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『戦争観なき平和論』  【昭和の戦争を読み解く】 保阪正康 

2007年04月29日 | 歴史


戦争観なき平和論.jpg


一年前の今日はみどりの日、かつての天皇誕生日に取り上げたのが、半藤一利氏の名著 『聖断』 でした。涙なくして読めない一冊ですし、今年もそれをもう一度取り上げたい気持ちは非常に強いのですが、“ズルイ”と言われそうなので(笑)…。


で、本書です。『聖断』のような、感動ノンフィクションではありませんが、とても読み応えのある一冊です。


昭和という時代、特に大正から戦争にいたるまでの歴史の分析をライフワークと位置付けている筆者の集大成の感のある著作、平和論です。

氏はまだまだ昭和史は解明されるべき事柄も多く残っているし、これからも研究され続けると述べていますが、存命中の戦争証言者が減り続ける現状でそれなりの総括をしたという形です。


保阪氏の意見では、まず、「歴史家」を名乗る以上は、

1・ 入手可能なあらゆる資料、論文に目を通している

2・ なるべく数多くの当事者達に直接の取材をしている

3・ 自分なりの歴史観を持つ

この3点を最低条件としてあげていますが、そうでない者たちの説がまかり通っていることが多いと指摘しています。つまり資料も読まず、取材の労を惜しみ、曖昧な歴史観で、よく考えもせず発言している人が多いということでしょう。厳しいですね。 


そして、真に平和を考えるのであれば、その前に “戦争” というものをしっかり考えなければならない、日本は “戦争をする「資格」” が欠けていたにもかかわらず、戦闘行為に出てしまった。


このことを本書で論じています。
 

かつて旧社会党系から出て来た一国平和主義などは、戦争観が欠けていて、単に怖いから、かわいそうだからというのは、戦争をただの“戦闘” だと考える幼稚な論理であると指摘します。国会の答弁などを引用し、そのあたりを詳しく解説しています。

ただ、“戦争をする資格” という表現。平和で高度経済成長の日本の中で育っている我々から見れば、やはりピンときませんよね。そんなものどこの国にもないだろうと…。

昭和20年以降続いているこの平和はどうやってもたらされているのか、考えさせられる一冊でした。


目次は以下の通りです。

1 昭和史のキーワード(昭和天皇;統帥権;国家総動員法 ほか)

2 戦争観なき平和論(近代日本の愚かな選択と自省;戦争観なき平和論―真珠湾攻撃から六〇年;「二十世紀の昭和史」への訣別 ほか)

3 昭和恐慌を脱した人々(昭和金融恐慌―「信頼される政治」があった時代;高橋是清と昭和恐慌;脱恐慌の企業人1―鮎川義介と大原孫三郎 ほか)


昭和天皇論、憲法論、アメリカ論などなど、資料や証言に基いた非常に興味深い分析にあふれています。かなりボリュームもありますが、本当に平和を考えるために、ぜひお読みいただきたい一冊です。



P.S. 今見ましたら、本書のタイトルをサブタイトルにした文庫がありました。目次が同じでしたので、本書の文庫版でしょう。


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戦争観なき平和論

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聖断―昭和天皇と鈴木貫太郎

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昭和の戦争を読み解く―戦争観なき平和論

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『乱世の英雄』 海音寺潮五郎

2007年04月28日 | 歴史
 

乱世の英雄.jpg

 

待ちに待った連休ですが、休めない人もいます。コンビニ、ファミリーレストランなどのサービス業のお仕事のみなさん、ご苦労さまです。


何年か前のゴールデンウィークの川柳で…

 『 休みなし渋滞ニュースにざまーみろ 』 

  という“おとなげない”名句がありました。(気持ちはわかる(笑))


当教室もゴールデンウィーク期間の休みは、日曜日以外は30日だけなので、思いっきり勉強の本でも取り上げようとも思ったのですが、やはり大人気ないのでやめときます(笑)。

ゴールデンウィークにゆっくり、のんびり楽しんで読んでほしい一冊です。大人も子どもでも(中学生くらいから)楽しめると思います。


歴史の本当におもしろいところを下世話なレベルに落として、剣豪やら、大奥やら、大名らを分析します。天下国家の次元ではなく、英雄の足跡などでもなく、なるほど“食っていく” ためには、そう行動せざるを得ないのかという具合に納得できるような話ばかりです。


