人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

J.S.バッハ「マタイ受難曲」を聴く~バッハ・コレギウム・ジャパン定期公演

2012年04月07日 07時02分30秒 | 日記

7日(土)。昨夕、初台の東京オペラシティ・コンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の2012年度第1回定期公演を聴きました 演奏曲目はバッハ最高の宗教曲「マタイ受難曲」です

キャストは、ソプラノ=ハナ・ブラシコヴァ、藤崎美苗、アルト(男声)=クリント・ファン・デア・リンデ、青木洋也、テノール=ゲルト・テュルク、水越啓、バス=ピーター・ハ―ヴェイ、浦野智行と、男女混合合唱団。指揮はBCJが1990年に創設されて以来の音楽監督・鈴木雅明です

BCJが「マタイ受難曲」を演奏する時は、いわゆる”対向配置”を取ります。管弦楽器もコーラスもすべてが中央を起点に左右に分かれ、向かい合う形を取ります。向かって左側が第Ⅰ群、右側が第Ⅱ群です。BCJのレギュラーメンバーのほとんどが第Ⅰ群に入ります コンサートマスターの若松夏美、フラウト・トラヴェルソの前田りり子、菅きよみ、オーボエの三宮正満、尾崎温子、チェロの鈴木秀美、オルガンの今井奈緒子、ソリストではブラシコヴァといったメンバーです。さらにニューフェースのリンデ、ハーヴェイが加わります 一方第Ⅱ群には、コンサートマスターの高田あずみ、オルガンの鈴木優人、ソプラノの藤崎美苗、バスの浦野智行らのメンバーが入ります。こうした配置を取る理由は、左側にイエスを歌うバスを、右側にユダ、ペテロを歌うバスを置くことによって、イエスとユダとの敵対的な構図を明確にさせるためです イエスの受難の物語を語るエヴァンゲリスト(福音史家)は第Ⅰ群に属しますが、ソロのときは中央前方で歌います 言い忘れましたが、ソリストは第Ⅰ群か第Ⅱ群の合唱に混じっていて、ソロの時にその場で立って、あるいは前方に出てきて歌います

「マタイ受難曲」をBCJで聴くのは今回で何回目か思い出せませんが、ほぼ毎年1回は聴いているような気がします そのたびに思うのは、BCJは”世界に通用するピリオド楽器のプロ集団”だということです。特に第Ⅰ群で演奏した若松、前田、菅、三宮、鈴木といった演奏家はプロ中のプロです

ソリストでは、エヴァンゲリストを歌うテュルクは全曲を通してほぼ歌いっぱなしですが、そのテノールの素晴らしさ もう一人BCJの常連ではブラシコヴァのノン・ヴィブラートの美しさ そして、今回の収穫はアルト(男声)のリンデとバスのハーヴェイ、そしてソプラノの藤崎美苗です リンデは常連のロビン・ブレイズが、ハーヴェイは常連のペーター・コーイが歌った大役を見事に歌い上げました 藤崎美苗は第2の野々下由香里になれるでしょうか

20分間の休憩中は60ページもあるプログラムを読みましたが、とても読み終わるものではありません 途中で諦めてトイレに行こうと顔を上げると、見知らぬ紳士(背は低めで白髪)が「大変失礼ですが、今日のような合唱曲は良くお聴きになるのですか?」と訊いてくるのです 一瞬どう答えたものかと悩みましたが、「それほどは聴きません」と答えて軽く会釈をしてその場を去りました。紳士的な感じの良い人でしたが、逆に宗教かシニア合唱団の勧誘かも、と疑ったことも否定できません。失礼かと思いましたが、休憩時間も残り少なく、トイレに行かなくてはならないので、水に流してもらうことにしました

午後6時半に始まった演奏は、途中20分間の休憩をはさんで9時50分に終了、正味3時間の充実したコンサートでした ソリストたちは何度も呼び戻されて拍手とブラボーの声援に応えていました この日はほぼ9割方埋まっていました。新年度の始まりとしては上々といったところです。しかし、例年第2回目から聴衆が減ってしまうのが残念です。いつも素晴らしい公演なので、この日の聴衆がずっと残ってくれればいいと思います

 

        

 

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