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【絵本から専門書まで】 塾講師が、生徒やご父母におすすめする書籍のご紹介です。

『日本共産党』 筆坂秀世

2006年10月22日 | 政治・経済・外交

 

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安倍政権発足後、初の国政選挙が行われ、自民・民主両党が力を入れるのは当然として、両選挙区とも毎度のことながら、共産党候補も立候補しています。 候補者本人も含め、共産党が勝てると思っている人はどれほどいるのでしょうか。また、負けると分かっていても、常に候補者を立てるのが共産党ですね。

少し前に、共産党の最高幹部の一人である筆坂氏が、セクハラ事件で、離党、議員辞職をしたのには驚きました。本書はその筆坂氏が、自分の人生と共産党を語ったものです。

かつての、日本共産党で、私が印象的なのは、テレビに出てくる誰も彼も、リーダーの不破元委員長と同じしゃべり方をするということでした。筆坂さんもそうでしたし、現委員長の志位さんも似ています。そっくりと言っても良いほど。

それだけ、不破さんのカリスマ性が高いのだろうと思っていましたが、本書を読んでみて、確信しました。不破さん自体が、日本共産党そのものだと。


筆坂氏が、逆らうことを許されない組織の中で、不名誉極まりない事件で身を引かざるを得ない無念さと、恨み。また自分の青春を捧げてしまった、愛着ある党が今や、かつての輝きを失っていることへの寂寥とした思いも読み取れます。

これからどうすれば良いのか、自分でもよくわからないそうです。そんな状態で書かれた本です。


日本共産党は1922年結党という長い歴史のある政党です。戦後合法化されましたが、今だに、公安警察の監視対象。でも今の日本に社会主義や共産主義の実現を願っている人はどのくらいいるのでしょうか。

ソ連、東ドイツの崩壊や、中国の市場経済化、そして北朝鮮の実態を知るに付け、いくら自民党や民主党が気に入らなくても、資本主義を捨てるという選択肢はあるのでしょうか。共産党の支持低迷は覆い隠すことはできませんね。

共産党は、これまで立派な告発をした実績があります。食肉業者のハンナンの不正を指摘しましたし(『食肉の帝王』)、何と言っても、北朝鮮の拉致疑惑を、荻原遼氏は執念の著作『北朝鮮に消えた友と私の物語』で、いち早く訴えました。(感動的な一冊ですでお薦めです)

ところが、はたから見れば、萩原氏は共産党のヒーローなのに、その英雄を、党を批判したとして、除名してしまいました。ここらあたりがやはり…。

共産主義や社会主義の世界はみな平等だといいながら、権力者だけはみな強権を持っていますね。まるで宗教団体のように、トップは神様扱いですから、批判は許されない。筆坂氏はナンバー4だったそうですが、本書を読む限り、結局はナンバー1しかいないんだなとわかります。


先日ご紹介した、『日経新聞の黒い霧(大塚将司)』でも、経営者の批判をすることが許されないゆえの組織の腐敗です。政党であれ、株式会社であれ、宗教団体、カルトはもちろん、そういう形になると、必ずどこかで亀裂が生じます。

まして、共産党は資金面でも苦しいと書いてあります。詳しいデータが載っているわけではないので、どの程度の信憑性があるかわかりませんが、地方議員は離党したがっているとか、政党助成金を拒否しているため、職員の給与の遅配があるなどと指摘しています。

共産党のHPや新聞『赤旗』では、筆坂氏の指摘に強く抗議しているそうですが、党勢拡大を果たすのは、相当厳しそうだという印象を持ちました。


http://tokkun.net/jump.htm
 


日本共産党

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『官僚病の起源』 岸田秀

2006年10月21日 | 政治・経済・外交
 

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税金の無駄使い、公務員や政治家の不祥事が後を絶ちません。それはいじめがなくならないとか、談合がなくならない、選挙違反がなくならないのと同じように、日本人社会の性のようなものかもしれない。そんな問題意識で本書を読みました。

岸田氏の著作は、以前に 『一神教VS多神教』 という、宗教を扱ったものを取り上げましたが、岸田氏は精神分析が本職だそうです。本書では、専門の精神分析の手法で、国家の行動とか、特性や、その歴史を説明しようというのです。


日本では、特に権力者や官僚は、清潔で有能だという共同幻想を昔から持っていると言います。なるほど、水戸黄門や遠山の金さんなども、結構好きでした(笑)。あんな人物は昔からいないのに、それをいるのではないかという幻想にかかっているために、それに甘えた官僚の不祥事が続くのだという指摘です。

太平洋戦争で陸軍(官僚)は国のためだと言いながら、陸軍という自閉的組織のために動いたし、エイズ被害を引き起こした厚生省や、外務省の裏金問題、旧大蔵省の接待漬け事件など、どれをとっても問題の根っこは、自分の組織だけを守るという、同じ原因だということです。

いじめを苦に自殺した生徒に対する、校長、教育委員会の態度も全くそのとおりですよね。“先生は立派だ”という共同幻想を日本人は持っていて、教員はそれに甘えているのでしょうか。


さて、小さな自閉的組織(共同体)が、その利益のために、より大きな組織を犠牲にしたり、欺いたりするという事例はどこにでもありそうです。派閥があって党がないとか、省あって国なしの縦割り行政で国の財政を脅かすなど、枚挙に暇がありません。

なるほど、ここまでは分かります。

“縦割り”、“たこつぼ型組織”、“縄張り争い” の弊害は、多くの評論家などが指摘してきたことでもあります。ではなぜ日本人は組織の下部に自閉的組織を作るのか、これが本書の主題です。


国全体が自閉的になれば、それは鎖国をしているということになる訳ですが、その下部組織に至るまで、自閉的組織を好む理由をさぐるために、日本の建国にまでさかのぼって、そこで培われた日本人のメンタリティーを分析するのです。

筆者によれば、日本という国は、強大な唐に対抗するために、そもそも割拠していた自閉的小集団(豪族)をまとめる必要に迫られてできた。その中で一番、無難な存在が、天皇のはじまりであり、昔から、天皇は武力で地方を統一するような存在ではなく、その成り立ちから象徴的なものであったと考えます。

各集団は、自閉的なまま、つまり思想、文化を統一しないまま、より大きな組織を作るという特性があるというわけです。 平たく言えば、仲間だけで仲良くやっていたいのに、事情があって外界と付き合う必要のために、大きな器を作ったということですか。

他国の場合は、常にある集団が別の集団を虐殺したり、吸収したりしながら、一つのまとまりへ進む経緯で、国家が統一されて行きますが、それとは対照的だと指摘します。

特にアメリカなどは、先住民を大虐殺し、それを文明の名の下に正当化するという欺瞞で建国した歴史があるために、その後も、ベトナムや日本、今はイラクでしょうか、他民族を虐殺するということを繰り返さざるを得ない(反復強迫)。

だから原爆投下を絶対に謝ることができない。謝るということは建国以来の米国の歴史のあやまちを認めることになるというわけです。(すごいですね。どうですか?この分析)

