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今日の筆洗

2022年11月17日 | Weblog
 「ミンスミート(ひき肉)作戦」は映画などでおなじみか。英国軍が第二次世界大戦中にドイツ軍に使った、欺瞞(ぎまん)作戦である▼本物の遺体を用意し、英軍の服や装備を身に着けさせた上で海に流す。これを見つけたドイツ軍。遺体が持っていた攻撃目標に関する書類を発見し、喜ぶのだが、無論、内容はすべてウソ。偽情報を本物と信じたドイツ軍は翻弄(ほんろう)される▼これも何かの作戦かと思い込んでしまった。ポーランドにロシア製とみられるミサイルが着弾し、二人が亡くなった事件である▼未明の速報に驚いた方も多いだろう。ポーランドは北大西洋条約機構(NATO)の加盟国。ロシアによる発射であれば、NATO全体への攻撃と見なされ、ロシアに対し集団的自衛権の行使に踏み切る可能性もある事態である。つまりNATOとロシアの戦争となってしまう▼早い段階で、バイデン米大統領が軌道などからロシアから発射されたものではないようだと強調し、事態をひとまず落ち着かせたのが幸いだった。その後の情報によれば「正体」はロシアのミサイルを狙ったウクライナ軍の迎撃ミサイルとの見方が強い。だとすれば、欺瞞作戦でも挑発行為でもなんでもなく偶発的な不幸な着弾である▼緊迫化した状況の中では何を見ても敵の顔が浮かぶものだろう。本物の攻撃かどうかを冷静に判断した対応例として記憶しておく。