goo blog サービス終了のお知らせ 

考えるための道具箱

Thinking tool box

シティボーイズ・プレゼンツ。

2005-05-16 00:31:12 | ◎書
この店にないのは客、そしてパッション。パッションそれは激情、情熱!だからパッション・ショー!叫べ義太夫、踊れフラメンコ、はたけ手ぬぐい、まわれ回転寿司!パッション!パッション!ニコール・キッドマン・ショー!にチャーハンショー!そして燃える不動明王ショー!

スキル王とメンタル王のソリューション対決、堤防の決壊をとめるのはどちらだ!?……いくら入念に技術のシミュレーションを積み上げても本番に弱いスキル王、世の中はイメージトーレーニングにいかないメンタル王。さあ、溢れでる水をとめるのはどちらだ?そこにあらわれたのは猛り狂うトラ。さあ、旅人を救うのはどっち?

覚えていますか?お台場で起こったあの素っ頓狂な事件。柱に追突した車から凶器をもって暴れ出て猛スピード追いかけてきた暴漢に思わず蜘蛛の子を散らすように逃げてしまった警官たち。結局、逃げ切った先は、熱海の場末の温泉旅館。どのTVニュースでも流されるのは、自分たちの無様な逃げる見本のような映像。「ああ、俺たち、なんで逃げちゃったんだろう」。

#

ご存じ恒例のシティーボーイズミックスが今年もやってまいりました。や、僕的にはほんとに恒例で、『愚者の代弁者、うっかり東へ』(1995)以降、『パパ・センブリチータ』(2002)をのぞく毎年ライブにいっているためかれこれ10年にもなる春の恒例行事なわけだ。

今年の『メンタル三兄弟の恋』は、なんでも今日の大阪公演(シアタードラマシティ)までにすでに東京で17公演も行っているらしいし、毎年のライブはWOWOWでも放映されるため、そういう意味ではまあ説明の必要はほとんどないとは思うけど、いちおう念のため「シティーボーイズ」という存在に対して80年代あたりで記憶がとまっている人のためにまとめておくと…。

大竹まこと、きたろう、斉木しげるからなる洗練されたコント集団。日常的にはそれぞれ別々の行動をしている。大竹はバラエティ派?なぜか「大阪ほんわかテレビ」なんかのレギュラー。きたろうは、バリエーション豊富で、クドカンのドラマに頻繁にでているし、このあいだなんかは、NHKの「名作平積み大作戦」なんかで芥川の「歯車」を推していた(今回の公演でも少し「歯車」のモチーフに触れていたし)。いっぽうの斉木は、というと、まあ一般的にはパチンコの斉木として知られているね。3人のなかでもっとも破天荒で大技、被り物好きの芸風はじつは人気が高い。しかし、こいつはちょっとこまったもんで自己破産なんか噂も出たりしていた(真相は知りません)。

で、この3人が、毎年いちど「シティボーイズプレゼンツ」という名の下に集結し、毎年代わりでゲストを加えて、シュールで不条理なコントライブを行っている。ゲストは、もうほとんどレギュラーとして4人目のシティボーイズとなっている中村有志のほか、いとうせいこう、YOU、五月女ケイ子、犬山犬子、野宮真貴、チョップリンなどベテランから新人まで。僕が唯一観ていない『パパ・センブリチータ』のときもそうだったんだけど、最近は、どうやらチケットが入手しにくくなっているようだ。

ちなみに、過去の作品は、(たぶん)すべてDVD化されている。

【1】 RETROSPECTIVE-CITYBOYS LIVE![BOX1]
『鍵のないトイレ』
『愚者の代弁者、西へ』
『ゴム脳市場』
【2】 RETROSPECTIVE-CITYBOYS LIVE![BOX2]
『愚者の代弁者、うっかり東へ』
『丈夫な足場』
『NOT FOUND』
【3】『真空報告官大運動会』
【4】『夏への無意識』
【5】『ウルトラシオシオハイミナール』
【6】『ラ ハッスルきのこショー』
【7】『パパ・センブリチータ』
【8】『NOTA~恙無き限界ワルツ』
【9】『だめな人の前をメザシ持って移動中』

#
で、今年の『メンタル三兄弟の恋』はどうだったか、というと…。【以下、ネタばれ含む、ってもう全公演終わってるのかね】
冒頭にあげたプロットのほか、「妄想脅迫観念3兄弟――自分が振付師としてダンサーたちを指導しているという妄想を秘密にしている三男、自分の家をつっかえ棒として支えているサラリーマンがいるという妄想を秘密にしている次男、自分はホログラムではないかというオブセッションを秘密にしている長男」、「思いがけずあまった時間に、思いがけずあまった時間の使い方を議題にあげるサラリーマンのむなしい会議」、「武装サラリーマン川柳」、「3人の精神科カウンセラー」、「停止してしまったリフトで宙吊りになってしまった3人の詩人」、「巨大なホログラムになって富士の裾野で漫才をするふたり」……
といった具合に、コンセプトは相変わらず病的で狂気だ。

こう並べるともの凄く面白そうなのだが、じつは今年は、観念的になりすぎたのかどうか爆笑という感じではなかった。これまでの舞台を見続けている人であれば、バリエーションのひとつということで、じゅうぶんに許容範囲ではあるんだけど、もし今年初めてという人がいて、さまぁ~ずとかアンガールズのライブのようなものを期待していたとしたら物足りなさを感じたかもしれない。

じっさいに、ここまで秀逸なコンセプトが提起できたなら、もう少し深く、くどく突っ込んでくれてもよかったと思うのだが、まあコンセプトに敬意を表しましょう。恒例の斉木の被り物、不動明王は、赤いタイツでぼうぼう燃える炎をしょってるとこなんか、そうとうおバカだけど、昨年(一昨年?)の身体じゅうにホースをまきつけたホース親善大使に比べると賢く納まりすぎているか。でも、彼自身はカーテンコール後にワンマンショーの時間があったりして、かなり満足しているところでしょう。

あとは体力面ですかね。身体がついてこれないドタバタをフォローするために若き女性ダンス演芸集団「のろま会」などを投入するも、本質的にはやはり彼ら自身がぜいぜいやる、ふとん祭りなどのほうが楽しい。まあ、あれから10年15年って考えるとやっぱりきつく、これからもこういう武闘部門はだれかが担うことになるんだろうなあ。武闘といえば、「武装サラリーマン」における中村有志の鍛錬シーンは相変わらず凄まじい体力系なんだけど、本人によると、どうもそのまま自分の日常らしく、ここは来年も再来年も期待できそうだ。力みすぎで突然死しない限りは。

斉木が、「来年は日本でライブはやらないかもな。」とかいっているのでまあ来年もたのしみだわ。


------------------------
↑中学生の娘と行きましたが、
↑やっぱ少し観念的にすぎますかね。
↓文具や本&読書はまたいつか。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
記事読みました (ユキノ市松)
2005-05-28 19:31:56
記事良かったです。

自分もシティボーイズ関連のブログを運営しているのでかなり勉強になりました。

また覗きに来ます♪
返信する
>ユキノ市松さま (urat2004)
2005-05-29 17:06:27
コメントをありがとうございます。ライブに毎年言っているわりには、たいしたこと書けなくて申しわけないです。たぶんここでシティーボーイズに触れるのは、年1回のライブのときぐらいかもしれませんが、よろしくお願いします。ちなみに、ぼくが毎年行くのは、やっぱり斉木がみたいからなんですよね。
返信する

コメントを投稿