フランスは、自由、平等、博愛などと言ってはいても、歴史を見れば、フランス人ほど、自らのリーダーにナポレオンドゴールなど強い独裁者を好み、育ててきた国はないと指摘します。共和制はいつも短い期間しか続かない。だからこそ、シラクは世界中が敵になろうとも、それに屈して 核実験をやめる訳にはいかないと。


アメリカのモンロー主義(孤立主義)は大陸への他国の介入を許さないという現実的な権力主義の現われで、中国は常に、中華思想、すなわち他民族はすべて朝貢する、東夷西戎北狄南蛮といって、すべて蛮人であるという、自民族優越主義だと、“精神分析”するわけです。



実に、新鮮な指摘で大変おもしろく読みました。まだまだ続きが読みたいと思います。ただ、まだ個人と国家の行動が、完全に同じ精神分析で説明してしまっていいのだろうか。う~ん、どう思われますか?日本は近代以降特に、精神分裂状態なんだそうですよ。

じゃあどうしよう??? ここまで言っちゃうと絶望的、身もふたもないじゃないか。だって悪いことした役人に、『まぁ日本人だからな』とも言えないし(笑)。そういう一冊でした。精神分析に興味のある方にお薦めします。怒り出す人もいるかもしれません。



http://tokkun.net/jump.htm 


官僚病の起源

新書館

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『官僚病の起源』岸田秀
新書館:239P:1325円



P.S.
 どれほど本書が “みもふたもない” のか表す好例が、日本人の英語に対する記述です。外的自己と内的自己が分裂しているとしています。引用します。

日本人がどれほど勉強しても英会話が下手なのは、能力が不足しているためでも、教授法がまずいためでもなく、本心は英語なんかしゃべりたくないからである

く~、ここまで言い切るか。誰か、なんか言ってやって下さい(笑)。



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公立高校入試に出題される本・作家ランキング

2006年10月20日 | 高校受験【情報など】



 ■■■■■ 公立高校入試に出題される本・作家ランキング ■■■■■


今月の、当教室のメルマガでご紹介したものですが、役立ちそうですから、こちらでもご紹介しておきます。

公立の高校入試には誰の、どんな本が出されるのかを調べてみました。データは2001年から2006年まで、可能な限り集めました。ただし、すべてを正確に把握することが難しいので、あくまで目安として下さい。

(古典は省いてあります。吉田兼好や清少納言が頻出であることは申し上げるまでもありませんね)


注目していただきたいのは、公立高校の出題出展は、私立中学の出題出展と重なることがとても多い という点です。ですから、私立中学受験を目指している方も、ぜひ参考にして下さい。


ではさっそく、もっとも多く出された出典『本』ベスト5から!


【順位】【出題数】【書名】・・・・・・・・・(著者)

【第5位】・【4題】・・【ニライカナイの空で】・・(上野哲也)
【第5位】・【4題】・・【バッテリー】・・・・・・・・・(あさのあつこ)
【第3位】・【5題】・・【この言葉!】・・・・・・・・(森本哲郎)
【第3位】・【5題】・・【峰雲へ】・・・・・・・・・・・・(阿部夏丸)
【第2位】・【6題】・・【自転車少年記】・・・・・・(竹内真)
【第1位】・【7題】・・【読書力】・・・・・・・・・・・・(齋藤孝)


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当教室のメルマガでも、紹介されたものがたくさん入っていました。3題出題されたというのが、実は数多くあって、ずらっと書名だけ紹介しますと…、

『皐月』 『海峡』 『たはれ草』 『本当の自分のつくり方』 『人類がたどってきた道』 『背中』 『西洋の眼 日本の眼』 『学びの場はどこにあるのか』 『鯉のいた日』 『小さな町の風景』 『さくら』 『国語の時間』 『楽隊のうさぎ』 『夏の庭』 『自由論』 『脳と創造性』 『いちばん大事なこと』 です。


詳しく知りたい人は、問い合わせて下さい。



さて、次は、誰の作品が一番出されているかという、【作家】ランキングベスト10です。


【順位】【出題数】【著者】・・・・(主な出題作品)

【第8位】・【8題】・・【鷲田清一】・・・・(まなざしの記憶)
【第8位】・【8題】・・【上野哲也】・・・・(ニライカナイの空で)
【第8位】・【8題】・・【阿部夏丸】・・・・(峰雲へ)
【第5位】・【9題】・・【外山滋比古】・・(思考の整理学)
【第5位】・【9題】・・【重松清】・・・・・・(卒業ホームラン)
【第5位】・【9題】・・【内山節】・・・・・・(自由論)
【第4位】【10題】・【竹西寛子】・・・・・(国語の時間)

【第3位】【12題】・【森本哲郎】・・・・(この言葉!)

【第1位】【13題】・【齋藤孝】・・・・・・(読書力)

【第1位】【13題】・【伊集院静】・・・・(皐月/海峡)



いかがでしょう。読んだことのある本はありますか。並べてみるとかなりバラエティーに富んだ印象を受けますね。何か読むものに迷った時、ぜひ参考にしたら良いと思います。




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『信さん』 辻内智貴

2006年10月20日 | 小説


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つい先ほどのNHKのラジオニュースでは、法務大臣が、いじめによる生徒の自殺を受けて、人権保護の観点から、来週一週間程度を特別に電話相談などの時間を延長した、いじめ対策強化週間のように指定するそうです。(すみません、まだネットで検索しても出てこないので、不正確な表現です)

詳しい内容はわかりませんが、つまりはキャンペーンのようなものだと思います。たとえ一時的であっても、また直接電話をかけなくても、この関心の高い時に、さらにこの問題に焦点を当てる効果はあるでしょう。


このところの飲酒運転撲滅運動はマスコミを巻き込み、かなり大掛かりで、相当な成果を上げたと聞きます。いじめ問題にしても、いじめをしている子どもの中には、悪いことだという自覚にかけたまま、加わっている人もかなりいると思いますので、それが犯罪行為だと知らせる良い機会ではないでしょうか。

親や学校の先生が、自分の子どもや、生徒たちに話をする機会になればなぁ~と思います。これがきっかけで、たとえそれが、わざわざ電話相談をするほどでもない、小さないじめであっても、子どもがそれに気付き、いじめがなくなれば、生徒は救われます。


という訳で、そのニュースを聞きましたので、予定を変更し、小学生でも読める、いじめを扱った良書をご紹介しましょう。麻布中学入試の国語でも出題された一冊です。

本書には、表題の『信さん』と『遥い町』という2作品が収められていますが、どちらも印象深い物語です。


『信さん』の方のストーリーを紹介しちゃいましょう。

場面は福岡の炭鉱の町。すでに結婚し子供もいる“私”が、仕事ついでに、ふと一人で、帰郷し、母親と世間話をしながら、小学生時代を振り返ります。

“信さん”は、“私”の二歳上、子どものいない親戚の家に養子にもらわれてきたのですが、その後、妹が生まれます。何となくその家族から、疎まれる存在になった信さんは、荒れ、街で知らないものがいないほどのワルになってしまいます。

ある日、私が、他の学校の生徒たちにいじめられているところに偶然、信さんがいて、助けてくれます。その折、近くを通った巡査が勘違いし、信さんを叱りますが、私とその母親は、警官に事実を訴えます。

