観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

リニアで成長する経済、幹線から外れる静岡

2023-10-04 00:53:26 | 国土交通・防災
リニア遅延 川勝知事の抵抗に勝る魅力を語れるか 石井聡(産経 2023/10/2)

大都市を短時間で結ぶリニアの魅力は、大都市(特に東京)の商圏拡大だと私は思います(日帰りが加速すると思われ、例えば泊まりの観光が伸びる訳でもないでしょう。新しく幹線になる地方にメリットは少なくないとも思いますが)。大都市(東京は世界一の大都市)には大都市の魅力があって、ニッチ市場が発達します。

アマゾンはロングテール戦略で成功していますし、世界的に大都市は伸びています。これを加速させますから、成功は固いと私は思いますが、地方創成を掲げた安倍政権やそれを受け継ぐデジタル田園都市を掲げる岸田政権では、その方向でも成功するんだという意識が無く、従って民間も期待できません。

名古屋/愛知のデパートは閉めたりして、計算しているようにも見えるんですけどね(とりあえず名古屋まで)。その先の関西はまだ先ですが、意地でも通して二大都市に交流させようという気合が足りません(二時間半から一時間に短縮)。北陸新幹線も東京側だけやって大阪/関西の矜持が感じられません。

せっかく東京に超巨大マニア市場があって、安倍政権は秋葉原を大事にしてきたはずですが、国立メディア芸術総合センターも「アニメの殿堂」「国営漫画喫茶」等と罵る愚か者に押し切られて潰されてしまいました。安倍政権もビジョンと気合が足りなかったでしょう。

インバウンド批判も馬耳東風で東京は文化でも(大きい内需狙いのついでに)稼ぐんだと押し切れば良かったでしょう。まず稼げるところで稼げなければ、稼げないところで稼ごうとしても難しい訳です(そもそも大都市の鉄道と都市間鉄道自体が成長産業でもありますが)。日本の漫画は世界に通用しているのですから、足を引っ張る愚か者にいい顔をしても仕方ありません。

静岡はどうやってもこのビジョンには乗れません。リニアは事実上通ってないからです。そもそも通さなければ良かった訳ですが、静岡県知事がリニア賛成派と偽って騙されてしまった経緯があります。ただリニアで新幹線が儲からなくなる/静岡が街道から外れて寂れる試算もあるようです。

それならば、静岡に何らかのプレゼントをすることも一案でしょう。騙すのはイカン、従えの一点張りでは動くものも動かない訳です。勿論、新幹線を増便して静岡もJR東海もwin-winの関係になるなら、静岡は何やってんだの一喝も当然でしょう。その辺、腹を割って話し合うべきなんだろうと思います。

静岡県知事は因縁ばかりつけていて、その言葉は額面通り受け取れません。腹も立ちますが、あれでも静岡県民の代表です。静岡県を含む日本国の代表として、岸田政権は静岡県のために(静岡県知事の表向きの言葉は無視して)何が出来るかを考えて行動するべきではないかと思います。

定型的な作業をコンピューターに任せたその先

2023-10-03 22:45:12 | デジタル・AI
岸田首相 “生成AI活用のルールづくり 日本が主導的役割を”(NHK 2023年10月1日)

現状のAIは人間の創造性を補助する役割と定型的な作業を代替する役割があると思います。前者に反対する人はあまりいないと思うのですが、後者は仕事が無くなるとの反対が有り得ます。果たして生成AIは日本社会を良い方向に導くのでしょうか?

結論から言えば、生成AIと上手く付き合えば、日本社会は良い方向に向かうと思います。生産性を高める変化は経済成長の原動力ですから。具体的に定型的な作業を生成AIやRPA、DXが代替したら、どうなるかと言えば、ホワイトカラーの仕事が減るに違いありません。ところがホワイトカラーの仕事は、人手余り気味なんですね。コンピューターを(検索など)人間の創造性を高める方向性で使えば、人手余りの方向に向かわず、生産性を上げることが出来ると思いますが、定型的な作業をコンピューターが代替したところで、総生産は上がらず、人件費が削られるという事態になりかねません。

