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今日の筆洗

2019年04月24日 | Weblog

 米喜劇マルクス兄弟のグルーチョ・マルクスの笑い話にこんなのがある。あるクラブの会員になろうと入会を申し込んだ。そのクラブは入会を認めたが、当の本人は退会届を出した。「私のような人間を会員にするクラブに私は入りたくない」。いったい何がしたかったのか▼もちろん、グルーチョとは違い、そのコメディアンは「私のような人間を大統領に選んでしまう国の大統領に私はなりたくない」なんて冗談は飛ばさなかった。ウクライナの大統領選挙で当選したコメディアンのウォロディミル・ゼレンスキー氏である▼歴史教師が大統領になるというテレビドラマで主役を演じて人気となり、そのまま現実でも大統領に。空想と現実が入り交じる展開に驚くが、それほどまでに現政権下の汚職や経済停滞に不満が高まっていたのだろう▼笑いを売る人が政治家に転身する例は世界中にある。グアテマラのモラレス大統領もコメディアン出身。何年か前にアイスランドの地方選挙ではコメディアンが冗談で結成した新党が圧勝したこともある▼「笑いは悲しみの涙を止め、希望にさえ変えうる」。喜劇俳優、ボブ・ホープの名言だが、コメディアンに国を託したくなるのは親近感や笑いのある未来へのすがるような希望かもしれぬ▼政治経験ゼロの庶民派大統領のお手並みを拝見しよう。ドタバタ喜劇も抱腹絶倒もいらない。 

 
 

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