うたのすけの日常

日々の単なる日記等

うたのすけの日常 山頭火の日記を読む その139

2008-12-01 06:00:33 | 日記

 生まれて初めて蒸湯なるものに入ったが、とても我慢できるものではなかったと言います。果たしてどんな湯なのでしょうか。「旅の目覚めの窓をあけたら、青葉若葉に朝月があつた。このあたりの海岸は日本的風景。」結構なことであります。小生としては思わずほっとさせられたといったところでしょうか。<o:p></o:p>

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 波音のお念仏がきこえる<o:p></o:p>

 玄海の白波へ幟へんぽん<o:p></o:p>

 旅のつかれの夕月が出てゐる<o:p></o:p>

 焼芋をつつんでくれた号外も読む<o:p></o:p>

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五月二十四日 晴、行程わずかに一里、川棚温泉<o:p></o:p>

 「すつかり夏になつた、」そういえば前の晩に蚤と蚊に責められ一睡もできず、千鳥が鳴くのを聞くが句にならなかったと言ってました。しかし陽気です。多少の寝不足は苦にならず身心十分、小串町を行乞して泊まって食べてちょっぴり飲むだけは頂いたと。恐らくその後にヘヘッと舌を出したのではないでしょうか。<o:p></o:p>

 川棚温泉を評しています。土地はよろしいが温泉がよくない、おまけに人間もよろしくないらしいと言ってのけます。湯銭の三銭は正当だが剃髪料の三十五銭はダンゼン高いと剣幕です。しかし土地はよろしいと褒めていることは風景が良いということなのか、「歩いて、日本は松の国であると思ふ。新緑郷(鉄道省の宣伝ビラの文句だがいい言葉だ)蜜柑の里だ、あの甘酸つぱい匂ひは少年の夢そのものだ。」<o:p></o:p>

 「松原の、松のないところは月草がいちめんに咲いてゐた、月草は何と日本的のやさしさだらう。」<o:p></o:p>

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 ふるさとはみかんのはなのにほふとき<o:p></o:p>

 初夏の坊主頭で歩く<o:p></o:p>

 歩くところは花の匂ふところ<o:p></o:p>

 コドモが泣いてハナが咲いてゐた <o:p></o:p>


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