それがきっかけとなり、信さんは、私と母親には、素直に心を開くようになっていきます。 やがて時が経ち、養父が亡くなってしまったため、信さんも最愛の妹を進学させるために稼ぐのだといって、まじめに仕事に打ち込みます。

そして、より条件の良い仕事を求めて故郷を離れる決意をした信さんの運命は…、という話です。


もう一作、『遥い町』では、“私”とは仲が良いものの、いつもいじめられてしまう朝鮮人の友だち、ヨンくんとの物語です。こちらは、ストーリーは書きませんが、やはり最後が印象深く、きっとお子さんの心に残ると思います。


どちらの話も、とても切ないのですが、出てくる人物が、みな精一杯生きており、感覚的には、『東京タワー(リリー・フランキー)』で描かれていた故郷とだぶります。

大人たちが生きていくことになりふり構っていられない厳しい経済状況のなか、多感な子どもたちが、成長したのち、自分や他人の人生を振り返るという点では同じですね。

短くて、すらすら読めるような文なのですが、子どもたちに何か考えさせるのではないか、そんな作品ですから、多くの方にお薦めしたい一冊です。


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『信さん』 辻内智貴
小学館:112P:1155円



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『日経新聞の黒い霧』 大塚将司

2006年10月19日 | ノンフィクション

 

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日本経済新聞といえば、創立130年の老舗という歴史だけでなく、その記事内容次第で、上場企業の株価やマーケット全体を大きく変動させてしまう影響力がありますね。経済に関心がある人、ビジネスマン、あるいは就職活動をしている大学生の愛読紙です。

最近では、昭和天皇に関する、いわゆる“富田メモ” のスクープで、注目を集めましたが、それ以前の大スクープといえば、東京銀行と三菱銀行の合併のニュースです。

日本の経済界だけでなく、世界にも衝撃を与えましたが、本書の著者こそ、そのスクープをものにし、新聞協会賞を受賞したご本人です。

その日本経済新聞社の誇る、花形記者が、日経新聞社内で子会社の不正経理があったことを隠しているのではないかとして、自分の会社の経営陣との戦いを決意したのですから、おだやかでありません。というより、そこらの経済小説をしのぐ、緊迫した現実です。


当時の社長による経営の公私混同や、イトマン事件コスモ信組事件TCW事件などで、自社に有利な社説や誘導記事に憤り、最後は株主総会で、社長引退の提案をたたきつけ、社の幹部全員に自分の提案に賛同するように求めるメールを送るなどして、【エース記者VS大新聞社】 という、前代未聞の戦いを描いたドキュメンタリーです。

これが実に臨場感あふれる、抜群におもしろい一冊になっています。


とにかく、スクープを狙う手法で、自分の会社の社長を追い詰めていくのですが、何と言っても相手は超大物。社内のどこから情報が漏れるかわからないし、仲間であっても計画を明かせば、そこは、サラリーマン記者、みな尻込みすることは目に見えています。

失敗すれば、ジャーナリストとして抹殺されかねません。 それでもやる、と決意する段階から、実行に移し、決着をつけるまで、信頼できる友人や仕事上の人脈を綱渡りでたどりながら、時には自分で、現場に足を運んで確認するなど、まるで上質の探偵小説です。途中でやめられずに一気に読んでしまいました。


小説ならまだしも、実際に日本の経済界に大きな影響力をもった、メディア内のできごとですから、臨場感が違います。何と大胆にも、ほとんどが実名で登場しますので、日経をしっかり読んでいる方なら、なじみの記者の名も見つかるでしょう。


また、単に緊迫感や高揚感で読めるだけでなく、新聞が作られるしくみや、記者の活動様式など、いろいろ知ることができて有益でもあります。

本書同様に衝撃的だった 『日本がアルゼンチンタンゴを踊る日』 を書いた、ベンジャミン・フルフォード氏も、日経新聞の記者時代“住専とヤクザ”について書こうとしたところ、上層部からもう書くなと言われたと述べていますが、そのつながりも理解できました。


常に、政権を批判し、世論形成をし、世の中をリードする立場の新聞社ですが、自らの業界が一番古いということに気が付く記者は、実は少ないかもしれません。仮に気付いても、ジャーナリストの使命感に燃えて、首をかけて上司に訴えるという行為に及ぶには、想像を絶するリスクが伴い、人並みはずれたエネルギーが必要です。

それを成し遂げた、大塚氏の戦いの様子、関心のある方は、ぜひお読み下さい。すばらしいと思います。 



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『日経新聞の黒い霧』大塚将司
講談社:351P:1890円


P.S. 大塚氏の『スクープ』 という新書を以前ご紹介させていただきました。そちらも、新聞記者の活動がよくわかる、非常に興味深い一冊です。記事をご覧いただければ幸いです。

日経新聞の黒い霧

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記事一覧・アップデート

2006年10月18日 | 一覧 【LIST】

  

いよいよ10月も後半です。

【読書の秋!】 です。うちの塾 の生徒に対して、受験生には 『入試はすぐそこ、勉強しようぜ!』 と言いつつ、それ以外の生徒には 『読書の秋、本読め!』 と言っておりますが、私の場合、“ブログの秋” を迎えております!? 本を読むより、記事を書いている時間の方が、長いんじゃないかなぁ~と(笑)。

まぁ、つたないご紹介でも、読んでいただけるご父母や生徒がいて、参考になったとおっしゃっていただける方々がいる間は、それも良いかと思っております。


という訳で、よせば良いのに、あちらこちらで、“おもしろそう、読みます!” とコメントし、それは全部購入しておるのですが、見たら、字が小さい上に、500ページ!となりますと、ひるんでついつい厚い本が後回しに(笑)。


そこが、ブログをはじめて変わった点でしょう。かつては厚い本には、“よし!気合入れて読むぞ!”なんて、ファイトがわきましたが、最近は、“うっ!いつ記事にできるかな~”などと弱気に…。


結果、厚めの本を中心に、山積み状態。でも必ず読んで記事にしますから、気長にお待ちくださいませ。


さて、記事のLISTをアップデートしました。すっかり失念して、大幅に遅れてしまいました。よろしければご覧下さい。

以前も申しましたが、WEB上のエクセルですので、普通のものと機能がやや異なるそうです。コピーアンドペーストで、自分のエクセルに落とせば良いのだそうです。


■■■  本を読もう!!VIVA読書!LIST 【記事一覧  ■■■



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ブログ村の、【本ブログ】 では、ずっと長い間、1位を取らせていただきましたし、【人気ブログランキング】 では、2位まで押し上げていただきました。本当にありがとうございます。心より感謝しております。

いつも、あるいは、たまにでもコメント下さる方、またコメントせずとも、記事を継続的に読んでいただいている方、ありがとうございます。


入試が近付いておりまして、今後どうなるか不確定ですが、しばらくは続けられそうですので、これからもよろしくお願い申し上げます。
 

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『オレ様化する子どもたち』 諏訪哲二

2006年10月18日 | 教育関連書籍


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“いじめによる自殺” に関して、学校側、教育行政の対応に批判が集中しています。確かに 『ナイフ(重松清)』 のところで触れたように、重度の機能不全におちいっている印象を私も持っていますから、大いに問題点を議論し、改善すべきだと思います。

