にゃんこな日々

ネコ風ライフをつらつらと・・・

『歌わせたい男たち』

2005年11月24日 | STAGE
『歌わせたい男たち』
舞台は卒業式2時間前の都立高校の保健室。卒業式でのピアノ伴奏の重責を担う元シャンソン歌手の音楽講師。何としても『君が代』の全員起立、全員斉唱を願う校長。たった一人でも不起立、不斉唱を貫こうとする社会科教師拝島。決まりごとは決まりごとなんだと妄信する英語教師片桐。そういうことには興味はないけどどこか片桐に興味があるようで片桐に賛同する養護教師。卒業式での『君が代』を巡るそれぞれの思惑。
実際に起こっている現場でのドタバタが見事にシニカルにコメディ化されている。
面白い。とは言っても喜劇のワハハ!って感じの面白さじゃないんですよね。いや、確かに笑える。大笑い出来る。だけどもどっか笑えない。すごい作品です。仕事途中でトンズラして観に行った甲斐がありましたよ(笑)。校長役の大谷亮介さんがうまい!いい人なんだけど、今のこの展開じゃこうしなきゃ仕方ないのよ!という立場でどうにか自分も他人もみんなごまかしちまえ!という必死さが笑えるんだけども笑っちゃいられないだろう?というこの作品の味を醸し出している。私がご贔屓の近藤芳正さんは、もう文句なしでしたし、近藤さんの歌う『暗い日曜日』が聴けるとは思いもよらず、特した気分です。


で、この作品笑うに笑えなかった問題。パンフレットに記載された漫画家の石坂啓さんと脚本家永井愛さんの対談と、「日の丸・君が代」をめぐる年表を読んで、余計にこの作品の笑えない問題が私の中でクローズアップされた。
私が小・中・高校生だった頃は今ほど、「君が代」斉唱が絶対的ではないけど流されていて、日の丸は普通に掲揚されていた。その当時はだからそれがいいとか悪いとか全く意識しないでいたのですが、なぜか「君が代」だけは斉唱したことがないんですよね。(^^;) 生まれてこのかた「君が代」を歌ったことがあるのはしりとり歌合戦をしていて「き」が当たってこれしか浮かばなかったときだけ(笑)。だって私は「君が代」の歌詞は「この世は天皇陛下の世でそれが代々続けばいい」という意味だって教えられましたもん。誰に教えられたのかは全然覚えてないんですけどね。だったらそんなもん今歌っちゃいかんだろう。そんなもん歌うなんて真っ平ごめんだね。と小学校の3年か4年のときには思っていたように思います。これはきっと天皇の存在を否定していた父親の影響だと思うのですが・・・。考えると不思議な親父です。ただの電気工事請負業のおっさんだったんですけどねぇ。ま、そんなことはともかく・・・。私がそう教えられた意味は間違いなく、パンフレットの年表によると1941年の国定教科書に「君が代」の歌詞は「天皇のお治めになる御代は、千年も万年も続いてお栄えになりますように」と説明されているそうです。これ歌えって・・・ねぇ。歌えねぇだろ・・・。そしてこれを歌わない教師、生徒に歌わせない教師が処分される・・・。これは間違いなくこの国、日本で起こってることなんですよね。なんでも教師だけじゃなく、生徒の内申にも影響するらしいですよ。笑えるけども笑えない・・・。みんな一体どこに行きたいんでしょうかね?

東京の方は2005年12月6日(火)19:00開演(18:30開場)亀戸・カメリアホールで追加公演があるそうですので、まだチケット大丈夫かどうかはわからないんですが、ぜひともご覧になっていただきたい作品です。