昼を過ぎましたのに
腹が減っては戦になりませんので、食堂で用意してきた昼食を摂ります。運よく終えたころに、看護婦さんから連絡が入ります。といっても妹の友だちが、ナースセンターに訊きに行ってくれてのことであります。手術は終わり、現在麻酔を覚ます処置をとっていて、間もなく先生からお話があるということです。三人一応ホッとした表情で控室に陣取ります。
先生が見えます。患部は所見通りの様態でして、すべきことはすべて行えました。間もなく麻酔も覚め、そうしたら集中治療室で面会できますと、なかなか簡潔なそして力強いお話で先がぱっと明るくなった気が致します。
間もなく看護婦さんに案内され集中治療室に向かいます。入り口でスリッパに履き替え、手を消毒してから用意されてるマスクをして室内に入りました。テレビなどでよく目にする小奇麗な光景とは大違いでして、講堂のような大きな室内にカーテンで仕切られたベッドが雑然と置かれていて、一口に言って野戦病院のごとき荒々しさを感じました。そんな状態にかえって強い安心感が生まれてきます。各ベッドへ行き来する看護婦さんの動きも、緊張感の中に余裕が十分に感じられました。
妹は盛んに寒い寒いとうずくまっています。看護婦さんは私たちに、電気毛布も入っていますし、もう少しで麻酔が完全に醒めれば普通の状態になりますと、毛布を一枚かけてくれます。
しばらくそばにいましたが、看護婦さんたちの邪魔になってもいけませんので、明日は早々にくることにして、三人で一緒に帰ることにしました。
博多駅で改札を出て右と左に分かれます。
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