富山マネジメント・アカデミー

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異次元に向かう日本の経済社会:ドラッカー革命

2016年08月30日 | Weblog

TMA講師代表:個人研究 日本の現代社会は、古典的な自由主義経済社会の段階を通りすぎた。それは、明治時代の段階である。第一次金本位制が崩壊し、第一次世界大戦以後、世界は国家指令型経済原理の時代に変貌した。国家が主導する経済社会である。類型としては、第一には、修正資本主義と呼ばれるケインズ学派の中央銀行外国為替本位主義による金本位制の廃止、第二には、国家軍事共産主義によるソ連、そして現在の中国、北朝鮮の経済社会、第三には、政権政党の片方がケインズ学派の政策を採用したアメリカ、さらに第四には、国家主義による思想統制にまで及んだドイツ、日本である。以上は、第2次世界大戦の構図である。第四が敗戦国となり、第一から第三の道を歩んだ経済社会が生き残った。そのうち、第二の中軸であったスターリン主義のシステムが崩壊し、現在では、第一のケインズが提唱した国際通貨基金がグローバルな体制となり、第三のアメリカが相対的な優位性を残そうとしている。

さて、現在の日本では、明治以来の旧財閥系が優位な古典的な自由主義が解体され、さらに新自由主義運動も不発に終わり、ドラッカーの予想した「資本を所有する」社会階級から、企業や公的組織における「経営管理」を職業とするマネジャーが主導する社会へと変貌を遂げた。日本における最大のストック・ファンドは、大企業の内部に留保されている戦略的な投資基金と、さらに、「経営管理」を職業とするマネジャーが主導する社会を支えた人々の老齢年金のファンドである。この後者の老齢年金ファンドは、安全な資産である債券により運用されてきた。しかし、債券市場は中央銀行の金利がマイナスか、それに近い状態になり、企業の経営権の市場評価を表示する株式市場を活用する方向へと道筋が描かれてきた。すでに、主要企業の4社に1社が、中央銀行と年金財団が筆頭株主となった。こうして、社外取締役という形で経済官僚の経験者が、国家と企業を繋ぐ形の「ドラッカー革命」(ポスト・キャピタリストソサエティ)の時代に突入した。これが、日銀のマイナス金利政策は、利子の収益によるキャピタリストのソサエティを徐々に歴史の背後に押しやる効果をもっている。日本は、人類史において未知の経済社会へと向かっている。この世に生をうけた生命は、どんな形でも天寿を全うさせてあげたいという理想主義があれば、このポスト・キャピタリストソサエティへの緩やかな政治改革は軌道に乗っていくであろう。実は、大乗仏教が理想とした社会であり、日本的には聖徳太子が定めた憲法の理念である仏教・儒教・神道の三教合一のトータルシステムである。

 


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