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今日の筆洗

2021年03月27日 | Weblog

 生命感に乏しい砂漠がきれいに思えるのはなぜか。王子が語る。<砂漠が美しいのは…そのどこかにひとつの井戸が隠されているからだよ>。『星の王子さま』(サンテグジュペリ)の知られた場面だ。聞いた「ぼく」は気付く。美しさをつくっているのは見えないものだと▼地球規模のコロナ禍でよくない話に事欠かない昨今の世界でも、人々が以前と変わらずに幸せを感じる国はあるという。国連関係機関が、例年この時期に発表する世界の幸福度ランキングが、先日明らかになった。コロナ流行下で、見えにくい幸福感を探る調査となったようだ▼いくつかの項目を巡り各国民が感じる幸福度をまとめるが、一位は今回もフィンランドになった。北欧の他国などを従え四年連続だ。欧米メディアによると、流行が比較的小さく抑えられ、ひどい医療崩壊も避けられた。公的機関への信頼や国民同士の寛容さも大きく、高かった数値を維持したようだ▼わが国は、順位を少し上げての五十六位であった。先進国の中では、見劣りする順位のままである▼手法や調べる項目などに疑問も指摘されてきた調査である。とはいえ、これほど安定した首位の国の井戸に、学ぶべき幸福の秘密は、ありそうだ▼最近は、外から聞こえる登校の子どもの笑い声に、幸福を感じるような気がする。日常がどれほど戻ったかを表す指標があるといい。