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今日の筆洗

2022年11月28日 | Weblog
五百万人といえば東京二十三区の人口の約半分。大変な数だが、見方を変えるとその数字が寂しく感じられる。五百万人とは紀元前八〇〇〇年ごろの世界人口だそうだ▼中東で農業が広まるころか。ヨーロッパは石器時代で日本は縄文期。その時代、地球にはその程度の数の人しか暮らしていなかった▼国連によると世界の人口はこの十一月の半ばに八十億人に達した。世界のどこかに八十億人目の赤ちゃんがいる。人口十億人になったのが一八〇〇年ごろだから五百万人の時代からだいたい一万年かかっている。その後のペースはこわいほどに速い。一九三〇年代に二十億人。二〇一一年に七十億人。そこから十年ちょっとで、また十億人増えた▼そのペースに人口増、食料危機という憂鬱(ゆううつ)なSFめいた筋立てを想像してしまうが、落ち着きたい。人口の増加ペースは既に緩やかになっており、国連の見立てによると二〇八〇年代に約百四億人でピークを迎え、その後、横ばいとなるそうだ▼もちろん、増えた人口は地球への負荷となり、取り組みは必要である。人口増はアフリカやアジアの貧しい地域に集中しており、そうした人びとの生活向上を図る手だても考えなければならない▼それでも八十億人を祝したい。それは病や貧困と闘い続けた人類が迎えた、一つの到達点だろう。八十億人目の赤ちゃんを笑顔で迎えてあげたい。