・・・てんてんてん。

とっぴーの非生産的な日常とその実態。

Stranger in myself

2007-03-07 19:07:12 | weblog
「ここだけの話なんだけど、最近毎日のように女のコに告白されるんだよね。しかも毎日同じコに。いや、ストーカーとかそんなんじゃないとは思うんだけどさ。うん。ていうか有名人なんだよ彼女。もうびっくりだよ。これすごくね?オレすごくね? あぁ、モテるってつらいわ。

え?

ああ、でも彼女、オレのタイプじゃないんだよね。申し訳ないんだけど。彼女いつもオレに『あなたのこと、だーい好きだから!』っていうんだ。毎日のようにだぜ。ひどい時だと一日に何回も。いや、気持ちはうれしいんだけどね、少しはオレの話も聞いてくれって思う訳よ。

ふ・・・まったく、オレはどうしたらいい!?」

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『それCMだろ。長澤まさみ』

俊輔はそう言いかけたが、黙っていることにした。こいつの話に合わせるのは面倒だ。

こいつは先月の21日を最後に、どこかへ行方をくらましていた。どうせ生きているのが煩わしくなったからだとか、到底自分には理解できない種類の理由でも作り上げて、勝手に消えたのだろう。
こいつの行方不明については、まるで他人事のように感じていたが、事実こいつは他人なのだとも彼は思う。いまさらノコノコと戻って来られても、然したる感慨も湧かない。むしろ今となっては目障りだ。こいつのくだらない話も、もう聞きたくない。

『今がチャンスだ』

俊輔はジャケットの内側からおもむろに銃を取り出し、銃口をヤツに向けた。

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突然銃を突きつけられた。

「あ、やばっ」

昨日のメモの最後の言葉は一体何に使うものだったのか。それは今日この時のための言葉だった。僕は最後の最後になってようやく思い出したけれど、それも今となってはどうでもいいことになってしまった。めそ。

俊輔が引き金を引くのが見えた。
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遠き春よ

2007-03-06 20:38:40 | weblog
 とっぴーさんの箇条書きメモ。

・昨日かかってくるはずの電話が今日もかかってこなかった
・体重が62キロとか言う、未知の領域に突入していた
・微分とか積分とか物理とか、必要になるかもなので勉強しなきゃいけないかも
・先日バッティングセンターに行った所為か、体のあちこちが痛い
・首を寝違えて痛かった
・花粉症
・春
・まぶた閉じればそこに夢をくれし君の懐かしき声がする
・寒い
・3000円で25.64リットル
・ヒデジロウ(猫)が寂しそうだ
・寂しい
・車の中で1時間ぐらい寝た
・なぞなのは遺伝子じゃなくてあんたの箸の持ち方だと大塚愛に問い詰めたい
・風強い
・俊輔
・桜餅の葉っぱ
・愛されるより水死体
・ババロアの素
・いつまで続けるんだろう
・いろいろね
・詩人


・あ、やばっ
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春ですね。

2007-03-04 21:00:23 | weblog
『5秒前』

「んん、あ、あ、あ」

『3・2・1』


「・・・はい、NGH・岐阜放送局アナウンサーのN山俊輔です。

私は今、岐阜市の梅林公園にいます。



ご覧下さい、この梅の木々。満開です。青空に花の色も映えますね。
この公園には、白梅700本、紅梅600本の計1300本、約50種類の梅の木が植えられています。ほのかに梅の花の香りも漂ってきて、歩いていてもなんだかウキウキしてきますよ。



そんな、岐阜の人々に春の訪れを教えてくれる梅林公園、
昨日今日と、ここ梅林公園では梅まつりが行われています。
イベントにテキ屋さん、みなさん楽しそうです。

この公園にはあの有名な機関車・デゴイチも展示されています。



煙が出てますね。
実は中で煙を焚いて、扇風機で・・・げほげほ。

(ぷおーー)

あ! 聞こえました?
今、汽笛が鳴りました!!

では中に入って見ましょう。



これが機関室から見る景色。
列車のいちばん前までは結構距離があります。
前があまり見えませんね。


以上、N山俊輔が岐阜の春の様子をお伝えしました。
今日も岐阜市は平和です。

それでは~。」


『はい、オッケーです』

「いかやき食いてえ」
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愛は祈りだ。僕は祈る。

2007-03-01 22:38:32 | weblog
「先生、助かるんですか?」

俊輔は祈るような気持ちで尋ねた。昨日、そして今日と彼はチェリーを病院に連れて来ていた。3日前から彼女は体調を崩していた。ぐったりして寝てばかりなのだ。ご飯も食べない。

もうチェリーとは10年近くの付き合いだ。新聞に掲載されてた「猫いりませんか?」の記事。この記事を載せた人、つまり猫を拾った人の話によると、彼女はビニール袋に入れられて捨てられていたそうだ。あれは中学3年のときの修学旅行前の話だったかなと彼は思い出す。当時の彼は猫にはあまり興味がなかったけれど、情が湧いてくるのに時間はかからなかった。

検査の結果によると、糖尿病である疑いが強いようだ。かなり悪いらしい。もう治らないかもしれないという話だ。実際、診察台の上に寝ている彼女は信じられないくらい元気がない。

点滴、注射、血液検査。

・・・がんばれ。

ばあちゃん、そして先生。励ましの声が聞こえる。

その応援は彼の心を刺す。投げやりな考え方や生き方が染み付いた心に突き刺さる。がんばれ。その暖かさは間違いなく心からの声。

心を強く、しっかりと生きなければ。
自分から自分を放棄してはいけない。


処置を終えたチェリーを家に連れて帰り、俊輔は家族にチェリーの容態について説明した。彼の父も母も妹も心配した。チェリー頑張れと祈った。やさしく撫でてあげた。


チェリー、頑張れ。

彼も祈った。
コメント (2)
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