にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

【舞台】『ミス・サイゴン』

2013年01月03日 | STAGE
『ミスサイゴン』
エンジニア:市村正親。
キム:新妻聖子。
クリス:原田優一。
ジョン:岡幸二郎。
エレン:木村花代。
タム:荒川槙。

1975年。サイゴン。爆撃で故郷の村と両親を失った少女キム。エンジニアの経営するナイトクラブに流れ着いた彼女はそこで、長引く戦争に心身ともに疲れ果てた兵士クリスと出会う。一夜の恋。それが永遠のものと思うかのように二人は愛し合い未来を誓う。陥落するサイゴン。二人してアメリカに行くはずが運命は二人を引き離す。キムの手に残ったのは、愛おしいわが子タムといつか迎えに来てくれるはずというクリスへの変わらぬ思い。そして1978年・・・。

2005年。私は一曲の歌に出会う。本田美奈子さんの歌う「命をあげよう」。そのきっかけは彼女の死だった。それまで私は本田美奈子という人は元アイドル歌手。ただそうとしか認識していなかった。ところがこの「命をあげよう」を聴いたとき、私の魂は震えた。素晴らしい歌声、そして心の叫びだった。私は本田美奈子さんのキムが見たかった。でもそれはもう無理な話で・・・。だからせめて『ミスサイゴン』という舞台だけは一度は見てみたかった。2008年、2009年と東京公演はあったんですよね。でもミュージカルの上演情報にはあまり縁がなく、全く知らないままで、昨年梅芸でこの作品のフライヤーを見つけたとき狂喜しそうになった。「やった!やっと見られる!」
念願かなった2013年1月1日。カーテンコールで市村正親さんは「仕事始め。そして大阪の楽です。複雑な心境です」とおっしゃってましたが、その二つの思いが重なった舞台は素敵なものでした。今回のキム役は新妻聖子さん。この方の歌も素晴らしい。でも何より驚いたのは市村正親さん。この方の舞台を拝見するのは今回が初めてなんですが、やはりすごい存在感です。歌は決してすごく上手い!という人ではないと思う(ファンの人ごめんなさい)。でもあの余裕というか、まだまだ余力ありますよというような感じの器の大きさ。今回のエンジニアもちろんよかったですが、ぜひシリアスなものも見てみたい!『屋根の上のヴァイオリン弾き』行こうかな。
物語は悲しいね。この物語の主軸はキムのメインの歌である「命をあげよう」これにすべてが集約されてるんですよね。ベトナム戦争はアメリカで数々の映画の題材になっている。その映画のすべてがつらいものしか残さなかったこの戦争を悔い、恨んでいるように思う。この作品を観て一番に思い出したのは『天と地』でした。『天と地』では米兵の夫と共にアメリカへ渡れる。『ミスサイゴン』と『天と地』は、あのヘリコプターに乗れるか乗れないか?のちょうど両極を描いているんですよね。でもあのヘリコプターに乗れたとしても・・・。
今回の新演出で博多と東京でしか上演されなかった本作がどこの劇場でも上演されるようになったということでの大阪公演。これからもまた再演される可能性が増えたということです。未見の方は機会があればぜひ。

-2013.1.1 梅田芸術劇場メインホール-