いや、まさか私が「世界日報」に載るとは。3月30日付ウェブ版「世界日報」の「袋小路のジェンダーフリー(1)」なる特集に、何と私の名前が登場してしまっているのだ。知人からのメールで知ったのだが、いや驚いた。
何とそこでは、私は「ジャーナリスト・山口智美氏」になっている。本人も知らないうちに、いつの間に私はジャーナリストに?「We」誌に私は自分の「シカゴ大学東アジア研究センター研究員(文化人類学・女性学)」という肩書きを載せているので、世界日報の山本彰記者は、「We」掲載の私の原典を読んでいないことは明らかだ。山本記者によれば、私の文章は「詳しい調査に基づく記事」なんだそうだが、読んでいないんじゃねえ。
そして、「世界日報」は、岩波書店「世界」における汐見稔幸氏の文章にある私に関する引用を挙げながら、アメリカの研究者、バーバラ・ヒューストンは「ジェンダーフリー」ではなく、「ジェンダー・センシティブ」でなければいけないという文脈で使ったと紹介している。
この「ジェンダー・センシティブ」の理解にはぶっ飛んだ。「つまり、ヒューストンの主張は、『女らしさ』が差別の原因になるからと否定するのではなく、『女らしさ』に繊細に対処しながら行う教育が必要ということである」と無理に解釈しているのだ。これは、当然ながら大きな間違いである。ヒューストンの主張は『女らしさ』概念に基づく差別に敏感になるべきであり、その上で性差別をなくす教育をつくっていくべきだ、というものだからだ。敏感になるべきは、社会文化的な性であるジェンダーに基づいた差別であり、「女らしさ」に敏感になれなどとは全くヒューストンは書いていない。これもとんでもない誤読、というより、故意の曲解であろう。
その後に、「どうしてもジェンダー(女らしさ)がセックスと無関係ではないという事実に行き当たり、、」などと書いてあるが、こんなことはヒューストンは全く主張していない。完全な「世界日報」の作り話しである。
こういう書き方を「世界日報」にされるのは少々驚いたとはいえ、十分あり得ることだ。「だから今、こういう批判はすべきではない」という、フェミニズムや女性運動内部の声もあるかもしれない。だが、だからといって「ジェンダーフリー」概念自体を批判的に検証することを自粛していく、というのは、ますますマイナスになると考える。バックラッシュ派の言説に影響されて、自分たちの言論を自粛するということは大きな後退だと思う。ということで、今後もがんがんと主張していくつもりだ。
岩波「世界」のジェンダーフリー特集号は、日本から送ってもらい届いたので、また感想など書いて行く予定。
何とそこでは、私は「ジャーナリスト・山口智美氏」になっている。本人も知らないうちに、いつの間に私はジャーナリストに?「We」誌に私は自分の「シカゴ大学東アジア研究センター研究員(文化人類学・女性学)」という肩書きを載せているので、世界日報の山本彰記者は、「We」掲載の私の原典を読んでいないことは明らかだ。山本記者によれば、私の文章は「詳しい調査に基づく記事」なんだそうだが、読んでいないんじゃねえ。
そして、「世界日報」は、岩波書店「世界」における汐見稔幸氏の文章にある私に関する引用を挙げながら、アメリカの研究者、バーバラ・ヒューストンは「ジェンダーフリー」ではなく、「ジェンダー・センシティブ」でなければいけないという文脈で使ったと紹介している。
この「ジェンダー・センシティブ」の理解にはぶっ飛んだ。「つまり、ヒューストンの主張は、『女らしさ』が差別の原因になるからと否定するのではなく、『女らしさ』に繊細に対処しながら行う教育が必要ということである」と無理に解釈しているのだ。これは、当然ながら大きな間違いである。ヒューストンの主張は『女らしさ』概念に基づく差別に敏感になるべきであり、その上で性差別をなくす教育をつくっていくべきだ、というものだからだ。敏感になるべきは、社会文化的な性であるジェンダーに基づいた差別であり、「女らしさ」に敏感になれなどとは全くヒューストンは書いていない。これもとんでもない誤読、というより、故意の曲解であろう。
その後に、「どうしてもジェンダー(女らしさ)がセックスと無関係ではないという事実に行き当たり、、」などと書いてあるが、こんなことはヒューストンは全く主張していない。完全な「世界日報」の作り話しである。
こういう書き方を「世界日報」にされるのは少々驚いたとはいえ、十分あり得ることだ。「だから今、こういう批判はすべきではない」という、フェミニズムや女性運動内部の声もあるかもしれない。だが、だからといって「ジェンダーフリー」概念自体を批判的に検証することを自粛していく、というのは、ますますマイナスになると考える。バックラッシュ派の言説に影響されて、自分たちの言論を自粛するということは大きな後退だと思う。ということで、今後もがんがんと主張していくつもりだ。
岩波「世界」のジェンダーフリー特集号は、日本から送ってもらい届いたので、また感想など書いて行く予定。