うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その67

2008-08-28 06:30:58 | 日記

翌日純な苦味生さんと連れ立って荒尾海岸を散歩しております。そこで余人には滅多できないお膳立てをします。捨て草を焚いて酒瓶を温め、貝殻を拾ってきて別杯を交わすのです。なんとも言えぬ情緒だったと端然とした物言いですが、この世の情景とは思えぬ幽玄の境地か、唖然としつつも羨ましい気持ちが湧いてまいります。またその後が凄い、この日<st1:MSNCTYST w:st="on" AddressList="43:熊本県熊本市;" Address="熊本市">熊本市</st1:MSNCTYST>彷徨と書いてますが、さて今夜はとの思案ですが、もう遅くて泊まる宿はない、あっても私の泊まれるような宿はない。宿はあっても泊まる金がないと念を入れます。
 「ままよ、一杯ひつかけて駅の待合室のベンチに寝ころんだ、ずゐぶんなさけなかつたけれど。……」
 あてもなくさまよう笠に霜ふるらしい
 寝るところが見つからないふるさとの空
 火が燃えてゐる生き物があつまつてくる

 起きるより火を焚いて
 磯に足跡つけてきて別れる
 夕べの食へない顔があつまつてくる
 霜夜の寝床が見つからない<o:p></o:p>

 堅いベンチの上で朝を迎えています。うつらうつらしていてようやくの朝のようです。その後がまた山頭火の面目躍如です。飯屋で霜消し一杯と洒落のめします。さすが俳人です。小生でしたら景気づけに一杯とするのが精一杯といったところでしょう。今日は昨日で懲りていますから、俳友を訪ねても長居せず、本妙寺下の安宿を教えられて早々に草鞋を脱ぎます。
 こうみますと、俳人仲間が全て宿を提供してくれるとは限らないようです。例えば旦那が俳句にのめりこんでいて、山頭火を尊敬していても家人はそうとは限りません。正直なところ薄汚い雲水としか見ない場合だってあるわけです。そう思います。「こんど熊本に戻ってきて、ルンペンの悲哀をつくづく感じた、今日一日は一句も出来なかった。」しみじみと語っています。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (■かわぐち えいこう)
2008-08-28 14:34:29
世を捨てたようで、まるで捨てていない山頭火のようです。捨てきれないところに生身の苦悩がモロに出ます。だからグチともとれるようなボヤキをする山頭火に、私たちは強く惹かれます。
返信する
Unknown (うたのすけ)
2008-08-28 15:50:56
かわぐち えいこうさんへ。
今日は。
出家の身でありながら俗臭ぷんぷん、悩み苦しみ反省の日々に生きる姿が身近に感じます。
返信する
Unknown (やまちゃん)
2008-08-28 16:20:27
今日は
海岸でのお酒 美味しそうです。焚火の焼き芋なんか好きですから 楽しく 弾んじゃいますね。生き方も楽しんでもいるようですが・・?
返信する
Unknown (うたのすけ)
2008-08-28 18:31:05
やまちゃんへ。
今晩は。
海岸てのお燗酒、見事な演出です。なかなか真似する機会はありませんけど。
返信する

コメントを投稿