観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「多重下請」「保険」「相続」「農業」「医者の給与」「解雇規制」「国民年金」を考察する予定。

給与をインフレ率以上に上げる方法

2023-08-20 09:31:02 | 経済財政
インフレしても給与の上昇が物価の上昇に追いつかないという話ですが、給与を上げる方法を難しく考える必要は無く、建設とかITとか給与が高いに関わらず、人手不足の業界に人が流れると全体の給与水準は上がる訳です。生産性を上げるのは重要ですが、生産性の高い企業は既に高給と思われ、物価の上昇にスライドして賃金上昇ぐらいはするかもしれませんが、労働分配率を引き上げてまで給与を上げるには理由も必要でしょう。より生産性の高い企業が必要という訳ですが、競争のある業界ではそれなりに序列が出来ていると思われ、そう簡単により生産性の高い企業など現れませんし、政府として即効性のある薬もありません。ただ人が建設やIT等に流れれば、余裕のある企業は必要な人材を引き留めるため、給与を上げると考えられます(余裕のない企業、生産性の低い企業を無理に生かす理由は経済的には無いと思います)。ここで難しいのは建設やITはキツイ仕事、技術の必要な仕事であまり老人に向いているとは言い難いところだと思います。ですから、日本経済の給与の上昇が物価の上昇以上に上がる時というのは、若者が建設やITを志望するようになった時ではないかと思います。少子化で若者は不足していますから、会社の存続を考えると、生産性の高い企業はそれで尻に火がつき給与を上げる可能性が高いとも言えます。また人手不足傾向は企業が生産性を上げる動機にもなるでしょう。現状で人が集まるなら、給与を上げる動機も生産性を上げる動機も薄いとも言える訳です。

賃金の下方硬直性があるので、緩やかなインフレとインフレに伴う賃金上昇は日本経済のため必要とは思いますが。問題はそこではありません。給与に差がつかないと人の移動は中々おきない訳で、差別化はどうしても必要だと思いますが、ビッグモーターのように消費者に被害を与えて収益を上げても意味がありませんし、店長降格乱発は不正や労働基準法違反を促す引き金になっていたと思います。労働基準法違反が横行することで人手不足を緩和している側面はあると思いますが、生産性向上の停滞に繋がっている側面もありそうです。人手が不足したら、サービス残業で対応するのではなく、給与をキチンと出せば、日本の給与水準は上昇しますし、不要な仕事を削って労働時間を短縮させる動機にもなり、IT化・設備投資で生産性を向上させる動機にもなる訳ですね。そういう積み重ねで日本経済を良くすることが大事ですが、給与は下げにくい(賃金の下方硬直性がある)という問題につきあたります(降格乱発は妥当ではないと先に指摘しました)。だから差をつけるために緩やかなインフレはどうしても必要です。ゾンビ企業を無理に生かして、経済的にいいことはないんですね。少子化傾向で増収に向かうトレンドはなく、ゆえに物価の上昇はどうしても必要で、増収があれば、賃上げの余地があるという訳です。これがデフレ傾向だと、増収トレンドは絶対に無く、賃上げトレンドも絶対に無いと断言できます。物価が下がって生活できれば、それでいいのかという話ですが、人の円滑な流れもなく、経済のパイ自体が大きくならず、相対的に沈むというのが今まで起こってきたことではないでしょうか?

日本を牽引しているのは東京です(勿論、金の卵を産むガチョウを殺すのは愚かなのですが)。ただ、東京はまだ人が集まっており、人手不足を解消する動機がありません。このトレンドが何時まで続くか見通しは暗いというか、地方からの人の供給も滞り、続かないことが分かっているのですが、人手不足を解消する動機のないところに給与上昇トレンドを産み出すパワーも無いと言えます。現状を保守するだけで経済成長は成らないということでしょう。地方に東京から人を奪うぐらいのパワーも必要ですね。例えば経済特区で東京を煽ることが出来れば、(余裕のある)東京の給与水準も上がると言えます。また(金融とか)東京もそうですが、地方も海外(特にアジア)から人を奪うぐらいのパワーがあっていいのではないかと私は思います。

日本を牽引しているのは工業でもあります。ここが設備投資して生産性を上げるパワーになるのも重要でしょう。そのためにはIT等、優秀な理系人材が必要とも言えます。若者が理系離れしているようでは、日本の未来が明るいと言えません。理系人材の待遇を改善することが重要ですね。給与水準はやや理系の方が高いですが、出世するのは文系でしょうし、もっと差がつけられていいのではないでしょうか?

なおAIは生産性を上げるパワーとして大きいと思いますが、専門でなくとも(文系でも)利用し易いという特徴もあるようです(AIによるシステム開発)。現場を知る文系人材こそAIを使う意味があるとも言えるのかもしれません。AIを理解できる技術者は貴重だと思いますが、IT業界の活性化とはITが使われることであって、変に新しい技術を覚えたくない人を優遇して、技術の発展を止めることでもありません。新しい技術の人材が不足しているのだとしたら(日本人は就職してから勉強しないと言いますが)、未知の領域に飛び込ませるだけの魅力(給与など)に欠けているんじゃないかとは思います。なるべく安く使いたいとかではなく、経営者も生産性を向上させるにはどうするか頭を捻る必要があるでしょう。企業が収益を上げることは重要ですが、付加価値を上げたり、生産性を上げた結果じゃないと意味が無いですよね。悪いことをしないと儲からないという発想が日本に根強いような気がしてなりません。

ブルーカラーをどうやって若者に選んでもらうかは私には中々難しいですけど、部活とかで若い内に体を壊すのはいいことではないだろうと思います。運動の得意な子は一定数いるのですから、そういう人がブルーカラーを嫌ってホワイトカラーに流れないようにしないといけません。酷使に耐性をつけてサービス残業を連発する必要なんて何処にもない訳ですから。

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