ただし、それでも問題の一部を取り出したに過ぎません。そもそも、いじめる子、ある意味、暴行や恐喝という犯罪行為をし、他人を死に追い詰めてしまう子どもの問題は、何も分析、解決されません。

どんな生徒たちだったのか、私の知る限り、ほとんど報道もありません。


今日、取り上げるのは、現代の子どもに何が起こっているのかを掘り下げた、非常に優れた、名著とも呼べる一冊ではないかと思っています。

本書の大前提は、“子ども”という存在を、無垢のものとして神聖視したり、イデオロギーで語ったりするのをいったんやめて、何が起こっているのか分析しようというものです。

何よりも子どもというのは、学校ではなく、社会全体の思想や流れに、最も敏感に影響を受け、したがって社会を、もっともストレートに映し出しているのだからということです。 その通りだと思います。


80年代のいじめ、校内暴力、その頃から子どもが変わったと指摘され、何かあるたびに、子どもではなく、教師、学校、社会批判がなされました。しかし、いまだに世間が、『子どもがわからない』状態が続いていると指摘します。いったい子どもに何が起こっているのか。

筆者は、現代を、社会の隅々まで、生まれてから、どうやって死ぬかまで、お金とそれにまつわる情報があふれている時代だと見ます。すでに子どもたちは経済的には独自の判断をする、『消費の主体』となっています。 ところが消費では主体であっても、学習や労働の場では、主体ではありません。


“タバコを吸ってはいけない”というのは、消費の観点から見ると、自分のお金で買って、自分の部屋で吸っているならば、教師が出るマクはないというわけです。

さらに、授業中に『しゃべってはいけない』という注意に対し、『しゃべってねえよ、オカマ!』 と先生に言い返す生徒。現場を押さえられているにもかかわらず、『喫煙していない、カンニングをしていない』と言い張る生徒。これらをどう理解すればよいのでしょう。

すべて彼らが主張しているのは、市場経済でいう“等価交換”だというのです。つまり、自分の行為と処罰や人前で叱られるというマイナス行為が、つりあわないと感じて、怒ってしまう。経済的に常に“等価”という考え方が、学校という、本来、ひどくそれが釣り合わない場所に持ち込まれた現象だと分析します。

過度の平等主義から、“教師も生徒も同等の一人の人間”、などというイデオロギーも、こうした現象を後押ししているかもしれませんね。


子どもは『自分を変えよう』としなくなった、子どもには完成した自分がすでにあり、一人の個である教師に、一人の個として拮抗しようとすることが教師をあわてさせているとします。

確かに、消費ということに関しては、高校生くらいなら、大人顔負けの主体として、何でも判断できるでしょうが、教育の場面ではそうはいきません。そこを子どもにわきまえさせる、親の教養や、洞察力があるかないかで、子どもの将来に大きく影響を及ぼすという指摘です。そうなると、格差社会へつながりまでも見えてきます。


さらに、後半はメディアで盛んに発言が取り上げられる、宮台真司、和田秀樹、上野千鶴子、尾木直樹、村上龍、水谷修の各氏の教育観を論評します。長くなりますので、紹介しませんが、その分析や問題提起にもうならされます。

強く推薦したい一冊です。



http://tokkun.net/jump.htm
 


P.S.
 当教室のある、横浜市都筑区というのは、ある経済紙に、日本で唯一“塾のダンピングが起こっている!”と書かれたことがあります。それで余計にそうかもしれませんが、何が安い、高いということを親ごさんも生徒もよく話題にします。

中には『先生、その先生の食べている弁当ね、○○で、△△時以降に買うと、50円安いよ』などと教えてくれる、超親切な子まで(笑)。 それに関する子どもの判断は常に的確なんですわ、これが。


オレ様化する子どもたち

中央公論新社

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『オレ様化する子どもたち』諏訪哲二
中公新書クラレ:238P:777円


『ナイフ』 重松清

2006年10月17日 | 小説


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いじめによる自殺が相次いで報道されました。20年ほど前になるでしょうか、『お葬式ごっこ』 をさせられ、「『生きジゴク』になっちゃうよ」という遺書を残してある生徒が自殺に追い込まれました。ご記憶でしょうか。

その時になんと、4人の教師も、その色紙に「追悼の言葉」を寄せ書きしていたという信じがたい事件でした。その4人は今どうなったのでしょうか。ご存知の方いらっしゃいますか。


今回の事件も、私にとってショッキングだったのは、自殺そのもの以上に、教師が主導していたことと、校長らの、なんとしても“いじめによる自殺” ということを否定したいという、あの対応振りです。

滝川市の女の子の自殺事件も同じですね。あの遺書は、どこからどう読んでも、いじめによる自殺ですが、教育委員会はどうしてもそれを認めたくないという態度です。

ここ数年、いじめによる自殺はゼロだと文部科学省は発表していて、それに沿った処理をしたいという教育委員会や学校の意向が透けて見えます。いったい彼らはどちらを向いて教育を考えているのでしょうか。


また昨年でしょうか、公立小中学校の校長先生の年金が、官僚のトップである国の事務次官よりも高いという報道が話題になりました。

ただでさえ、優秀な人材を確保するという名目で、教員の給与は他の公務員より高く設定されていますが、何万人もいる、一校長先生が、数十人しかいない国全体を背負うエリート中のエリートである次官以上の年金というのはどうなのかという声が上がりました。

はたから見れば、学校の先生は組合を作って、権力者に対抗するどころか、すでに自らが特権階級のようです。『学校が自由になる日』の中で、千葉県では教職員の6割近くがすでに世襲のような2世教師ばかりだと指摘がありました。つまり教師という身分が、既得権益化しているという意見です。


確かに、今回の自殺のあとの対応振りは、テレビを見ている限り、教育委員会や校長は、反省し、死を悼むどころか、自分たちの組織のメンツやしくみを維持したいとした行動であると映りました。

世間一般の常識から、かなり浮き上がってしまった、特権階級特有の振る舞い、官僚の国会答弁のようでした。許せない。


さて、本書で扱っているのも、いじめ問題です。表題作の『ナイフ』では、自分の子どもを守る、いじめた連中に報復しようと、父親がナイフをしのばせているところから、このタイトルが付いています。

それを、はじめとして、いじめを題材にした短編集ですが、大人から見たいじめの世界と、子供たちから見た世界のギャップが、描かれています。読んでいますと、いじめる生徒に対して、憤りを、そして現実社会のやるせなさを感じます。

親の立場、子の立場それぞれの思い、感じ方など、とても細やかに描写されており、私も塾講師として、毎日子どもに接しておりますし、それなりの“良くない情報”も集まりますが、正直、私の知らない世界を垣間見た気がしました。

ただ、いじめの問題自体を扱うというより、そういう事件を通じて、家族のあり方、親子関係などを題材にした一冊です。正直読んでいて、えげつないなという場面もありますし、解決策が見つかるわけでもありません。もう少し先生も登場させて欲しかったですね。


確かに、いじめは犯罪であり、卑劣で唾棄すべき行為ですが、なくそうというのは非常に難しいでしょう。本書に解決策が描かれないのもうなずけます。いじめをゼロにするなどというから、隠そうとするやからが出てきます。

