人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでプッチーニ「蝶々夫人」を観る ~ アスミック・グリゴリアン、ジョナサン・テテルマン、エリザベス・ドゥショング、ルーカス・チェムにブラボー!

2024年06月27日 00時04分52秒 | 日記

27日(木)。わが家に来てから今日で3453日目を迎え、米ニューヨークの裁判所は25日、不倫の口止め料をめぐる事件でトランプ前大統領に出していた、法廷外で証人や関係者の家族らについて言及することを禁じる「ギャグ・オーダー(かん口令)を一部解除すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     トランプに自由に発言させて 大きな失言をしたら また多額の罰金を科す作戦か?

         

昨日、夕食に「メカジキの照り焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「ハマグリの潮汁」「冷奴」を作り、メバチマグロの刺身と一緒にいただきました ハマグリは小ぶりですが、とても美味しかったです

     

         

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、プッチーニ「蝶々夫人」を観ました これは今年5月11日に米ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です 出演は蝶々夫人=アスミック・グリゴリアン、ピンカートン=ジョナサン・テテルマン、スズキ=エリザベス・ドゥショング、シャープレス=ルーカス・チェム。管弦楽=メトロポリタン歌劇場管弦楽団、合唱=メトロポリタン歌劇場合唱団、指揮=シャン・ジャン、演出=アンソニー・ミンゲラです

シャン・ジャンは1973年中国生まれ。北京の中央音楽院に入り、19歳の時に中央歌劇院での「フィガロの結婚」で指揮者デビューを飾りました シンシナティ大学音楽院で研鑽を積み、ロリン・マゼールに見出され、2009年から16年までミラノのジュゼッペ・ヴェルディ響音楽監督を務めました 現在 ニュージャージー交響楽団音楽監督を務めています

     

歌劇「蝶々夫人」はジャコモ・プッチーニ(1858-1924)がデヴィット・べラスコの同名戯曲を原作に、ルイージ・イリッカとジュゼッペ・ジャコーザの台本により1901年から03年にかけて作曲、1904年2月17日にミラノ・スカラ座で初演された全3幕から成るオペラです なお、2024年はプッチーニ没後100周年、「蝶々夫人」初演120周年にあたります

舞台は1890年代の長崎。アメリカの官軍士官ピンカートンは、斡旋人ゴローの仲介で海を見下ろす家を借り、15歳の蝶々さんを「現地妻」に迎えることにした ”結婚式”の日、ゴローから家の説明を受けていると、領事シャープレスが現われる ピンカートンは寄港地ごとに女性と出逢う楽しさを語るが、領事は純真な少女を悲しませないように忠告する 親族らとともに蝶々さんが丘を上がってくる。彼女の身の上が語られ、”結婚式”が進むが、彼女の伯父である僧侶ボンゾが乱入する 彼女がキリスト教に改宗していた事実を暴露すると、親族らは四散してしまう 泣き崩れる蝶々さんはピンカートンに慰められ、夕闇が迫るなか二人は愛を語り合う(以上第1幕)

3年が経過した。蝶々さんはアメリカに帰国したピンカートンを待ち続けているが、女中のスズキは貯えが尽きながら「夫」の帰りを疑わない蝶々さんに戸惑う ゴローは資産家ヤマドリとの結婚を勧めるが、蝶々さんに一蹴される 領事はピンカートンの手切れの手紙を持参するが、蝶々さんからピンカートンとの子どもを見せられ、何も伝えず引き返していく そこに港からピンカートンを乗せた軍艦リンカーン号の砲声が聴こえる 蝶々さんは喜び、婚礼衣装に身を包んで彼を待つ(以上第2幕)

蝶々さんは寝ずに待ったが一夜が明けてしまう 蝶々さんが休んでいる間にピンカートンと領事が現われるので、スズキは蝶々さんが3年間も待ち続けていたことを伝えるが、ピンカートンはアメリカ人の妻を連れていた 彼は後悔して逃げてしまう ピンカートンの妻を見た蝶々さんはすべてを理解し、彼が引き取りにくれば子どもを渡すと告げ、父の形見の短刀で自害する(以上第3幕)

     

