夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

1Q84 №3 第3章から第4章まで

2010-05-13 06:12:49 | 私の本棚
 第3章 天吾
       みんな獣が洋服を着て

 意識も既になくなっている?と思われる寝たきりの父の入院している病院は「猫の町」だという。その町と天吾の暮らす町とは離れていて、時々見舞いがてら天吾は見舞いに現れる。見舞いに行った彼は、ベッド脇で朗読をして父に聞かせている。そして話しかけたり感想を聞いたりはしているが、それに返答が帰ることはない。
 「空気さなぎ」というベストセラー小説を書いて直ぐに失踪した「ふかえり」という少女は、彼の暮らす部屋に居候なのか身を潜めている。「ふかえり」という少女の内的世界を小説として書き起こしたのは天吾だ。二つの月が浮かんだ世界で展開される物語。リトルピープルと空気さなぎの存在する世界だ。

 現実の世界ではないが、現代社会の中にないとは言えないような架空の世界。異界といったほうがぴんと来るのかもしれない。あの昔に聞いた浅川マキの「不思議な橋」という歌の内容にも似た世界である。「不思議な橋が/この町にある/渡った人は/帰れない・・・」あの世(此岸)とこの世(彼岸)というものではないが、それに近い意識の世界か・・・。村上が書いた人陰と実体のある人との突然の別れ、それは恐らく死であると思うのだが、それほどまた厳密でもなくまた合体することもないでもない世界なのかもしれない。生きてはいるが死んでいる世界に近く、かといって死んでいるわけでもないが生きているともいえない状態。
 目の前のベッドで寝ていたはずの父親が、検査なのか不意に居なくなっているベッドがある。そのベッドに残る父親の寝ていたくぼみ跡がシーツに残っている。その実在と不在の違いは、まるで意識の中で混沌とした世界でもあるかもしれない。

 第4章 牛河
       オッカムの剃刀

 宗教集団のリーダーの謎の死との関わりの深い一人で、整体師の青豆を追う教団とその使いとして居る探偵の牛河。彼は教団の関係者に、総てをさらさないで青豆の行方を追っている。そして核心のDVのシェルター「セーフハウス」と、その女性オーナーの不思議な存在に迫りつつある。
 

花の贈り物

2010-05-13 05:49:22 | つれづれなるままに
 これで三度目?・・・。花屋さんが花を届けに来ることは何にも不思議はないのだが、「この花はどなたからの贈り物ですか?」と聞くと、花屋さんは「匿名の方からです」という。
 私は匿名の方からいただく花はもちろんありがたいけれども、できれば「誰々さんからのお届け物です」と言われたほうが気持ちがいい。その人がこの花を選んで、届けてくれたという思いが伝わってくるからだろう。匿名の方では、そのお方にお礼も言えないし、どんなお方なのだろう?という思いと、私や私の事業とどんな関わりがあったのだろう?どんな思いを持ってお花をプレゼントしてくださるのだろう?などと思うのである。
 鉢植えの花なのだから、きっと私がやっている事業についてご存知の方で、そして悪意ではなく好意を持っていてくださる方なのだろうなあ・・・とは思う。激励なのだろうとは思う。
 頂き物をしながらその方に、「先日は素敵なお花をいただいてありがとうございます」というお礼が言えないって苦しいものなんだな・・・と今更そう思う。
 そこで、あてもないままに・・・

 「どこのどなたかは存じませんが、いつも美しいお花をお届けいただき感謝を申し上げます。私の事業所「あうん」では、生花を飾ってもあっという間に素敵な花が引き抜かれたり、かじられたりして原型がなくなってしまいます。それで、今はいただいたお花は、パン工房「ゆいまある」のお店でお客様や店員の皆さん方に静かに楽しんでもらっております。
 どうか失礼非礼を悪しからずお許しください。」そういうメッセージを読んでいてくださっているといいのになあ・・・。