それよりも、問題が起こっている場合に、学校や教育委員会が隠すことができないしくみを作ること、今回のようなひどい教員を早く見つけ出す制度を作ることが大切だと思います。



P.S. 今日は事件の衝撃が大きく、書評というより、コラムのようになってしまいました。すいません。中学受験にもよく出題される作家ですので、ぜひお読み下さい。



 
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『ナイフ』 重松清
新潮社:403P:620円

ナイフ

新潮社

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『アメリカの戦争の仕方』 Jr.ハリー・G.・サマーズ

2006年10月16日 | 外国関連


Amerika 戦争の仕方.gif


少し前であれば、大ニュースになるできごとでしょうが、テレビで自民党の幹部が『日本も核武装する可能性を検討する』 というような旨の発言を平然としていました。正直、防衛庁などが極秘に検討をするくらいだと思っていた私には、結構ショッキングでした。

もちろんそんなことが、マスコミで言え、それが大ニュースにならない環境にしたのは、北朝鮮の核実験ですね。隔世の感を禁じ得ません。国民の生命と財産を守るという、政府にとっては、風雲急を告げる状況なんでしょう。確かにありとあらゆる可能性に検討を加えてもらわなければなりません。


一方で、沖縄の嘉手納基地に配備する最新鋭の地対空誘導弾パトリオットミサイルの配備に反対する市民団体メンバーが座り込みをし、米兵や港湾作業員が車で入るのを阻止したと報道されました。これにも驚きました。意図がいまだにつかめません。


以前、『日本の戦争力(小川和久)』 などでも触れたように、とにかくアメリカ抜きでは、日本の防衛ができないのが現状ですが、そのアメリカの軍事的思想などを紹介した一冊です。

本書はアメリカ軍の教授が書いたアメリカの戦略をまとめたやや専門的な内容です。アフガニスタン空爆や、イラク戦争(2002年)当時に出版されたもので、筆者自身が1999年に亡くなっています。 つまり、9.11テロが起こる前に書かれているのは承知しておいた方が良さそうです。

さらに、その後のイランや北朝鮮問題、さらに米軍再編などがいわれましたので、現在は修正されているかもしれませんね。ただしパウエル元国務長官は、発売当初「現代アメリカ人必読の書」といったそうです。彼も軍人でしたね。


当時のアメリカ軍が目指す装備というのは一度に二ヶ所で地域紛争を十分戦えるというものだそうです(本書では不可能であると指摘していますが)。冷戦後に次々現れた国際社会の紛争、混乱は、ソ連崩壊によって、核戦争の可能性がほぼなくなったことに起因していると主張します。

独立戦争から現代まで、アメリカの戦争に対する考え方、世界戦略などを解説しています。 目次を紹介しておきましょう。


第1章 軍と国民の特殊な関係
第2章 アメリカの戦争の仕方
第3章 新しい世界の混乱
第4章 戦闘のさまざまな側面
第5章 戦闘のドクトリン
第6章 戦闘部隊の組み換え
第7章 戦闘の技術と作戦
第8章 アメリカ軍事政策の“十戒”

最後の十戒ですが、これがアメリカの戦闘の哲学といえるようなもので、こちらもご紹介しますと

1.“三位一体”の戦争を忘れるな
2.核による戦争抑止力を強めよ
3.海外の核防壁を維持せよ
4.通常兵器こそがカギである
5.敵をおびえさせよ
6.自国の力を錯覚するな
7.技術の罠に陥るな
8.軍隊は平和維持活動地域の周辺を固めよ
9.軍事政策の方向性を設定せよ
10.何よりも、戦闘拡大能力の優位性を維持せよ

以上です。


北朝鮮のおかげで、日本人は、緊迫感を持って、軍事や平和のことを考えるようになった気がします。それ自体は良いことだと思うのですが、ソフトランディングできるかどうか、政治家はここ最近では、非常に重い使命を背負っているわけですね。



http://tokkun.net/jump.htm
 

アメリカの戦争の仕方

講談社

詳   細





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『おやすみなさい フランシス』 ラッセル・ホーバン(ぶん) ガース・ウイリアムズ(え)

2006年10月15日 | 絵本
 

 

oyasumi-hurannsisu.jpg


私の絵本のおっしょうさんの一人(笑)、『ふたりdeぶろぐ』 のカヲルさんからご紹介していただきました。

あなぐまのおとうさん、おかあさんと、ちびっ子のフランシスの3人(匹)家族です。一人で眠れないフランシスが、やっと寝るまでを描いた絵本ですが、子ども、つまりフランシスの様子がなんとも子どもらしく、いとおしくなるほどうまく描かれています。


欧米では、子どもは小さいころから一人で寝かせますね。フランシスも“おやすみなさい”と言って、自分の部屋のベッドに入りますが、なかなか眠れません。

ひとり言をいっているうちに、“何かがいる” とか、“音がする” とか、あれこれ言っては、起きあがって、部屋から出てきます。 おとうさん、おかあさんも最初はやさしく、さとしていますが…。


我が家にも、ちびっ子がひとりおりますので、これも、親としては、“わかる、わかる、その気持ち(笑)”


何気ない、ごく平凡な家庭の一晩を表現しただけの作品ですが、こんな心温まる物語にしてしまうのがすごいです。子どもの成長や、家族の愛情を、ほんのわずかな緊張感を漂わせながら読者に伝えてします。秀逸な絵本だと思います。

1966年に出されたロングセラー。それがうなずける作品です。


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おやすみなさいフランシス

福音館書店

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『おやすみなさい フランシス』ラッセル・ホーバン(ぶん) ガース・ウイリアムズ(え) まつおかきょうこ(やく)
福音館書店:32P:1050円



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やっぱり、絵本いいですね。これからも時々、取り上げたいと思います。最後までお読みいただいてありがとうございます。少しでも参考になりましたら、応援のクリックをいただけるとうれしいです。

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『スヌーピーの処世哲学』 廣淵升彦

2006年10月14日 | 教養


Snoopy.jpg


こちらのブログに時々コメントを下さる、国際ジャーナリストでエッセイストの廣淵升彦先生。先生の、大変ユニークで、おもしろい、好奇心を刺激する新刊が出版されました。本書です。

副題は、『感性をみがく言葉の力』 とあり、本の帯には 『スヌーピーたちに学ぶユーモア、人情の機微、会話術』 と書いてありますが、まさにその通りの一冊です。


まず、スヌーピーが登場するマンガ 「ピーナッツ」 や、その登場人物の簡単な紹介があります。なんと、「ピーナッツ」は50年!も続いているんです。“サザエさん”と互角です。

そして、サザエさんに、日本的な風景や社会、日常が描かれているように、ピーナッツにはアメリカ的なものが、ぎっしり詰まっているわけです。しかもそれがアメリカにとどまらず、世界中の人の心をとらえてはなさない。


個人主義が発達し、生存競争が激しく、自分をアピールしなければならないアメリカ社会。サザエさんの穏やかさとは対照的ですが、そこで生まれ育ったピーナッツは、よ~く観察してみると、教養豊かな会話や知的ユーモアの宝庫、毒も笑いもあって、“処世哲学”がふんだんにちりばめられているので、それを学んでしまおうというわけです。


