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今日の筆洗

2022年11月14日 | Weblog
フォルテシモならば「極めて強く」。フェルマータは「音を延ばす」、カンタービレは「歌うように」▼楽譜上で曲のテンポや雰囲気を演奏者に伝える音楽用語(楽語)が使われるようになったのは十八世紀以降という。大半がイタリア語。当時、音楽文化の中心がイタリアにあったためという▼「速く」のプレスト、「歩くような速さで」のアンダンテ。曲の速度を指示する用語だけでも数多い。速度に例えるなら、岸田首相の譜面にたびたび登場するのはラルゴだろう。「極めて遅いテンポで」▼死刑執行をめぐる問題発言で葉梨前法相を交代させたが、この経緯がいかにもラルゴである。法相という職について「朝、死刑のはんこを押し、昼のニュースのトップになるのはそういう時だけ」。人の命そのものをもてあそぶかのような言葉に法相の資格はなく、ただちに更迭すべきなのにそれができない。いったん厳重注意で収めようとし、与野党の批判を見て、ようやくである▼旧統一教会との関係が問題になった山際前経済再生担当相を交代させた時もそうで、毎度、決断が遅く、結果、後手後手に回る。テンポの遅すぎる曲に国民の方はいらだち、不安さえも感じる▼首相が作曲法を改めぬ限り、政権はモレンドとなる。ドビュッシーの「月の光」の最後に出てくる。用語の意味は「だんだん弱く、消え入るように」である。