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今日の筆洗

2021年11月16日 | Weblog

イチョウの色が緑から美しい黄色に変わりつつある。東京の日比谷公園に一風変わった名前のイチョウの木がある。「首かけイチョウ」という。小春日の陽(ひ)を受けた黄色の葉がまぶしい▼「首かけ」とは物騒だが、一九〇一年、この木を公園内に移植する際の話に由来する。もとは公園近くの日比谷交差点近くにあったが、道路拡張に伴い、伐採することになった。これに反対したのが「日本の公園の父」、本多静六。自分の首をかけてでも移植させると訴え、その名がついた▼気候変動問題を協議したCOP26は成果文書を取りまとめ、閉会した。地球という大きな木を守るための会議である▼焦点だった石炭火力発電をめぐる表現は段階的廃止から段階的削減に残念ながら後退した。温室効果ガスを多く排出する石炭火力を段階的に廃止したい欧州などに対し石炭への依存度がなお高い中国やインドが難色を示し、表現を弱めることで何とか折り合った▼後退した成果文書に対し不十分だとの声があがる。もっともだが、石炭火力を減らそうという方向性を国際社会が共有したことを前向きにとらえるしかないか。あのイチョウでいえば伐採ではなく、移植の方向だけはひとまず確認できたのである▼温暖化抑止は成果文書を踏まえた各国の対応にかかる。首をかけて、取り組んでほしい。地球という大木を枯らすわけにはいかぬ。


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