人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番、第2番、第3番」を聴く ~ 秋山和慶 ✕ ミロスラフ・クルティシェフ、福原彰美、奥井紫麻 ✕ 東京交響楽団:名曲全集

2019年02月04日 07時24分59秒 | 日記

4日(月)。昨日、コンサート帰りに最寄駅のアトレに寄って夕食の食材を買ったのですが、普段は寿司を扱っていない焼き鳥屋や総菜屋までが「恵方巻」を売っていたので閉口しました 「儲かれば良い」という資本主義の論理でしょうか 新聞・テレビでは売れ残った「恵方巻」が毎年廃棄処分されていて「食品ロス」が問題になっていると報道しているのに、懲りないようです 私は焼き鳥屋で焼き鳥を買って帰りました

ということで、わが家に来てから今日で1585日目を迎え、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は、米中西部ウィスコンシン州で進める液晶パネル工場の建設を 市況の悪化などで凍結していたが、トランプ米大統領からの直接の要請を受けて継続すると発表した というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

      世界平和のためには トランプは大統領よりビジネスマンに戻った方がよくね?

 

         

 

昨日、カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)で、ミューザ川崎&東京交響楽団主催による「名曲全集」第145回公演を聴きました 会場はいつもはミューザ川崎シンフォニーホールなのですが、ホール改修工事(1月15日~6月30日)に伴ってカルッツかわさきに変更になりました この会場は初めてです。JR川崎駅から徒歩で約15分でした

プログラムはチャイコフスキーの三大ピアノ協奏曲(第1番~第3番)です ピアノ協奏曲第3番のソリストは福原彰美、第2番はミロスラフ・クルティシェフ、第1番は奥井紫麻です。バックを務めるのは秋山和慶指揮東京交響楽団です

 

     

 

自席は2階5列35番、センターブロック右通路側です。ホール内は何となく東京国際フォーラムのホールBを思い浮かべます。コンサートホールというより多目的ホールと言った方が適切でしょう

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという、いつもの東響の並び。コンマスはグレヴ・二キティンです

1曲目は「ピアノ協奏曲第3番変ホ長調作品75」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840‐1893)が死の約2週間前に完成した作品です 元々この曲は交響曲として作曲が始められたのですが、途中で中断し、交響曲第6番”悲愴”の作曲に取りかかり、1893年に第6番を完成させた後、作曲を再開しましたが、この時、ピアノ協奏曲として完成させようと方針転換したようです さらに当初 3楽章の作品として構想していたようですが、第2、第3楽章が気に入らず第1楽章だけの単一楽章の作品として完成させたのでした

ソリストの福原彰美は15歳で単身渡米し、サンフランシスコ音楽院とジュリアード音楽院で学びました 深紅の衣装を身に着けた福原さんがピアノに向かい、秋山和慶氏の指揮で演奏に入ります 曲を聴くと、チャイコフスキーらしさとラフマニノフのような濃厚なロマンティシズムを感じさせる部分が入り混じったような曲想でした 福原さんの熱演を聴いていて、3楽章として完成してほしかったと思いました


     


15分の休憩後は「ピアノ協奏曲第2番ト長調作品44」(原典版)です この曲は1879年10月から翌1880年4月にかけて作曲されました チャイコフスキーはこの曲をモスクワ音楽院の初代校長ニコライ・ルビンシテインに献呈するつもりでしたが、彼が1881年に急死したため、1882年3月18日に彼の兄アントン・ルビンシテイン指揮セルゲイ・タニェーエフのピアノ独奏により初演されました

第1楽章「アレグロ・ブリランテ・エ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「アンダンテ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の3楽章から成ります

ソリストを務めるミロスラフ・クルティシェフはサンクトペテルブルク音楽院で学び、2007年の第13回チャイコフスキー国際コンクールで最高位(第1位なしの第2位)入賞を果たしています

オケでは 首席チェロの西谷牧人氏が第2ヴァイオリンの前に移動し、コンマスとピアニストとの「ピアノ・トリオ」のような配置でスタンバイします

意表を突かれたのは、クルティシェフは白のジャケットで登場したのです 通常、男性ピアニストは上下黒の衣装が”定番”です。夏でもないのに白とは驚きました 驚きはそれだけではありませんでした

秋山氏のタクトで第1楽章が華やかに開始されます クルティシェフのピアノは力強くダイナミックです 2度目の驚きは超高速カデンツァです。目にも止まらぬ速さで弾きまくります

第2楽章は冒頭、二キティン氏のヴァイオリンが美しいメロディーを奏で、次いで西谷氏のチェロがそれを引き継ぎ、二つの楽器が対話し、そこにオケがからんで、さながらチャイコフスキー作曲「ヴァイオリンとチェロとオーケストラのためのダブル・コンチェルト」と呼びたくなるような曲想でした

第3楽章は一転、急速なテンポで演奏が展開します クルティシェフはアグレッシブにピアノを弾き進めます。秋山氏のしなやかな指揮が彼に対応します。ピアノとオケとが渾然一体となって熱いフィナーレを迎えます

すごい演奏でした 会場割れんばかりの拍手とブラボーが飛び交います クルティシェフは秋山氏と、二キティン氏と、西谷氏と握手し お互いを讃え合います   このピアニスト侮れません

15分休憩後は最後の「ピアノ協奏曲第1番変ロ長調作品23」です この曲は1874年11月から翌1875年2月にかけて作曲されました 献呈を予定していたモスクワ音楽院の校長ニコライ・ルビンシテインから酷評され、書き直しを言い渡されたチャイコフスキーでしたが、断固これを拒否しました その後、ドイツの指揮者・ピアニストのハンス・フォン・ビューローが絶賛し、各地で演奏されるようになり、ルビンシテインも認めざるを得なくなりました

第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーソ~アレグロ・コン・スピーリト」、第2楽章「アンダンティーノ・センプリーチェ」、第3楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の3楽章から成ります

ソリストを務める奥井紫麻(しお)は2004年5月生まれということで、今年15歳という若さです 2016年モスクワ国際グランドピアノコンクール最年少受賞など入賞歴多数で、2018年からグネーシン特別音楽学校で学んでいます

淡いパープル系の衣装の奥井さんが登場、ピアノに向かいます 若い割に非常に落ち着いた様子で、丁寧に音を紡いでいきます 一番良いと思ったのは、非常に素直な演奏で、どれほど強く弾いても音が濁らずクリアなことです  これは全楽章を通じて言えることです。第2楽章ではフルートの甲藤さち、オーボエの荒木奏美の演奏が華を添えました 奥井さんは第3楽章も堂々たる演奏を展開し、会場いっぱいの拍手とブラボーを浴びました

今回のコンサートはチャイコフスキーのピアノ協奏曲が3曲とも聴けるということで、単発でチケットを取ったのですが、正解でした とくに第2番を弾いたロシアのミロスラフ・クルティシェフの演奏は衝撃的でした また聴いてみたいピアニストです

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