教科書に載っているような人は、後世の人から見れば、みんなまるで神様のように感じてしまうわけです。そもそも普通の人の話題はあまり載りませんしね。 “武士!” “サムライ” などと聞くだけでカッコいいですもんね(笑)。

ですが、生まれながらの宗教家などならいざしらず、昔の人、歴史上の人物がすべて品行方正、人格高潔なんてはずがないわけです。当然ですね。もちろん現在の価値観から判断してはならないのですが、それに合うように、かっこよく書き換えられていたりするわけです。

サムライはすべて命をかけて、主君を守り、農民はみな日の出から日没まで休む間もなく働いた。な~んてイメージが勝手にできてしまいかねません。


海音寺氏の最大の功績は、“史伝文学” というものを復活させたことだと、WIKIに書かれていました。史伝文学というのは、“歴史上の人物や事件を対象として作品を物語風に書く中にあっても、フィクションの要素を完全に排除し、広範かつ詳細な文献調査などをもとにして、歴史の真実はどのようであったかを明らかにしようとする形態” の書物を指すそうです。

海音寺氏は、日本人から日本史の常識が失われつつあるとして当時の状況を憂慮し、“文学としての史伝復興の露ばらいの気持ち” を込めて執筆に取り組むことになったそうです。

本書でも、例えば、普通の武士が刀は “武士の魂” などと神聖視していたはずがない。のこぎり代わりに使っていたりもした、と教えてくれます。そもそも実用にたえられなくなると、博物館の展示品のように、逆に貴重なもの扱いされると指摘します。な~るほどと思いませんか。


そういうお考えですから、池波正太郎氏の作品が気に入らないらしく、非常に厳しい批判を加えています。拙ブログでは、池波氏の 『信長と秀吉と家康』 という私から見ると理想的に見える作品を取り上げました。

海音寺氏は、どうも池波氏の作品が史実に関するものなのか、フィクションなのかが曖昧になっているところが許せないようです。逆に司馬遼太郎氏を非常に高く評価しますね。


本書では、谷崎潤一郎氏のある作品の、菊を栽培する場面をとらえて、

『現代の菊作りのようにしか描いていない。(中略) もし、谷崎氏が、このことに気づいたら、あの人らしいエキゾチズムのあふれた面白い場面が出来たであろうと、おしまれるのである』 と何気なく批判しています。

また、別のところでは

『谷崎氏ほどの作家が、そして、国文学に対しては、あれほどの造形のある人が、ここに気付かないのは、古典を、文学や、普通史学の目では読んでも、社会史または民俗学的に読むことをしないからである』 と述べています。

何となく海音寺氏の歴史文学に対する考え方がわかる気がします。歴史を深く知っている人から見ると、そういう点が気になって、ずさんな作品に感じてしまうのではないんでしょうか。


時代はばらばらに取り上げていて、まとまったテーマがあるわけではなく、エッセイなのですが、歴史の人物が非常に身近に感じることのできる一冊でした。また、その筆者にも親近感がわいてくるような本ではないでしょうか。

どーぞ、ご・ゆ・っ・く・り、お楽しみください(笑)。さ、仕事、仕事。



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なんで今日がメーデーなんでしょうね。
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『大江戸生活体験事情』 石川英輔、田中優子

2007年03月31日 | 歴史


大江戸生活体験事情.jpg


東京都の知事選が近付いてきましたね。一週間後です。こじ付けで恐縮ですが(笑)、東京といえば江戸。江戸時代の生活を実験したおもしろい本を取り上げます。春休みに実験できそうなものもあります。


明治維新以来、欧米に追いつけということで、日本が近代化を急いだという歴史の大きな流れがあるためか、不当に江戸時代が遅れた文明しか持たなかったかのように言われることに、著者のお二人は異議を唱えます。


実際、当時の国民全体の教育水準は、寺子屋のおかげで世界最高レベルの識字率を誇りましたし、同じ考えを持つ童門冬二氏の 『和魂和才』 を読みましても、産業の近代化こそされていませんが、学問レベルはかなりの水準だったと感じます。