演出のアンソニー・ミンゲラは1954年イギリス生まれ(2008年没)。大学卒業後、脚本家として活躍し、テレビ界でキャリアをスタートさせ映画監督になりました。丘からステージに下りて来るような傾斜舞台、左右にスライドする大きな障子、カラフルな衣装に加え、子役にマペット(浄瑠璃の人形のよう)を使用し3人の黒子が操り、日本的な演出に徹しています ただ一つだけ注文を付けるとすれば、女性たちのヘアスタイルです 日本髪に様々な飾りを乗せていますが、ほとんどチンドン屋さんです その点を除けば極めて凝った演出で好感が持てました

蝶々夫人役のアスミック・グリゴリアンは1981年リトアニア生まれのソプラノです リトアニアの音楽演劇アカデミーで学び、2018年にザルツブルク音楽祭で歌った「サロメ」が大成功して以来、世界の歌劇場で活躍しています 本作がMETデビューとなりますが、幕間のインタビューで「お父さんは名テノール(ゲガム・グリゴリアン)でしたが、歌手になろうと思っていましたか?」と訊かれ、「親の職業にだけは付きたくないと思いがちですが、自分ならこの世界でやっていけると思いました 父と同じMETの舞台で歌えることを嬉しく思います」と語っていました。また、蝶々さんの役作りについて問われると、「蝶々さんに限らず、これまで歌ってきたヒロインは、どれもが自分の中にありました 本人に成り切って歌うようにしています」と答えていました。第2幕で歌われる有名なアリア「ある晴れた日に」をはじめ、第1幕終盤のピンカートンとの「愛の二重唱」など、本人の言葉通りの熱唱で聴衆を魅了しました ”演技する歌手”というよりも”歌う女優”と言った方が相応しいかもしれません

ピンカートン役のジョナサン・テテルマンは1988年チリで生まれアメリカのプリンストンで育ちました マンハッタン音楽学校ではバリトンで、テノールに転向してマスネ音楽学校で学び直しました 今期METライブ、プッチーニ「つばめ」にも出演して好評を博しました 力強いく輝くテノールで演技力も十分です これからどんどん出てくると思います

スズキ役のエリザベス・ドゥショングはペンシルベニア州出身のメゾソプラノです ピアニストを目指していましたが、オバーリン音楽院で声楽を学びました 深みのある声で、安定感のある歌唱で存在感を示しました

シャープレス役のルーカス・チェムは1978年ノースカロライナ州生まれのバリトンです 2004~05年にサンフランシスコ・オペラの若手育成プログラムに参加、07年に「戦争と平和」でMETデビューしました 独特の艶のあるバリトンで、性格表現に優れており、演技力抜群でした

     

特筆に値するのはシャン・ジャン指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団の演奏です 歌手に寄り添いつつ、蝶々さんの喜び・悲しみ・希望・絶望を自ら表現していました

なお、幕間のインタビューで、METのピーター・ゲルブ総裁から合唱指揮者パルンボが17年間にわたるMETでの合唱指揮活動に終止符を打つことが紹介されました ピーターが「あなたは昼も夜もこの歌劇場で見かける多忙な人です」と向けると「ウィークデーは午前10時から劇場に入りレッスンやらリハーサルをこなし、夜には本番を迎えます 土日も本番が入ることが珍しくありません」と超多忙ぶりを語っていました 過去のライブビューイングのインタビューでパルンボが「METの合唱団は、イタリア語、フランス語、ドイツ語、ロシア語、英語など様々な国の言葉による合唱を、しかも古典的なオペラだけでなく現代オペラもこなさなければならないので大変です」と語っていましたが、世界的な歌劇場の合唱団を統率する苦労は並大抵ではないな、と思ったものです

METライブビューイング「蝶々夫人」は休憩、歌手へのインタビュー等を含めて約3時間18分の上映です 「METライブビューイング2023-2024」は本公演を持って終了します

     

「METライブビューイング2024-2025」は今年の11月8日(金)から来年の7月17日まで全8作が上映されます ラインナップは下のチラシの通りですが、ここ2年間ほど新制作による現代オペラを積極的に取り上げてきたのに比べ、1作を除き極めて保守的な王道を行くプログラムになっています 注目は「アイーダ」と「サロメ」が新演出になっていることです とくに「METのアイーダ」といえばフランコ・ゼフィレッリによる絢爛豪華な演出が定番ですが、マイケル・メイヤーによる演出はどういう方向性にあるのか、興味が尽きません いずれにしても、どれもが楽しみなオペラです

     


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