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今日の筆洗

2020年04月14日 | Weblog

 マシュマロテストという心理学の実験がある。協力を願うのは未就学児童。皿にマシュマロ一個を置き、子どもにこう言い残して部屋を立ち去る。「私は出かけます。食べてもいいですが、十五分間、食べるのをがまんすれば、もう一つマシュマロをあげます。私がいない間に食べれば、二つ目はありません」▼名前はかわいいが、子どもには酷な実験である。で、どうなったか。がまんできたのは三分の一ほど。そりゃそうだろう▼十数年後、子どもたちのその後を調べると、マシュマロをがまんできた子どもの方が学業優秀だったそうだが、これはまた別の話▼われわれの目の前にもマシュマロが置かれているのだろう。そのマシュマロとは何か。気兼ねなく外出を楽しむ。酒場で友とくみ交わし、劇場で芝居を堪能する。この騒ぎ以前、当たり前に行われていた「日常」である▼感染拡大を防ぐため、しばらくそれをがまんしなさいと言われ取り残された。がまんすれば良いことがある。それは確かなのだろう▼幸い、あの実験の子どもたちとは状況が違う。たった一人で部屋に残っているわけではない。辛抱しようよ、いいことが待っていると励まし合える仲間がいる。ソリダリティー(連帯)の精神。困難にある人類に向けローマ教皇が呼びかけた。連帯でどうしても手に入れなければならない二つ目のマシュマロである。

 
 

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