本書で紹介される「ピーナッツ」は、4コマ程度が中心ですので、サザエさん以上に、より象徴的に、凝縮した形で、表現されています。お見せした方が早いと思いますので…、こんな感じです。

Snoopy 中.JPG


見にくくて恐縮ですが、例えば、このマンガ、ある出来事がきっかけで、女の子(サリー)が男の子(ライナス)にさんざんの悪態をつき、

どこで会っても、絶対に口をきかない” といって去りますが、最後に男の子が

 もしもボクがライ麦畑を通ってきたらどうする

How about if I were coming through the rye?” と呼びかけています。


なぜこれが、オチになるのか、すんなり分かれば良いのですが、白状しますが、私も本書で学んだ次第です。こういった文化的背景や、英語に関する解説が、マンガに続きます。ピーナッツで使われる英語自体も、妙な副詞や修辞句を用いることのない、しっかりした英文なのですね。“しょせんマンガ” とあなどってはいけません。


廣淵先生はご自分のブログ “ View of the World - Masuhiko Hirobuchi ” でも、本書でも、正しい言葉、生き生きとしたやりとり、そして気の効いたユーモア(できれば高い教養)などを強調されます。


今の日本の言語空間が非常に安易な、単一の言葉で、さまざまな事象を解説し、片付けられてしまっている現実に警鐘を鳴らします。

言葉は、本人が気付く以上に、自分の評価を上げたり、下げたりし、意思伝達の手段であると同時に、思考の源でもある。そこが貧困になれば、個人の思考も、そしてやがては、社会や国家まで貧困な精神が蝕んでしまう。そのことに意識を向けて欲しい、そんな願いを感じる一冊です。


“哲学” とは言っても平明な言葉で解説してありますので、国際人と呼ばれることをめざす夢多き若者から、我々のような英語教師はもちろん、中学生まで興味を持って読めると思います。

純粋にマンガを楽しむのだって“アリ” (あっ、怒られる、もとい“No problem”?)だと思いますよ(笑)。


尚、廣淵先生の作品がおさめられた、別の一冊、日本エッセイスト・クラブが出した 『片手の音 ’05版ベスト・エッセイ集』 も、以前ご紹介しましたので、ご覧いただければ幸いです。





P.S. 
自分の無教養をさらしてしまいますが、実は、私はスヌーピーというキャラクターは見慣れておりますが、それがそもそも「ピーナッツ」から生まれたということすら知りませんでしたので、本来、レビューを書く資格すらあやしいのです。先生、すみません。

でも、まぁ勇気を振り絞って(笑)、書きました。安直な言葉の汚染の片棒を担いでいる身にとっては、耳の痛い話で、本記事が、先生のご著書を汚すことのないことを祈りつつ。


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スヌーピーの処世哲学

海竜社

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『スヌーピーの処世哲学』 廣淵升彦
海竜社:230P:1575円


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↑で、サザエさんを例に出しましたが、そういえば、以前、『 バカモン!波平、ニッポンを叱る(永井一郎) 』をご紹介した折に、唯一コメントをいただけたのは廣淵先生でした。偶然でしょうかね?

それを思い出して、2位とも離されましたし(笑)、記念にこんなバナーを作ってみました。

ややヤケクソ気味でございます(あっ、また怒られる)。よろしければ、応援の1クリックをしていただけると、大変うれしいです。

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『 セ耳 』 松澤喜好

2006年10月13日 | 英語リスニング

Semimi.jpg



さぁ、平成19年度、大学入試センター試験まで、あと99となりました。つまりケタ、ここからはいよいよ カウントダウン!です。入試までの勉強計画、最後の練り直しです。受験生諸君、がんばろう!

さて、こんな時期から、新しい参考書を探すなら、的を絞ったものでなければなりません。 『英語耳』 が新鮮で良い内容でしたので、期待して本書を購入しました。

妙な書名ですが、“セ”はセンター試験。副題には、『発音でセンター試験英語のリスニングを攻略する』 となっています。つまり、好評の『英語耳』のメソッドで、センター試験を攻略しようという意図です。


ところが、結論を言ってしまいますと、『英語耳』 とほとんど同じ内容でがっかりです。『英語耳』を購入済みの方は、本書は必要ありません。発音記号の説明から、例文まで同じものがありましたから。(少々ムッとしております。 ちょっと売れるとすぐこれだ)

では、『英語耳』 を持っていない人はどうなのか。 センター試験対策は、本書で大丈夫かと、問われれば、残念ながらそれも、答えは “ No!”です。というのは、著者が、どれほどセンター試験に関して分析をしているのか、ちょっと疑問に思うからです。


まず、スピーキングを徹底的に重視して、それがリスニングにいきるという、独自のメソッドですから、slow な英文から発音練習するのは良いとしても、最後に、センター試験の模擬試験が2題付いていますが、こちらまで、センター試験よりスピードが遅いのです。

私には、このスピードは、英検3~準2級レベルだと感じられたのですが、これで対策を立てたのでは、本番で面食らってしまいます。練習例文ならともかく、実戦問題と呼んでいる以上は、本番と同じにしてもらわなければ、自分の実力を誤って判断してしまいます。

また、問題自体も、オリジナルでしょうが、センター試験より英文の内容が薄いというか、易しいと思いますし、選択肢にも工夫が感じられません。

さらに解答の解説も、とても筆者本人が書いているとは思えないほど淡白な印象で、読んでも、ほとんどリスニング力アップには役立たないと思います。

このシリーズにはさらに、『闘耳』(TOEIC対策)が出ています。アマゾンでは評価が高いようですが、とても買う勇気はありません(笑)。


ありがたいことに、私のブログを見て、『英語耳』を買った。良かったと言ってくれた人がいました。そうすると私のように、本書の購入を検討している人がいるかも知れませんが、残念ながら、こちらはとても薦められません。


キムタツ先生のテキスト はもちろん、これまでご紹介した、他のセンターリスニング対策本の方が数段優れていると思います。


生徒やご父母、または他の方でも、私のつたない文を参考になさって下さる方がおられる以上、ご紹介の責任は重大です。

本来はブログにある本は全部お薦め!としたいところですが、テキスト類は玉石混交、たまには、こうした残念な本の紹介も、ひとつの情報ですから、仕方ないですね。



P.S. 当教室 のリスニング対策講座と、TOEIC、IPテストも近付いています。講座で会いましょう!



