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今日の筆洗

2022年11月26日 | Weblog
 「平成の米騒動」は、一九九三(平成五)年の米の凶作がもたらした▼記録的冷夏の東北がひどく、平年を一〇〇とする作況指数は宮城で四〇を切ったと伝えられた。夏場に冷たい海風「やませ」を浴びた稲は秋、頭(こうべ)を垂れなかった。全国で卸売業者や消費者の一部が買いだめに走り、タイ米などが緊急輸入された▼この凶作を機に生産が激減したのが宮城生まれのササニシキ。コシヒカリと並ぶ「横綱」と称されたブランドだが、寒さに弱く、栽培に手間がかかることもあって農家は別の品種に変えていった。ササニシキは凶作当時、宮城県内の作付面積の約66%を占めたが、近年は6%前後に落ち込んだという▼その「元横綱」が来年、誕生六十周年を迎える。消費喚起を図るべく、地元JAが新たなロゴマークを作ると地元紙の河北新報が伝えていた。五つの候補をウェブで発表し、投票を募っている▼五ツ星お米マイスターの澁谷梨絵さんは著書『世界でいちばんおいしい お米とごはんの本』で、コシヒカリを「ごはんだけで食べてもおいしいと思える旨味(うまみ)の強いお米」に分類した。ササニシキは「あっさりしていてどんな料理にも合う」という。ネタの味を引き立てると、重用するすし職人は多い▼一時はブランド米の地位を極めながら、自己主張は控えめなのが妙味。冷害の悲しみを経て還暦を迎えるが、枯れては困る。