では、コンピューターが人間より上手く出来ることを人間がやり続けるべきでしょうか?私はそうではないと思います。定型的な作業とは事務作業だと思いますが、削減できる事務はキッパリ削減して、サービス残業を撲滅するなり、他の創造的な仕事をしたり、人手不足の作業に人が移動する余地はあると言うべきでしょう。しかし、単にサービス残業が撲滅されるだけで、経済成長に繋がるでしょうか?私は繋がり得るんだろうと思います。要は夜の余暇が増えるのでしょうが、余裕が無ければ、少子化問題の改善は難しくなるでしょうし、子供の無いあるいは子育ての終わった余裕のある家庭の余暇は大きな可能性を秘めています。つまり(会社も認めるべき健全な)(レイトショー等)ナイトタイムエコノミーが成長する可能性があるでしょう。これが今出来ていないということは、忙しい人が多いか、自粛しているか、お金が無いのです。しかし仕事が削減されたホワイトカラーは実現可能ですし、子育ての終わった余裕のある人達は少なくないはずです。ここが消費しないと、何時まで経っても需要は拡大しない訳です。まぁ夜はさておき、休日もそうですが、お金を持っている方々がチープな消費をするようでは、経済は何時まで経っても活性化するはずがないですよね。

例えば観光業です。子育て世代の子連れの観光、子育てが終わった世代の余裕のある観光、持ち家があって厚生年金を貰っているシルバー世代の観光で経済を回します。お金を持っていても使い方を知らなければ、ただ単に貯めるだけになります(なっています)。

若者世代は夜に休日に相手を見つけに行ってもいいでしょうし、パートナーと(仕事に支障のない範囲で)遊んでもいいでしょう。体力はあるでしょうし。

お金が無かったら?今時ネットでも何でもお金のかからない「遊び」もあるはずです。ただ経済を回す意味では、貢献しないということに過ぎません。

仕事の支障のない範囲というのも、基本実名のfacebook(や準実名のインスタ)との連携を意識しています。あれは実社会に近い否定しないキラキラSNSですからね。ああいうSNSにアップできるような健全な活動であれば、実名であっても構わないという訳です。勿論、批判できるのがXの魅力とは思いますが。

匿名で批判もし得る文化のXにおいて、(誹謗中傷対策と言い張って、批判を封じる目的で使われがちな)(ミュートや鍵があって、公序良俗に反するアカウントもありますから、繋がりを示すフォローを防ぐことが出来れば)ブロックは本来必要のない機能だと私は思いますが、それは兎も角、批判されて気持ちがいい人はほぼいないと思いますが、それを可能にしておくことはわりと重要なことだと私は思う訳です。実名で批判しないと卑怯という人もいますが、少なくとも日本では現実世界で人の批判は、そう簡単に行われませんし、プライバシーが無い世界も疑問な訳です。

話は逸れましたが、夜に勉強したり、リスキリングするのも考えられはしますね。生成AIは本業のある文系のプログラミングを可能にするようですし、今なら案外高い生産性に繋がるかもしれません。転職に繋がるような勉強は、少なくとも今の日本では、コッソリやった方がいいような気もしますが。

最後に重要なのは、起こる変化をどう活用していくかということです。やらないと始まらないことはやった方がいいはずであって、負の側面ばかり注目して、後ろ向きになっても仕方がありません。嫉妬で他人の足を引っ張って幸せになれる人もいるんでしょうが、日本は停滞を打破しなければなりません。別に仕事で夜も忙しい人がいたとして、その分稼げて社会的な地位もあれば、余暇を楽しんでいる人に嫉妬することもないでしょう?

