリフォルニア州及びテキサス州住民に対し、感染防止対策として、以下について推奨しています。
・ 頻繁に石けんで手洗いをする。特に咳やくしゃみをした後は徹底する。
・ 咳やくしゃみをする際には、ティッシュで鼻と口を覆う。ティッシュはゴミ箱に捨てる。
・ 健康状態の悪い者には近づかない。
・ もし健康状態が悪くなったら、仕事や学校を休み、家にとどまり、他の者との接触を避ける。
・ 目、鼻、口に触らない。
・ 呼吸器症状(咳、鼻水等)や、身体の痛み、吐き気、嘔吐や下痢など、健康状態が悪くなった場合は、まずはかかりつけの医師に連絡する。
(ご参考:CDCホームページ http://www.cdc.gov/flu/swine/investigation.htm
 WHOホームページ http://www.who.int/en/

4. 外務省では、25日付でメキシコに対する渡航情報(スャbト情報)を発出し、各関係団体に通知するとともに海外安全ホームページに掲載しておりますので、ご参考までにお知らせ致します(http://www.anzen.mofa.go.jp )。
つきましては、今後の報道等に注目して頂き、健康管理に十分ご注意下さい。

℃Q考リンク
厚生労働省「豚インフルエンザに関する情報」:
   http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/090426-02.html


いちおう、シアトル領事館がカバーする地域にアイダホの一部とモンタナもはいっているんだが(だから私にメールがくるわけだ)、「シアトル市及びその近郊都市を含むワシントン州での感染例は確認されていません。」で終っていて、モンタナは完全にスルーされてしまっているようだ。

しかし、日本からのニュースのほうが、アメリカにくらべて大きな扱いのような気がしないでもない、豚インフルエンザ。アメリカからの便に乗っている人は機内検疫があるというニュースもあった。もうすぐ日本に行く予定ではあるのだが、風邪ひいて帰ったりしたら大変面唐ネことになりそうだ。気をつけよう。(それ以前に、感染しないように気をつけねばいけないのだが。帰国前に感染者が報告されているカリフォルニアに行く予定なので、なおさらだ。)

とはいえ、上でリンクしたニュースによれば、

陽性なら、さらに遺伝子検査でウイルスの型を調べ、季節性インフルエンザのA香港型(H3N2型)でないと確認された場合、新型インフルエンザの「疑いあり」として、本人を感染症指定病院に隔離。同行者や近隣座席(前後3列程度)の乗客も、空港周辺の宿泊施設に最長10日間とどまってもらい、健康状態を経過観察する。

って、前後3列程度の人が発熱していたりした場合、隔離されて10日間成田でスタックする可能性があるのか。大変だ。

ところで、この領事館からのメールの冒頭に以下のような文章があった。

This message has been written in Japanese. Sorry for no English.
If you have any question, please call to the nearest Embassy or
Consulate General of Japan, Consular Section. Thank you.

Kotirawa SEATTLE Nippon Soryojikan No Kinkyuu Issei Tsuuhou
(INSIDE Integrated Notify Support In Disaster & Emergency) Desu.
Kono Message Wa Nihongo Kanji Nite Soshin Sareteimasu. Honkenni
Kanshiteno Otoiawasewa Ochikakuno Zaigaikoukan Made Gorenraku Kudasai.


領事館のサービスを利用する日本のパスメ[トをもっている人の中でも、日本語ができない人だっているだろう。例えば日本生まれ、アメリカ育ちだとか、アメリカ生まれでも日本国籍の人だっているわけだ。しかしながら、"Sorry for no English"(ヘンな英語だ)ですませ、質問があったら領事館に連絡せよといったって、このメールのタイトル(「豚インフルエンザに関するお知らせ」)から本文から全部日本語なので、リンクである程度ぼんやりと想像はできるかもしれないが、基本的には何についてのメールかすらもわからないわけだ。日本国籍をもつということは、必ずしも日本語ができる、という意味ではないのだから。

いちおう領事館的には重要な情報だと思うからこそ、こういったメールを流してきたんだろうし、せめて、おおまかな内容くらい英語で書いたらどうかと思うけどなあ。アメリカに所在しているオフィスなわけで、「英語ができない」という理由づけは通用しないと思うぞ。






まだまだ降り続く雪

2009-04-29 00:29:00 | 日々の出来事、雑感
アメリカの東部、中西部あたりはだいぶ暖かくーというか暑くーなってきたという話を聞くのだが、ここ坊主マンはいまだに雪がふっている。気温はそう低くないので、降ってもすぐ解けることは解けるのだが、、今日も雪がふっており、またクルマの雪下ろしが待っている。もうすぐ5月だというのにいい加減、雪も飽きたんだがなあ。

冬物セールになっていたので、通販で銀行強盗風、目だけがでるフリースのかぶりものをついに買った。これで来年の冬、とんでもなく寒い日に顔が防御できるぞ。しかし、試しにかぶってみたのだが、我ながらかなり怪しい人にみえるんだよな。