あび卯月☆ぶろぐ

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安倍晋三と岸信介

2006-09-05 00:05:20 | 歴史・人物
次期総理は安倍晋三さんでほぼ決まりのようです。

安倍さんは政策の最重要課題として「教育基本法改正」を挙げていました。
同時に憲法改正も政権構想の重要な柱になるようです。
「教育」や「改憲」が政策の最重要課題になるとは時代も変わったものです。

左派陣営はこの「教育基本法改正」と「憲法改正」という構想を以って
日本が「戦前のような愛国教育が行なわれる」とか「軍国主義になる」などと言っていますが、
いちいち反論する気も起きないので今回は保留。

ただ、私は「教育」と「改憲」も結構ですが、
その前に年金や健康保険など社会保障制度の是正に取り組んで欲しいと思います。
そして、新自由主義に傾きつつある自民党を元の日本社会主義の自民党に戻して欲しいと思う次第です。

さて、安倍さんを語る上でどうしても切り離せないのが岸信介の存在です。

岸信介は安倍さんの母方の祖父であり、新安保条約の批准を成し遂げたことで有名。
所謂、六十年安保の時の総理大臣です。
また、戦中には東條内閣で商工大臣を務めた事もあり、
終戦後、A級戦犯に指定されています。(結果は不起訴)

そういう次第で岸信介と言えば軍国主義者だとか、
保守反動の権化などという見方がされていますが、実際はそうではありません。
岸は保守反動や新自由主義者ではなく、むしろ、社会主義者だといえます。
あまり知られていないことですが、
「最低賃金制」や「国民年金制度」といった社会保障制度の導入を実施したのは岸信介でした。
そして、官僚主導の統制経済、所謂「日本的経営システム」の確立に重要な役割を果たしました。
その後、日本は高度経済成長を迎え、社会保障制度も充実し、
世界で唯一「社会主義が成功した国」とまで言われるのです。
少々、乱暴な言い方になりますが、
この日本型社会主義を作り上げたのは岸信介であったといっても過言ではありません。

岸が何故このような政策をとり且つ成功したかは
彼が満洲国で産業部次長として満洲国の経済政策を指導した経験が深く関わっています。
岸は満洲で官民共同で重工業化を成功させました。
この成功体験を元に本国に帰ってからも、この経済システムを実践するわけですが、
このことは小林英夫さんの『満州と自民党』(新潮社新潮新書)という本に詳しいので興味のある方はそちらを参照されてください。

繰り返しますが、
岸信介は反自由主義者で統制経済や社会保障制度を推進した日本的社会主義者でありました。
新安保条約を強行採決したことが全面にでてタカ派のイメージばかり付きまといますが、必ずしもそうでないことがおわかりいただけると思います。
それに、新安保条約締結も今にして思えば正しい選択だったことは歴史が証明しています。

もう、お気づきだと思いますが、
この岸の作り上げた経済システムをぶっ壊そうとしたのが(実際にぶっ壊れたのかな?)、
構造改革を掲げた小泉純一郎首相でありました。
小泉首相は官民共同ではなく、民間主導の言わば市場原理主義に基づく経済システムの導入を推進しました。
乱暴に言えば社会主義から資本主義への転換です。
やはり語弊があるので言い換えますと、
日本型社会主義から新自由主義への転換と言えましょう。
そのせいで今、戦後日本が築き上げてきた社会保障制度も危機に立たされています。

そこで、話は元に戻りますが、
安倍さんには是非ともこの点を改善して欲しいと思うわけです。
岸信介が築いた日本型社会主義と社会保障をなんとしても守っていただきたい。
もちろん、今までとまったく同じではなく時代に即した形にしてゆくことも必要でしょう。
教育も憲法も重要なのは言うまでもありません。
実はこの二つの課題は岸信介がやりたくても出来なかった、
言わば、岸信介がやり残したものでもあるのです。

そういうわけで、
安倍晋三総理には是非とも「平成の岸信介」になっていただきたいのです。
そして、後年「平成の妖怪」として語る継がれることを願っています。