インフレ期待が無い日本

2023-10-02 04:40:03 | 経済財政
日本経済の現在の問題はインフレ期待が無いことだと思いますが、何故インフレ期待が無いことが問題かと言うと、インフレが続くことが予想されていないと(外的要因によるインフレは外的要因によって消滅する可能性があります)、日本の資金が眠ってしまうからです。資金は使わないと意味が無い訳ですね。その意味でデフレ(物価が下がること)を喜ぶのは近視眼的で、資金が眠っている分、実質では損をしている訳です(日本の働き手一人当たりのGDPは上昇していますが、GDPは増えておらず(減った働き手でGDPを維持しているだけです)、実質賃金は上昇していません)。過剰な貯蓄で幸せになれるのは守銭奴だけで、お金は使わないと意味が無いというのが普通の考え方です。冥銭であの世に持っていけばいいという訳にもいかないでしょう?日本の眠った資金を活用して、労働者の賃金を上げていくことが今、必要な訳です。所得税減税で労働者の所得を増やせばいい?税収を減らして(鰐の口を開けて)、世界一の国債残高が金利上昇を受けて大丈夫でしょうか?身の丈に合わない支出は国であっても、続かない訳です。魔法の杖があれば、インフレに苦しむ国なんて無い訳ですから。勿論日本人がより幸せになる方法はあります。それが眠った資金を活用することで、物価を上げ、それ以上に賃金を上げることです。そんなことが可能かと言えば、普通に可能です。日本以外の国は物価が上昇しており、(物価を調整した)実質賃金も上昇している訳ですから。完全に理論通りな訳です。物価が上がってない日本は実質で調整すれば、幸せだというのは間違った思い込みに過ぎません。

では日本で何故インフレ期待が形成されないのでしょう?それは少子化による市場縮小予測で日本人の意識が防衛的になっていることが一因でしょう。ただ、少子化のトレンドは反転させたとしても直ぐには変わりません。それでは打つ手が無いのかと言えば、打つ手はあります。縮まる市場に併せて、供給が適切に絞れればいいんですね。つまり供給過剰が適切に処理されれば、普通に物価は上がり得ます。勿論、公的部門も適切に供給を絞るべきですが、民間部門も適切に供給を絞らなければなりません。生産性の低いゾンビ企業の延命が過剰供給の原因だとも言える訳で、最低賃金を上げて、生産性の低い業界・企業に圧力をかければ、今の状況は改善し得る訳です。勿論、失業率が上がれば、国全体で最低賃金上げの効果が相殺されるとの見方も有り得ます。しかし、人手不足で失業率の上昇は防ぎ得ると考えられます。少々企業が減っても、代わりの企業が必要なだけ生産をすれば、総生産も下がりません(過剰な生産は削られ、価格が上昇することで、総生産は維持上昇します)。

需給ギャップがある(供給力過剰)なら(物価が上昇しないなら)、需要を上げればいいと思うかもしれませんが、そこが有りがちな陥穽です。日本のPBは赤字で、政府にお金を撒く余地が少ないんですね。日本の国債残高は世界一で、今金利が上昇しています。そろそろ従来の手法の限界を悟る時期に来たと言えます。有り体に言って、欲しいものがない(供給力過剰の)状態でお金を撒いても仕方がないんですね。欲しいものを売っているのは基本的に企業です。売れないものを売ろうとする企業はありません(作り過ぎで売れ残ったものは値引き販売するでしょうが)。企業が適切に商売し(ビッグモーターのような不適切な商売は国民を不幸にしますが)、賃上げして、設備投資すれば、日本の実質賃金が上がって、経済成長もする訳で、それが経済の王道です。企業を変えないまま、企業にお金を注がないまま、公がお金を撒けば何とかなるんじゃないかという甘い幻想が日本を覆っているような気もしますが、それは単なる鎮痛剤であって、手術をしないと病気は進行します。

少子化の結果が人手不足です。少子化でもやれるということを示すには、人手不足に対応するしかありません。市場縮小予測/日本の人口減のトレンドの下でも、企業は収益を上げ得るということを示すことが必要とも言えます。あまり総論だけで、大きなことを言っても仕方ありません(生産性の低い供給を絞ってPBを悪化させず消費性向の高い需要を増やすこれまで試みられなかった最低賃金上げは効果あると思いますが)。経済に良さそうなことは何でもやって、今の状況で満足しないことが重要なんだろうと私は思います。

自民・森山総務会長、減税なら「国民の審判仰ぐ必要」(日経 2023年10月1日)

減税で需要を増やすことは、需給ギャップがあっても、今の日本の本質的課題ではありません。既に国債残高世界一で金利も上昇しつつあって、寧ろ供給が適切に絞れていない(価格を上げて売り上げが下がる)ことが日本の課題のはずです。

