安倍政権発足後、初の国政選挙が行われ、自民・民主両党が力を入れるのは当然として、両選挙区とも毎度のことながら、共産党候補も立候補しています。 候補者本人も含め、共産党が勝てると思っている人はどれほどいるのでしょうか。また、負けると分かっていても、常に候補者を立てるのが共産党ですね。
少し前に、共産党の最高幹部の一人である筆坂氏が、セクハラ事件で、離党、議員辞職をしたのには驚きました。本書はその筆坂氏が、自分の人生と共産党を語ったものです。
かつての、日本共産党で、私が印象的なのは、テレビに出てくる誰も彼も、リーダーの不破元委員長と同じしゃべり方をするということでした。筆坂さんもそうでしたし、現委員長の志位さんも似ています。そっくりと言っても良いほど。
それだけ、不破さんのカリスマ性が高いのだろうと思っていましたが、本書を読んでみて、確信しました。不破さん自体が、日本共産党そのものだと。
筆坂氏が、逆らうことを許されない組織の中で、不名誉極まりない事件で身を引かざるを得ない無念さと、恨み。また自分の青春を捧げてしまった、愛着ある党が今や、かつての輝きを失っていることへの寂寥とした思いも読み取れます。
これからどうすれば良いのか、自分でもよくわからないそうです。そんな状態で書かれた本です。
日本共産党は1922年結党という長い歴史のある政党です。戦後合法化されましたが、今だに、公安警察の監視対象。でも今の日本に社会主義や共産主義の実現を願っている人はどのくらいいるのでしょうか。
ソ連、東ドイツの崩壊や、中国の市場経済化、そして北朝鮮の実態を知るに付け、いくら自民党や民主党が気に入らなくても、資本主義を捨てるという選択肢はあるのでしょうか。共産党の支持低迷は覆い隠すことはできませんね。
共産党は、これまで立派な告発をした実績があります。食肉業者のハンナンの不正を指摘しましたし(『食肉の帝王』)、何と言っても、北朝鮮の拉致疑惑を、荻原遼氏は執念の著作『北朝鮮に消えた友と私の物語』で、いち早く訴えました。(感動的な一冊ですでお薦めです)
ところが、はたから見れば、萩原氏は共産党のヒーローなのに、その英雄を、党を批判したとして、除名してしまいました。ここらあたりがやはり…。
共産主義や社会主義の世界はみな平等だといいながら、権力者だけはみな強権を持っていますね。まるで宗教団体のように、トップは神様扱いですから、批判は許されない。筆坂氏はナンバー4だったそうですが、本書を読む限り、結局はナンバー1しかいないんだなとわかります。
先日ご紹介した、『日経新聞の黒い霧(大塚将司)』でも、経営者の批判をすることが許されないゆえの組織の腐敗です。政党であれ、株式会社であれ、宗教団体、カルトはもちろん、そういう形になると、必ずどこかで亀裂が生じます。
まして、共産党は資金面でも苦しいと書いてあります。詳しいデータが載っているわけではないので、どの程度の信憑性があるかわかりませんが、地方議員は離党したがっているとか、政党助成金を拒否しているため、職員の給与の遅配があるなどと指摘しています。
共産党のHPや新聞『赤旗』では、筆坂氏の指摘に強く抗議しているそうですが、党勢拡大を果たすのは、相当厳しそうだという印象を持ちました。
http://tokkun.net/jump.htm
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