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今日の筆洗

2022年11月22日 | Weblog
国文学者の池田弥三郎さんが子どものときに「おいしい」という言葉を使って叱られたと書いていた。「いやだね、この子は、女の子みたいな言葉を使って」▼池田さんは一九一四(大正三)年、銀座のお生まれ。当時、その界隈(かいわい)の男が食べ物の味をほめるときはうまいとかうめえだったそうで「祖母や母親などは何かいやだという気持ちでうけとったらしい」。若い女性も「うめえ」を使う現代とはだいぶ違う▼ある言葉について間違っているわけでもないのに「何かいやだ」と感じることはどなたにもあろう。わが身でいえば、「辞任ドミノ」である▼政治とカネの問題で寺田稔前総務相が辞任した。わずか一カ月の間に三閣僚が相次いで辞めたとなれば確かに並んだドミノが順繰りに倒れていくかのようである▼気になるのはその言葉に不可抗力のニュアンスがあることか。三人の辞任の理由はそれぞれ別で、関連性はない。最初のつまずきがあってそれが連鎖しているわけではない。辞任ドミノと言ってしまうと、何だか自然現象のようで国民生活を預かる閣僚に不適任な人物を三人も起用した岸田さんの失敗が軽く聞こえはしまいか。責任はひとえに起用した岸田さんにある▼同じゲーム牌(はい)でいえば、麻雀(まーじゃん)の方だろう。ひどい牌ばかり選んでは放銃を繰り返し、支持率と信頼を失っている。点棒は底をつき、展望も見えない。