愛媛、松山の名物、五色そうめんの歴史は古く、八代目長門屋市左衛門なる人物がそうめんに色をつける技術を考案したのは1722(享保7)年だそうだ▼市左衛門の娘が下駄(げた)に偶然、絡んだ5色の糸にひらめき、父親に製造を勧めたというからヒット商品はどこに転がっているか分からない▼9月になっても下がらぬ気温に五色そうめんをつい連想したが、「5人の女性閣僚」の方はヒットとなるか。この内閣改造である▼上川陽子外相に加藤鮎子こども政策担当相ら。5人の女性の入閣は最近の内閣では珍しい。女性票に強いとはいえない自民党としては次の総選挙をにらみ、女性の起用に積極的という「色」を加えたかったのだろう。もっとも女性登用が当たり前の時代。過去最多とはいえ5人の女性起用はそこまで自慢できる話かどうか▼閣僚全体を見れば、相も変わらず、党内派閥のバランスに縛られた人事である。党総裁選は来年秋。首相としては大胆な人事よりも党内の「治安」を優先したかったか。なるほど、5人の女性閣僚で「色」を出したかもしれぬが、党内の顔色ばかりをうかがった内閣改造は新味にも迫力にも欠ける▼五色そうめんとは違うが、そうめんに赤や緑の色のついたのが数本入っていて、子どものころはあれが食べたかったものだ。食べてみれば、味はあんまり変わらなかったことを思い出した。