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今日の筆洗

2021年03月16日 | Weblog

 ラジオから流れてきた曲が気になった。ドラムが実にいい。「うまいなあ、このドラム…」とつぶやくとまわりが教えてくれた。「なにを言っているんですか、あなた(の演奏)じゃないですか」▼自分の演奏に気付かなかったのには理由がある。日本を代表するドラマーの村上“ポンタ”秀一さんが亡くなった。七十歳▼スタジオミュージシャンとして録音に参加した曲数は一万五千曲を超えるという。キャンディーズの「春一番」、ピンク・レディーの「UFO」、山口百恵さんの「プレイバックpart2」。多すぎて自分でもどの曲でドラムをたたいたか、分からなくなっていたそうだ▼専門のジャズは無論、ロック、フォーク、歌謡曲と幅広いジャンルで縦横無尽にスティックを振るった。「ガッチャマン」の主題歌のドラムもこの人と聞く。名前は知らずとも日本人の多くがどこかでその音を聴いているはずだ▼歌心のあるドラムの秘密は歌詞を読み込むことだったらしい。単にリズムを刻むのではなく、歌詞と歌の世界を理解した上でたたく。その仕事に声が掛かるわけである▼一九七二年、米国で見どころのあるギタリストと会った。「おまえは精進すれば、いいギタリストになれるぞ」と励ました。声を掛けた相手は既にギターの神様だったエリック・クラプトン。逸話に自信にあふれたドラムの音が聞こえてきた。