にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『棺の中の猫』

2006年03月19日 | BOOK
今はひっそりと暮らす女流画家の元に現れた一匹の白い猫。その猫を抱き上げたとき彼女の遠い昔の物語が始まる。
儚く美しくそして胸に痛い作品でした。心に小さく囁く悪魔の声に耳を貸したとき、人はとんでもないことをしてしまう。たったひとつの間違った行動が、残された人生のすべてを贖罪の日々へと替えてしまう。誰かの心を自分のものにしたいと思ったとき、どれだけ辛抱強く待てるかで、どれだけその人のことを愛しているのかがわかるのかもしれません。その忍耐を試すかのように悪魔は囁く。
この物語を読み終わったとき、この主人公の女流画家の心に今も映っているであろう麦畑を走る美しい少女と一匹の白い猫の姿が私の心にもうっすらと浮かびあがったような気がしました。