TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

「どうすれば役所は変われるのか」を読む-その2-

2008-01-02 19:50:53 | 今週の一冊
 今日は、昨日に続き「どうすれば役所は変われるのか」を読んで勉強になったことを思うままに書きたいと思います。

以下の3つの点がよく地方自治体の職場を表しています。

1 変わることを阻んでいる「心の壁」
 今のままではいけない、もっといい仕事をしたいと思って感じて現状を変えたいと思っている人は多いが、実際に行動を起す人は少ない。その理由は以下のことに集約できる。
 ↓ 「おかしい」と言い出せない理由
①「何がおかしいのか」をきちんと説明できないこと。自治体の職員は約3年で異動があるため、いまの仕事のやり方をいつからどういう経緯でやるようになったのかを知っている人が職場内にいない場合があります。そのため「何かがおかしい」というモヤモヤした感覚が説明できないのです。
②おかしいという対象が「誰がおかしいのか」と人の問題に行き着いてしまうこと。つまり、これまでうまくやってきた職場であればあるほど仲のよい雰囲気を壊したくない気持ちになります。
③「どうすればいいのか」の改善策が浮かばないこと。仕事は一部分だけ独立して成り立っているわけではありません。問題が何かを見つけても複雑に絡み合った因果の糸をほぐしていく苦労を伴うため、自分一人ではどうにも解決策まで思う及ばないのです。

2 「ざっくばらんに語る」ことのむずかしさ
 日本の組織、とくに行政組織の事務職においてはどんな仕事をするのかは固定したものではなく頻繁な異動に左右される。職員は配属された職場で与えられた職務を回りの職員から教わりながら身につけていきます。それだけに、自分から「おかしい」と言い出すのは自分の仕事の環境に波紋を起すことになります。自分の居心地を悪くするばかりでなく、今後の自分の成長の道をふさぐことにもなりかねません。それだけに、そう簡単に口にできません。自分の思いよりもつい回りの顔をうかがってしまうことになります。
 また、いささかものが言えるほど業務に精通してくると「もうすぐ自分は異動するだろうから」と残存期間を逆算して「わざわざ出る前にもめごとを起すこともないだろう」と言わずに済ましてしまうこともあります。これこそが行政組織の「職場風土」です。

3 県税事務所の収税の意味
 県税事務所では税の滞納者のところに直接訪問して税金を徴収します。この意味は県税を納めている県民のためなのです。サイレントマジョリティー(黙って納税する多くの県民)が不公平感を持たないよう、公平適正さを保つのが本来の税務の目的です。この人たちこそがサービスの対象者なのです。

 以上の3点は納得です。

 おかしいと思っていても言い出せないことと、ざっくばらんに話せないことは同じ理由からです。つまり今の職場で波風を立てたくないからです。どうせ時期が経てば異動するのですからその時期をおとなしく待っていればと思うにです。今の職場で「大過なくすごせるか」が大きな問題なのです。

 私は「前例踏襲」はきらいです。今年は波風を立ててみようと思っています。

 県税収税の意味はなにかとよくわからなかったのがわかりました。滞納者を訪問して税を徴収するのは職員の人件費を考えれば採算性のとれない業務かもしれません。しかし、税をだまって収めてくれている人たとのためだと考えると納得感ができます。