セ耳 発音でセンター試験英語のリスニングを攻略する

ダイヤモンド社

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英語耳 発音ができるとリスニングができる

アスキー

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『セ耳』松澤喜好 
ダイヤモンド社:136P:1500円(CD1枚付き)



『遺品整理屋は見た!』 吉田太一

2006年10月12日 | ノンフィクション


Ihinnseiri.jpg


扶桑社(出版社)の、本書の担当の方から、読んでもらえないかということで、お贈りいただいた一冊です。別にこうして記事にする義務はまったくないらしいのですが、衝撃的な内容で、大いに考えさせられましたので、取り上げたいと思います。


筆者の吉田氏は、“遺品の整理” ということを生業にしていらっしゃいます。人は家族に看取られ、普通に亡くなれば、別に問題はありません。仮に遺産相続でもめたとしても、弁護士なり裁判所で、遺品に関してそれなりの結論が出ます。

問題となるのは、たとえば身寄りのない独居老人が亡くなったり、一人暮らしの人が自殺してしまったり、あるいは殺人事件で同居の家族が逮捕されてしまったりした場合です。しかも、それが賃貸の物件で起これば、それこそ、貸主(大家)は困り果ててしまいます。

実際にそういうできごとが頻発しているそうで、だからこそ、筆者の仕事が成り立つわけですね。しかしながら、その遺品整理という仕事は、引越しの後片付けとはわけが違います。整理と言っても、そこは殺人現場であったり、死後かなりの時間がたっていたりする場所です。

想像を絶する現場に日々出くわし、興奮している遺族や、逆に、かかわりたくないと冷淡な関係者を相手にしなければなりません。筆者はビジネスとはいえ、そこで故人の人生を思い、人間というものの割り切れなさを嘆かざるを得ません。

筆者が、実際に扱った46の壮絶な現場や、故人や遺品整理の状況が紹介された一冊です。


■■■■■■ ここからは、グロテスクというか、死体現場に関する内容ですので、苦手な方は、次の■■■■■■ まで飛ばして下さいね。

よくニュースなどで死体が発見されたきっかけが、“死臭” であったと報じられます。私は死臭を知りませんが、本書を読みますと、腐乱した死体の臭いというのが大問題なようです。周りの住民からは苦情の嵐、大家は途方にくれるという場面が何度も出てきます。

また、夏場だと、部屋から廊下にまで、うじ虫がわいてしまうこともあれば、部屋中がゴキブリの巣と化して、壁一面にはりついているなどという、ホラー映画まがいの話まで出てきます。

死を前に投げやりになって、動けなくなってしまったのか、いわゆるゴミ屋敷と化している状況も珍しくなく、その中で遺品を整理するわけですから、作業員は相当な覚悟が必要だと、容易に想像できます。

それが、殺人現場であっても、警察がきれいに掃除してくれるわけではありませんから、時にはまだかわいていない血がべっとりと付いたところでの作業となります。刃物で自殺をし、のたうちまわった人の場合も同様です。腐敗した死体から、体液が染み付いていたりする場所に入るなど想像を絶します。


こういった、その場での苦労に加えて、遺族とのトラブルなどに対する苦悶があります。親だとは思っていないから、さっさと片付けてくれ、と怒鳴られたり、逆に遠くはなれた一人息子の死に直面している家族たちと日々接するわけですから、強い信念がなければとても続けられる仕事ではないでしょう。

ここまで
 ■■■■■■ 


今の日本では、一人暮らしの老人の数は増える一方ですし、自殺の数も年間3万人を超えるという事態ですから、これからもこのような出来事は続くと予想されます。

すべての人が自分の死後の準備を万端整えて、旅立つわけではありません。介護付きの老人ホームはとても費用がかかると聞きます。

自殺でなくとも、死というのは突然訪れることも多いですし、事故や病気はいつ出くわすか分かったものではありません。

本当に考えたくなくても考えておかなくてはならないことというのは、人生には多いと思いますが、最大のものが自分の死後のことでしょうか。


普通なら、自分とは無関係と思いたい悲惨な事例が次々と続きますので、読みたくもない内容なのですが、筆者の、優しく、心のこもった書き方で冷静に読み進めることができました。

内容が内容だけに、他人に勧めるというのは、どういう意味?なんて聞かれると困りますが、こぎれいな街並みの中に住んでいても、人間社会には、常にこういう問題があるということ、そして筆者のような人々が必要とされていることが分かって、私には衝撃を受けると同時に、勉強になりました。

きつい本ですが、興味をもたれた人はそのつもりでお読みになったらどうでしょうか。



http://tokkun.net/jump.htm 

遺品整理屋は見た!

扶桑社

詳 細


『遺品整理屋は見た!』 吉田太一
扶桑社:222P:1260円


P.S. 扶桑社の○○様、拙ブログをお目に留めていただいただけでなく、現代社会に問題提起するような一冊を、献本いただき、ありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
                                              VIVA

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ふ~、今日は書き終わって、やっと呼吸ができた気分です。

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『本当の学力をつける本』 陰山英男

2006年10月11日 | 教育関連書籍



Hontonogakuryoku.jpg


 安倍首相が掲げた教育改革を検討する 「教育再生会議」 が設置され、そのメンバーが発表されました。座長は、ノーベル化学賞受賞者の野依良治氏。計17人の有識者と安倍首相、伊吹文部科学相、それに山谷えりこ氏らで構成するようです。

以下がそのメンバーですが、みなさんはどんな感想を持たれるでしょうか。


浅利慶太 (劇団四季代表)・ 池田守男 (資生堂相談役)=座長代理 ・ 海老名香葉子 (エッセイスト)・ 小野元之 (日本学術振興会理事長)・ 陰山英男 (立命館小副校長)・ 葛西敬之 (JR東海会長)・ 門川大作 (京都市教育長)・ 川勝平太 (国際日本文化研究センター教授)・ 小谷実可子 (日本オリンピック委員会理事)・ 小宮山宏 (東大総長)・ 品川裕香 (教育ジャーナリスト)・ 白石真澄 (東洋大教授)・ 張富士夫 (トヨタ自動車会長)・ 中嶋嶺雄 (国際教養大学長)・ 野依良治 (理化学研究所理事長)=座長・ 義家弘介 (横浜市教育委員ヤンキー先生)・ 渡辺美樹 (ワタミ社長)   【50音順】


私は知らない方もおられますし、どの程度、この会議が力を持つのか未知数ですが、かなり目立つ布陣ではないでしょうか。力を入れているんだなぁという印象は持ちますね。

この中で、ゆとり教育導入の論争時、さかんに学校の現場から、反復練習の必要性を説き、百マス計算で一躍有名になった、陰山英男先生の著書を取り上げます。

というのも最近、ある新聞で、「百マス計算のせいで、計算が嫌いになり、友だちともつきあいにくくなった」 というような批判があり、さらにそれに同調するかのような記事を目にしたからです。


そもそも百マス計算自体は、新しいアイデアでも、何でもありません。ごく普通の計算練習に遊びや、競争の意識を入れただけのものに過ぎないのですから、当時、書店に「百マス~」 が、あふれるほど並んだこと自体がおかしいと感じました。

こんなことは、授業の工夫の一つで、当教室でも、単語テストや暗記競争であれ、漢字コンクールであれ、賞状を作ったり、グラフを示したりしてしますが、これらは生徒に発奮してもらう材料過ぎませんから、うまくハマる子もいれば、やってられないとそっぽを向いてしまう子も出てきます。

その点に関して申し上げれば、宮本哲也先生の 『強育パズル』 や 『合格パズル』 にしても同様です。 すべては、教師の力次第で、クラスの雰囲気や、学習の効用などを考えながら導入すべきものです。あまりにも陰山氏の学校の進学実績や百マス計算の効果が喧伝されたために、百マスだけやれば、学力が伸びると勘違いした、教師や親が間違っています。

