考えるための道具箱

Thinking tool box

◎ICカード地獄。

2008-04-08 23:31:42 | ◎書
最近は、いいけつをした男子が多くなってきたなあ、と思っていたら、なんのことはない、ポケットにいれている財布がカードで膨らんでいるだけだった。それもそのはず、世の中はカードに満ちあふれている。ちょっと前まではクレジットカード、そのつぎはポイントカード、そしていまはICカード。

SUICA、ICOCA、PASMO、PITAPA、PERIPA、PORIPA、PUPEPE……もうなんだかわかんねえ。先週は、みたこともない極悪な指名手配犯のような男の写真が印刷されたカードが届いた。よくよくみたら、煙草屋で羽交い絞め状態で簡易カメラで写された小生の写真だった。うひー。そんな残念なカードは、煙草自動販売機の成人識別カード「taspo」。機能は、それだけかと思っていたら、ちゃんと「ピデル」とかいう決裁システムもくっついている(ピッと出る、でピデルか?屁だけじゃなく身もでそうなネーミングですね)。

これだけカードがありゃ、現金はいらんのか?というと、そんなことはいっさいなく、ますます財布が膨らむばかりである。札束で膨らむんなら、ごっつい財布でも買うたろうかという気にもなるが、プラの板で膨らんでいるということは、その財布じたいがハンドリングやフットワークがよくないと、改札口で舌打ちでユニゾンされるのは目に見えているわけだから、依然として財布はコンパクトを旨としなければならない。

そして、満を持してついに登場したのが新幹線のEX-IC。じつはあまり知られていないが、というか知られないようなマニュアルしかつくってへんからなのだが、こいつは、いろいろと面倒なカードだ。ちなみに、かれこれ5回ほど品川と新大阪の駅員に質問したが、「え、そうとう面倒ですやん」といったら、5回とも「そうですね。すみません」と謝っていた。

なにが面倒か。その1。領収書の発行。いくつか選択肢はあるが、どれもこころもとない。まず入札するときにマシンからぬらりと利用票が発行される。車内での検札にも使われるチケットっぽいものだ。意外と厚い用紙に刷られているのでくしゃくしゃにしてなくしたりする心配はなさそうだが、これが領収書としてみとめられるかどうかは、総務的ルールだとまあ厳しいだろう。つぎは、WEB領収書。利用後、エクスプレスカードのサイトにいって、領収書発行ボタンをおせば、画面に表示され、宛名などを入力し、ワンボタンで出力。うん、きれいに印刷できた、いいねえ!なんて昨今の情報システムに感動している場合じゃない。まず、こういった紙を領収書として認めてくれない総務の審判長もいるだろう。そんなん、ただの紙やん、とか。だいたい、紙代、印刷代がこっちもちなんてすげえ受益者負担。なにより、やっかいなのは、この領収書が発行できる権利が、1日で失効してしまうことだ。まあ、ふつう忘れるわな。そんな忙しくない人が新幹線にのることはないし。だいたい連泊の出張だったりしたら出力したくてもできねーじゃないか。で、そんなふうにお怒りの人のために、領収書はちゃんと駅の窓口でも発行してくれます。一周まわってアナログに戻るというわけだ。こんな体たらくなので、手際よく発行してくれることは期待できそうもない。結局、これまでどおり、エクスプレスカードでふつうに予約して、ふつうに発券したほうが、まあ30秒くらいは遅いかもしれないけれど、格段に便利です。領収書発行のオブセッションに苦しむこともないし。

なにが面倒か、その2。たいていの人は、品川とか新大阪に住んでいるわけではないので、いくつかの電車に乗り継いでくる。そして、たいていの人の仕事場なり用事の場所が、品川とか新大阪であるわけはないので、そこからなにがしかの電車に乗りつぐ。EX-ICを使用した場合、これがJR系だとすると、やっかいだ。東京だったら山手線、大阪だったら、東海道線とか。
たとえば、品川に着いて渋谷まで山手線でいくとする。その場合、まず新幹線の改札で、EX-ICカードと所定の鉄道ICカードと重ねて通過しないといけない。ということは、電鉄系のICカード、具体的に言うと「SUICA」もしくは「ICOCA」をそもそも持っていない人は、いちいち新幹線の窓口で、目的地までの切符を発券してもらわなければならないということだ。これはアンチJR派は新幹線もお断りということか?いわゆるビジネス券(エコノミーチケットもしくはエクスプレスカード受け取りで発券される切符)なら、東京23区とか大阪市内までの乗車券は含んでいるわけで、新幹線の改札でとり忘れさえしなけば、目的の駅の改札をスマートに抜け出れる。たとえ、金町を越えても、マシンで精算すればなんの不都合もない。「SUICA」、「ICOCA」をもっていないだけでそんなエクソダスをあきらめなければならなくなる。

さいわいにして、わたしは栄光のカード「ICOCA」を持っていた。なんと奇遇。いまや、東阪問わず使える最高に便利なカードだ。しかし、さまざまな便宜を考えて、「ICOCA」は財布に、「EX-IC」は超整理手帳に格納している。これが、きわめて個人的ではあるが、大きな面倒に発展する。新幹線の改札を通過するとき、まあこれはわたしだけではないと思うけれど、多くの人がヘビーな荷物を抱えている。ひょっとしたらメンタル面でヘビーな荷物を抱えている人も多いかもしれない。だから、たいてい使えるのはどちらか一方の手だけ。想像してほしい。まず右のしりのポケットから財布をだす。スーツの左のポケットから超整理手帳をだす。これを重ねて通過。と思ったら、パートふうの説明レディに、それは無理だす、といわれる。そりゃそうだ。手帳も、財布もぶ厚いし、そもそも形が違うから上手く重ねられない。なんやかや余計なカードも入っている。で、それぞれのカードをそれぞれの器から抜くいて左手に重ねる。ぬいた器をいったんどこかに格納する。格納しないと手が足りないからね。で、右手でスーツケースを引き、読み取りにカードをあて改札通過。通過後、いったん停止し、格納していた財布をだし「ICOCA」を、超整理手帳に「EX-IC」を無事収容完了!……この間、約5分。は、言い過ぎとしても、パジャマに着替える程度の手間はかかってる。もし、改札の周辺で、みっともなくじたばたしているどんくさそうな男をみかけたら、それはわたくしだと思ってくださっても間違いではないです。すべてのカードを財布にまとめたらええんちゃうん?という向きもあるかもしれないけれど、長年の習慣はそんなにおいそれとは変えられるものではない。

面倒は以上。しかし、もうひとつ落とし穴がありますと。それは微妙なお金の問題。いちおうICはチケットレスなんで、東京-新大阪間は13,000円。エクスプレスカードなら13,200円。品川で乗り継いで渋谷で降りるなら、前者13,160円、後者13,200円。だんぜんICがお得。お得なんで池袋まで行ってみる。前者13,250円、後者13,200円。あれ?お得じゃなくなっちった。さらに、「上野→東京→新大阪→大阪」なんかでも、このお得じゃない問題が発生する。このことは、金が絡むのでマニュアルには目立つ位置にしっかり書いているから許そうかと思ったけれど、得な場合:「EX-ICサービスがおすすめ」、損な場合:「おねだんをご確認ください」なんて曖昧模糊とした書き方をしているので許さんとく。

ということで、これからは発展的に解消していくんだろうけれど(問題が、ね)、いまの場合は、まだまだ途上ということだな。そんな途上なカードはけっして財布にはいれんとこうと思う。

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