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今日の筆洗

2023年09月11日 | Weblog
作家、星新一さんの『白い服の男』は戦争を憎み、平和を一途(いちず)に願う近未来が舞台である。さぞ穏やかな社会だろう…。星さんの想像は逆である▼その世界では平和を願うあまり、戦争という概念そのものを消し去ろうとする。戦争の歴史は封印され、戦争と口にしただけで平和の敵として逮捕されてしまう。特殊警察の男が言う。「いかなる犠牲を払っても二度と平和を手放すまい」▼米国にとってロシアをウクライナから追いやり、かの地に再び平和の灯(あか)りをともすための協力なのだろう。それでも、間違ったやり方で平和を追求し、人々をかえって苦しめる結果となった星さんの小説が頭を離れない。米政府がウクライナに対し、劣化ウラン弾を供与すると表明した▼その高い破壊力に疑いはない。高熱で戦車の厚い装甲を貫通し内部で爆発。ウクライナの反転攻勢を助けるかもしれぬ▼その一方で、である。微粒子となったウランが人体に入り込めば、体内被ばくを起こす危険がある。細胞を傷つけ、治療法もない。住民の健康や環境への影響が極めて大きい「もろ刃の剣」であろう▼ロシアの侵攻を食い止めたい-。ウクライナの願いは理解する。だが、その「弾」は本当に平和をもたらすのかを疑う。ロシアとの戦争が終わったとて、その後に待つのは、体内被ばくという別の「敵」との闘いではないのか。それを恐れる。