「海外で勉強して働こう」というブログエントリが話題になっているようだ。(はてブつきまくりだし、様々なブログでこのエントリについて触れられている。)きちんとエントリ書きたいのだが、今学期末などで時間がないので、思った事を軽くつらつら書き留めておく。
私もこのブログエントリを書いた渡辺千賀さんという人と同様に、アメリカで院に行き、現在仕事をしている。もちろん分野は全然違うし、仕事内容も、(おそらく確実に収入面も!)すごーく違うわけだが。でも、その違いを置いておいても、同じアメリカに同じ時代にいながらして、アメリカ社会の現状について見ているものがあまりに違うことに驚く。
渡辺さんの言われたいことは、1)日本はもう立ち直れないと思う。だから、2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい、という2点らしい。そして、「伸びてる場所を海外に見つけよう、という話しです。」とも書かれている。
しかし、、今のアメリカ「伸びてる」とはほど遠い社会だぞ。これだけ不況が騒がれ、失業者率も様々な都市で高くなり、自動車は売れず、ビッグ3は真剣に破綻しかけている状況。そして、私が今住んでいるモンタナなどは、ここ何十年も常に不況なので、今回の不況のインパクトがほかの今までうまくやっていた州にくらべたら弱いのではないかというくらいだ。(どうせ不況だから同じ、という状態で、「伸びてる」の正反対といえるだろう。)
貧富の差のはげしさ、といえば、日本がどんどん悪化しているとはいえ、アメリカの都市部の貧困地帯をみれば、まだまだ日本はマシかもしれないと思わされるようなひどい状況である。私が2年前まで住んでいたシカゴのサウスサイドの貧困エリア、そしてそれにも増してもっとひどいと思う、アメリカで最も危険な都市ランキング1位に最近なってしまったデトロイトの強烈に寂れ、空き家や空き地、放火された焼け跡の家などがパラパラある貧困エリアなどをみたら、どう考えてもアメリカの貧富の差は本当にひどいと言わざるを得ない。ここモンタナだってそうだ。とくにネイティブアメリカンのリザベーションに住む人たちの貧困状況はかなり深刻だという。うちの近所にだって、今にもつぶれそうなトレーラーハウス群などはいくらでもある。
金持ちエリアのシリコンバレーのようなところにいると、この国の貧困の現状はみえなくなるんだろうか。。「貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす」というのはアルゼンチン型、と渡辺さんは書くが、誘拐はおいておくとしても(っていうか、誘拐される前に銃で撃たれてそれまでだな)、基本的にこれはアメリカにも当てはまるんじゃないのか。
渡辺さんが行ったというスタンフォードのような大学なり大学院に留学すれば、卒業したときに何らかの仕事はあるのかもしれないし、日本に帰っても就職活動で有利に働くこともあるだろう。有名大学だからな。でもスタンフォードは学費も高いし、生活費だってかなり高いだろうし、ローンも借りられない立場の外国人が気軽に留学できるような大学ではないはずだ。
しかし、例えば私が今働いているような、学費もお手頃なマイナー州立大学の場合、アメリカ人の学生だってこの不況時、仕事をさがすのにはげしく苦労している。とくに文系の場合、キャリアフェアなんてものを学校が開いたところで、文系の求人なんてほとんどないと学生がいっていたし(その学生はビジネス専攻だが、それでもその状態なのだから、人類学なんて専攻してしまったらもっとひどいことになるだろう)、仕事を探すのがひじょうに困難な状況なのだ。そのプレッシャーを学生たちはひしひしと感じている。そして、アメリカ人でさえそうなのだから、学生ビザでアメリカに来ている日本人の学生になれば、もっときびしいということである。アメリカ国内で仕事を探すのは本当にきびしいことだし(たいてい、ビザ切れで帰らざるを得なくなるだろう)、だからといって日本での就職もかなりきびしい。外国人にとって、アメリカという国は9/11以降、居づらさが増した。それに加え、この不況である。たとえ留学したからといって、すんなりアメリカで仕事がとれる人なんて、どれだけいるのかどうか。
大学院をでて、博士号をとったとしても(そして、たとえそれが有名大学だったとしても)、現状では就職はかなり大変な状況だ。私は大学業界にいるが、かなりの大学がhiring freeze(雇用凍結)方針を打ち出しており、私の大学ももうすぐそうなるかもしれない。アリゾナ州立大学など、非常勤教員大量解雇にうちきったりもしているわけで、ここでも仕事を探すのが困難な状況である。
渡辺さんのエントリ、日本への危機感は感じているようなのだけれど、アメリカのこの状況に関する危機感がまるでないのはどうしてなんだろう、、と思った。同じ「アメリカ」にいても、見ているものがまるで違うのは、どうしてなんだろう。環境が違うからなのだろうか。