それを言っている人が適切な経済政策を採ってきたかは置いておいて、「サプライサイド」に注目することが経済学において重要だと私は思います。消費者の欲しいものを知っているのは企業だからです。幾らお金を撒いたところで、お金を持っている人が欲しくないものを供給してれば、お金は使われません。

(企業にお金を注ぎ込む)株が上がってないことが、今の日本経済を象徴しています。要は企業が(過当競争/供給過剰で)適切に儲かってない(価格を上げて売り上げが下がるような状況で物価が上がらない)のが日本の問題であって、日本が重税国家だという訳ではありません。

日本で賃上げが起こらない原因は企業が儲かっていないからです。労働分配率は悪くありませんから。企業が儲かってない原因は、過当競争(供給過剰)にあります(実際物価は上がっていません)。アトキンソンさんの指摘(最低賃金上げ、中小企業の優遇批判)は凡そ正しい。国債残高世界一で見当違いのバラ撒きメガネになるんでしょうか。

今の日本に求められる経済対策

2023-10-01 05:51:02 | 経済財政
国民 榛葉幹事長 “首相に経済対策として 所得税減税求める(日経 2023年9月29日)

インフレ期待なく外的要因であっても、インフレ目標に達した今、求められる経済対策は雑な消費喚起策ではなく(寧ろ増税局面)、インフレ期待が形成されない原因である少子化でも持続的な賃上げ・経済成長に繋がる人手不足対応(賃上げor設備投資)でしょう。

これまでの低インフレ下で財政出動・金融緩和路線は正解だったと思います。これが税収増にも繋がったでしょう。しかし日本の急激な少子化問題を軽視したことで、市場縮小予測から来るインフレ期待の形成の失敗があったと思います。持続的な賃上げはインフレ期待が形成されなければ成立しないはずです。

緩やかなインフレが必要なのは、資金を眠らせないためですが、急激な少子化でインフレ期待が形成されるかの問題はあるでしょう。結論としては、需要の縮小にあわせて適切に供給を絞る/不要な支出の整理しかなく、それでも実質的な成長を目指すなら、供給不足/人手不足や成長分野に注目するべきです。

ここで言う人手不足とは、求人への応募が少なく賃上げ/待遇改善して、価格に転嫁しても、売上が上がる状態を指します(人手不足なら、物価の上昇で需要が多少減ることは問題ではありません)。価格転嫁して売り上げが下がるなら、それは過当競争(供給を絞るべき)なのです。

減税路線に反対すると、財政破綻は無いと断言する方々が現れますが、インフレが問題になります。(物価が上がらなかった時の財政出動・金融緩和はいいとして)物価高で騒いでいる今、インフレを加速させる政策を主張して反対意見を聞かない様は、ブレーキの効かないダンプカーの如しと言えます。国債残高世界一で金利上昇している今、財政破綻を警戒するのは寧ろ常道です。円の暴落を警戒するのは、円安が物価高の一因でもあって、日本は産業空洞化した内需の国でもあるからです。日本は世界一の債権国でもありますが、円安で資金を戻すのは損とも言えます。

既にインフレ目標は達成していますしね。普通に考えて景気を過熱させる局面ではありません。そろそろ世界一の国債残高で国債の金利が上昇していることを考慮すべき時期に来ていると考えます。近年の財政出動・金融緩和路線に反対ではありませんが、ついに曲がり角に来たのでは?

消費税の減税効果に注目する意見もありますが、インフレは複利ですし、(産業空洞化した内需国の日本が超円安になるでしょうし)ハイパーインフレしたら、軽く消費税減税/廃止の効果を超えるでしょう。トルコの2023年末のインフレ率予測は58.0%、アルゼンチンの2023年8月の消費者物価指数は、前年同月比124.4%。トルコの付加価値税(消費税)は標準税率20%(複数税率導入)、アルゼンチンの付加価値税(消費税)は基本税率21%(複数税率導入)。ハイパーインフレの原因は国家財政の極端な悪化、通貨供給量の過度な膨張です。