百マス計算のせいではなく、余計なブームを作り出したために、「自分もやらねば」「乗り遅れる」 と思った塾や、教師が、その力量もないのに、百マスという名前に頼ったのが間違え、それを当てにした親が間違えです。 こんな単純な作業を、長期に渡ってやらせ、学力を上げてしまう陰山氏の力がすごいのです。

教師は常に、教材研究を怠ってはならないのですが、すでに世の中に良い教材はあふれていることもまた事実です。どうやらせるのか、そのクラスや生徒に合わせて何を選ぶかが、教師の力量なんです。学習効果が出ないことを、教材のせいにする前に、自分でふさわしい教材を厳選しだり、作ったりすること、また、そもそも自分の指導力を疑った方が良いですね。(もちろん自省の念を含めて)


教育現場からの、陰山先生に対するやっかみもかなり含まれている感じを受けます。何年か前、急に校長になられた時、氏に批判的な教員のHPをいくつも見た記憶があります。現在の肩書きを見ますと、すでに辞めてしまっているのでしょうか。


さて、ついつい力が入ってしまって長くなりました。本書にも、ごく当たり前の教育論、家庭でできること、学校でできることが紹介されています。

これまで、ご紹介した 『親力で決まる』 の親野智t可等氏と似ている印象も持ちます。大村ハマ先生の『教師 大村はま96歳の仕事』や、森口朗氏の『授業の復権』、そして、亡くなられましたが、家本芳郎先生の『教育力を磨く』 など、きっと多くの共通した考え方を見つけられると思います。


『教育再生会議』 のメンバーのみなさん。国内の教育改革、大きく前進して欲しいと願っています。“骨抜き” などと言われないよう、官僚、教育現場としっかりわたりあって下さい。

本当の学力をつける本―学校でできること 家庭でできること

文藝春秋

詳  細


http://tokkun.net/jump.htm 


『本当の学力をつける本』 陰山英男
文藝春秋:239P:1300円

 

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★入試に出題された本・No.3★

2006年10月10日 | 受験関連書籍


今回も、当塾メルマガで紹介されました、入試に出題された本シリーズの第3回です。よろしければ、第1回第2回 の記事もご覧下さい。いろいろな先生方が書いておられます。

今回は6冊です。バラエティーに富んだものが集まりました。


■ 『寝ながら学べる構造主義  内田樹  (文藝春秋 725円)

寝ながら学べる構造主義

文藝春秋

詳  細

哲学的な文章は、中学生に留まらず高校生でも日常生活や普段の読書からかけ離れた近付き難い印象を与えるかもしれませんが、あらかじめ専門的な知識や考え方を身に付けていなければ手に負えないという訳では必ずしもなく、与えられた文章をきちんと追えるか、そのなかで考えられるかということに課題は集約されるようです。2004年度、都立新宿高校の入試問題になった本書も、何となしに用いている「ものの名前」がもつ構造を一歩踏み込んで考えてみようというものであり、決して突飛な事柄を扱ったものではありません。流行りの哲学をものにしようなどと大上段に構えることなく、気安いタイトルがついた本書は、私達の身の回りの出来事について考えるきっかけを与えてくれると言えるでしょう。



■ 『夏の庭』 湯本香樹実 (新潮文庫 420円)

夏の庭―The Friends

新潮社

詳  細

過去5年間で16回も出題された作品。城北埼玉や世田谷学園で出題されました。近所の老人が死ぬところを目撃するために、見張りを続ける少年達。その無邪気な好奇心や冒険心、そして子どもから大人への成長というテーマは、懐かしさを感じさせます。映画にもなった作品で、ストーリー的にはスティーブン=キングの『スタンド=バイ=ミー』に似ていて、少年期の底抜けの明るさ、奇妙によぎる不安などを絶妙に描いていると思いました。



■ 『読書力』 齋藤孝 (岩波書店 735円)

読書力

岩波書店

詳  細

声に出して読みたい日本語」「理想の国語教科書」「三色ボールペンで読む日本語」など次々とヒットしている著者の読書に関する考えをまとめたものです。なぜ本を読まなければならないのか、ということから始まって、読書力の鍛える基準を“3~4年間で文庫100冊、新書50冊”としています。人々が新聞や本を読まなくなったといわれて久しいのですが、かつての日本の強みは読書力によって支えられてきたとまで言い切っています。また、せっかく読むのだから、なるべく本の内容が自分のプラスになるように活かす方法をいろいろと紹介しています。



■『アーモンド入りチョコレートのワルツ』 森絵都 (角川文庫 460円)
 

アーモンド入りチョコレートのワルツ

角川書店

詳  細

クラシックのピアノ曲を背景にした3作品が収められています。入試で出題されたのは『少年は眠る』という作品です。夏休みに年齢の違う親戚の子供たちが別荘に集まり、2週間をともに過ごします。そこでの出来事を綴った物語です。リーダー格の少年は、日々の日課を強引に決め、その他の子供たちはそれに従うしかありません。しかし、その強引さに主人公やその他の子供たちは疑問や不満を持ち始め、ついに…。その他の2作品に関しても中学生を主人公にした、素晴らしい作品です。来年も出題される可能性は大きいのではないでしょうか。



■ 『海の物語』 灰谷健次郎 (角川文庫 599円)

海の物語

角川書店

詳  細


主人公は漁師の父親と二人で暮らす少年健太。健太は将来父のような漁師になることを夢見ており、船に乗り込み父親の手伝いをしています。そんな健太と交流があるのは都会からの転校生可南子と担任の紀子先生。これらの設定は一歩間違えば陳腐な設定になりがちにも思えますが、彼女らの存在が非常に効果的に個性的に描かれていますので、全く陳腐さは感じられません。むしろ必要不可欠で当然の存在のように思えます。登場する大人達は生活していく上での現実的な問題をきれい事ではなく大人の視点で考えていきます。子どもはそんな大人達の考えをそのまま受け入れることはできず、それに対抗し子どもたちの正義を貫こうとします。考えの異なる大人と子どもが同じ体験をしていく中でお互いの理解を深めるというのが灰谷健次郎の作品の指針であり、本作品では漁船に乗りこみ、漁業を通じてその理解を深めていきます。また漁業問題や海洋汚染問題が大人と子どもの共通テーマとして分かりやすく提示されています。質の良い邦画を見た後のようなほのぼのとした気持ちになり、きれいな海を守ろうという気持ちにさせられる非常に上質な小説です。(横浜隼人高校平成16年度入試出題)



■『この本が世界に存在することに』 角田光代 (メディアファクトリー1470円)

この本が、世界に存在することに

メディアファクトリー

詳  細

 泣きたくなるほどいとおしいと紹介されていた一冊で読んでみようと思いました。“本”をテーマとした9つの短編物語集です。その中の“さがしもの”は、余命があと少しの祖母から、本を探すように言われた主人公の話。“彼と私の本棚”では、恋人と一緒に住むことで、同じ本を読み、それによって互いに共有していた同じ光景。それが別れにより無理やり切り離される・・・。どの小説も本への愛情がこもった一冊でした。(東京都立日比谷高等学校出題)



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