・・・てんてんてん。

とっぴーの非生産的な日常とその実態。

愛は祈りだ。僕は祈る。

2007-03-01 22:38:32 | weblog
「先生、助かるんですか?」

俊輔は祈るような気持ちで尋ねた。昨日、そして今日と彼はチェリーを病院に連れて来ていた。3日前から彼女は体調を崩していた。ぐったりして寝てばかりなのだ。ご飯も食べない。

もうチェリーとは10年近くの付き合いだ。新聞に掲載されてた「猫いりませんか?」の記事。この記事を載せた人、つまり猫を拾った人の話によると、彼女はビニール袋に入れられて捨てられていたそうだ。あれは中学3年のときの修学旅行前の話だったかなと彼は思い出す。当時の彼は猫にはあまり興味がなかったけれど、情が湧いてくるのに時間はかからなかった。

検査の結果によると、糖尿病である疑いが強いようだ。かなり悪いらしい。もう治らないかもしれないという話だ。実際、診察台の上に寝ている彼女は信じられないくらい元気がない。

点滴、注射、血液検査。

・・・がんばれ。

ばあちゃん、そして先生。励ましの声が聞こえる。

その応援は彼の心を刺す。投げやりな考え方や生き方が染み付いた心に突き刺さる。がんばれ。その暖かさは間違いなく心からの声。

心を強く、しっかりと生きなければ。
自分から自分を放棄してはいけない。


処置を終えたチェリーを家に連れて帰り、俊輔は家族にチェリーの容態について説明した。彼の父も母も妹も心配した。チェリー頑張れと祈った。やさしく撫でてあげた。


チェリー、頑張れ。

彼も祈った。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする