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今日の筆洗

2019年04月11日 | Weblog

 英国コメディーのモンティ・パイソンに「哲学者サッカー」という作品がある。選手はアルキメデス、ソクラテス、ニーチェ、カントら名だたる思想家たちである。さてキックオフ。選手は誰もボールを追わず、それぞれ、ぶらぶらと思索にふける…▼コントの見本である。哲学者はサッカーをしない。そういう常識や思い込みが壊れることで笑いが生まれるのだろう。ギャグの古典で説明すれば、立派な紳士はバナナの皮で滑って転ぶようなことはないはず。それが崩れ、紳士が転ぶから笑いになる▼この方は笑いの金鉱を医師という職業に発見したのだろう。医事コメディーの漫談家ケーシー高峰さんが亡くなった。八十五歳。昭和、平成の人気者がまた一人。その名に、日曜午後の演芸番組を見て笑い転げる家族の光景を思い出す方もいるだろう▼医師をイメージしていただきたい。頭脳優秀、まじめ、冷静、上品、冗談なんか言わない…。それを逆手に取るのが、ケーシーさんの手口である▼「太った人は役所に届け出る必要があります。これをわれわれ医師の世界ではシボウ(脂肪)届と言います」。医者らしい深刻な顔と口調で、医者らしからぬフレーズ。医師への先入観が壊れ、ただの駄じゃれが大爆笑になる▼立川談志さんが「こんな芸人他にいるかい?」と書いていた。独特で懐かしい笑いを「グラッチェ」と送る。

 
 

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