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今日の筆洗

2022年11月05日 | Weblog
ユダヤ系移民が多い中東のイスラエルは一九四八年の建国以来、総選挙で単独過半数に達した政党がない。一院制の国会は党が得票を競う比例代表制のため議席が多党に分散し、政権樹立の連立交渉はよく難航する▼移民の出身国は多様で、ユダヤ教の戒律に厳格な人もそうでない人も。党も左派、右派、中道、宗教政党、少数派アラブ人系など多彩だ▼選挙後、連立交渉はおおむね一カ月以上はかかる。十年以上前の連立交渉でも閣僚ポストでもめ、「遅々としていて国民は怒らないのか」と地元の政治学者に聞くと「党を支持した人のため、いいポストを得る努力は当然。時間はかかる」と説かれた。民主主義の手続きに律義な国である▼先の総選挙で、野党系勢力が票を伸ばした。ネタニヤフ元首相が返り咲くべく連立交渉を始めるようだ。総選挙は二〇一九年以降五回目。連立協議失敗によるやり直し選挙もあったためで有権者も嫌にならぬかと思うが、投票率は70%を超え近年では高水準だったという▼ユダヤ人は昔、各国の少数派として艱難辛苦(かんなんしんく)を味わった。議論好きも多いという。政権が不安定でも、少数派を切り捨てぬ制度がふさわしいのだろう▼得票率五割未満の党が議席の六〜七割を獲得できる小選挙区制中心で、支持の実態以上に議席差が開いて議論の盛り上がりに欠く国からみると、少々うらやましくもある。