アメリカ国内でいくつか違う地域に住んだ経験は大きいのかもしれない、とも思うのだった。もちろん私がみているものだって限定されてはいるわけだけれど、、
私もこのブログエントリを書いた渡辺千賀さんという人と同様に、アメリカで院に行き、現在仕事をしている。もちろん分野は全然違うし、仕事内容も、(おそらく確実に収入面も!)すごーく違うわけだが。でも、その違いを置いておいても、同じアメリカに同じ時代にいながらして、アメリカ社会の現状について見ているものがあまりに違うことに驚く。
渡辺さんの言われたいことは、1)日本はもう立ち直れないと思う。だから、2)海外で勉強してそのまま海外で働く道を真剣に考えてみて欲しい、という2点らしい。そして、「伸びてる場所を海外に見つけよう、という話しです。」とも書かれている。
しかし、、今のアメリカ「伸びてる」とはほど遠い社会だぞ。これだけ不況が騒がれ、失業者率も様々な都市で高くなり、自動車は売れず、ビッグ3は真剣に破綻しかけている状況。そして、私が今住んでいるモンタナなどは、ここ何十年も常に不況なので、今回の不況のインパクトがほかの今までうまくやっていた州にくらべたら弱いのではないかというくらいだ。(どうせ不況だから同じ、という状態で、「伸びてる」の正反対といえるだろう。)
貧富の差のはげしさ、といえば、日本がどんどん悪化しているとはいえ、アメリカの都市部の貧困地帯をみれば、まだまだ日本はマシかもしれないと思わされるようなひどい状況である。私が2年前まで住んでいたシカゴのサウスサイドの貧困エリア、そしてそれにも増してもっとひどいと思う、アメリカで最も危険な都市ランキング1位に最近なってしまったデトロイトの強烈に寂れ、空き家や空き地、放火された焼け跡の家などがパラパラある貧困エリアなどをみたら、どう考えてもアメリカの貧富の差は本当にひどいと言わざるを得ない。ここモンタナだってそうだ。とくにネイティブアメリカンのリザベーションに住む人たちの貧困状況はかなり深刻だという。うちの近所にだって、今にもつぶれそうなトレーラーハウス群などはいくらでもある。
金持ちエリアのシリコンバレーのようなところにいると、この国の貧困の現状はみえなくなるんだろうか。。「貧富の差は激しく、一部の著しい金持ちと、未来に希望を持てない多くの貧困層に分離、金持ちは誘拐を恐れて暮らす」というのはアルゼンチン型、と渡辺さんは書くが、誘拐はおいておくとしても(っていうか、誘拐される前に銃で撃たれてそれまでだな)、基本的にこれはアメリカにも当てはまるんじゃないのか。
渡辺さんが行ったというスタンフォードのような大学なり大学院に留学すれば、卒業したときに何らかの仕事はあるのかもしれないし、日本に帰っても就職活動で有利に働くこともあるだろう。有名大学だからな。でもスタンフォードは学費も高いし、生活費だってかなり高いだろうし、ローンも借りられない立場の外国人が気軽に留学できるような大学ではないはずだ。
しかし、例えば私が今働いているような、学費もお手頃なマイナー州立大学の場合、アメリカ人の学生だってこの不況時、仕事をさがすのにはげしく苦労している。とくに文系の場合、キャリアフェアなんてものを学校が開いたところで、文系の求人なんてほとんどないと学生がいっていたし(その学生はビジネス専攻だが、それでもその状態なのだから、人類学なんて専攻してしまったらもっとひどいことになるだろう)、仕事を探すのがひじょうに困難な状況なのだ。そのプレッシャーを学生たちはひしひしと感じている。そして、アメリカ人でさえそうなのだから、学生ビザでアメリカに来ている日本人の学生になれば、もっときびしいということである。アメリカ国内で仕事を探すのは本当にきびしいことだし(たいてい、ビザ切れで帰らざるを得なくなるだろう)、だからといって日本での就職もかなりきびしい。外国人にとって、アメリカという国は9/11以降、居づらさが増した。それに加え、この不況である。たとえ留学したからといって、すんなりアメリカで仕事がとれる人なんて、どれだけいるのかどうか。
大学院をでて、博士号をとったとしても(そして、たとえそれが有名大学だったとしても)、現状では就職はかなり大変な状況だ。私は大学業界にいるが、かなりの大学がhiring freeze(雇用凍結)方針を打ち出しており、私の大学ももうすぐそうなるかもしれない。アリゾナ州立大学など、非常勤教員大量解雇にうちきったりもしているわけで、ここでも仕事を探すのが困難な状況である。
渡辺さんのエントリ、日本への危機感は感じているようなのだけれど、アメリカのこの状況に関する危機感がまるでないのはどうしてなんだろう、、と思った。同じ「アメリカ」にいても、見ているものがまるで違うのは、どうしてなんだろう。環境が違うからなのだろうか。
アメリカ国内でいくつか違う地域に住んだ経験は大きいのかもしれない、とも思うのだった。もちろん私がみているものだって限定されてはいるわけだけれど、、