本書は江戸時代について多くの本を著している二人の先生が、これまでの集大成ということでしょうか、二年間に渡って実際に江戸時代にあったものを体験してみようということで、その体験エッセイになっています。


ほんの150年ほど前は、電気もなく、マッチもなく、今の時計もなく、ペンや鉛筆もないわけです。そういう生活とはいったいどういうものかを実験してみようという企画です。どんなことをやったのか、目次を紹介しましょう。


知識はエネルギー
時刻がうみだすエネルギー
天体の動きで生きる快適さ
昔のこよみによる生活
旧暦を楽しく使う法
火打ち石で火をつける
火打ち石の体験
行灯の暮らし
行灯でものを見ると
書くこととその道具〔ほか〕



計算によれば、江戸時代は現在のなんと100分の1のエネルギーで生活をしていたそうです。そう聞くと何となく原始時代を想像してしまうのですが、そんなことは全くなく、非常に知恵を働かせた節約社会が江戸にはあったということが分かります。 


火打ち石って使ったことありますか。行灯(あんどん)、当時の時計、こよみ、着物、履物、筆などを作ったり、使ったりして、その良さを強調するわけです。


なぜ勉強するのか』の中で、鈴木光司氏も述べているように、現代人の生活がきものやちょんまげでなくなったのは、洋服や靴の方が快適に過ごせるからに他ならないと思うのですが、そんなことを言ったらお二人に怒られそうです(笑)。


まぁ、確かに何もかも、あまりにも効率優先の世の中になってしまったので、下駄の良さや他の日本文化の伝統と歴史の知識を伝えていくことは、大変意義深いことだと思います。しかも今になって環境問題などを考えるヒントも与えてくれるかもしれません。


現代社会を、“便利さのために、空気や水を汚染し、国民が花粉症だらけで自殺者が多い世界” だととらえてしまうと、はるか江戸時代に郷愁を感じることも無理からぬことですね。しかも思いのほか便利そうなもの、快適そうなものがありました。


江戸好きのお二人は他の本で江戸のすばらしさ(現代文明の愚かしさも)を力説している時とは違って、単に楽しそうで、私も一つくらい実験してみたくなりました。もし生徒で興味を持つ人がいたら、チャレンジしてみて下さい。


人々の知恵こそが大きなエネルギーであるということがよく分かりました。


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大江戸生活体験事情

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『大江戸生活体験事情』石川英輔、田中優子
講談社:304P:560円

 

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『日本の歴史をよみなおす』 網野善彦

2007年03月27日 | 歴史


日本の歴史をよみなおす.jpg

 

歴史に興味のある人もない人も、春休みにぜひ読んでもらいたい一冊です。

中学生だとちょっと難しいかな。テストのためだけの脈絡のない年号暗記ほどつまらないものはないと思いますが、その逆で、歴史をこれほど生き生きとしたものとして解説してくれる先生は少ないでしょう。

教科書の歴史を否定する、といっては言いすぎですが、いわゆる根拠のない通説とか、誤った思い込みなどを徹底的にはがしてくれるという感じでしょうか。専門的な分厚い本もありますが、本書は若者向けに語り口調で書かれています。


日本人はどこから来たのか、なぜ我が国の名前は “日本” なのか、天皇はどうやって生まれてきたのかなどなど、そもそも論とでもいうようなところから歴史を語っているのが良いですね。


本書では14世紀が日本の歴史のターニングポイントだという認識を元に、その頃の出来事が現代に与えた影響などを中心に考察します。中世は封建制の時代で、徐々に武士の力が皇族や貴族を凌駕するようになるころです。

その中で、“聖なるもの” と “俗なもの” の従来のバランスが崩れていき、文字や貨幣の普及が急速に進んでいきます。同時にそれまで聖俗の「聖」の部分に属していたはずの職能民たちが蔑視の対象となっていく、つまり「えた・ひにん」が発生するプロセスを分かりやすく様々な角度から論証しています。非常に興味深い指摘です。


以前ご紹介した『日本史の一級史料(山本博文)』を読みますと、自分で古文書を読んだりして、史料を研究できたら、どんなに楽しいだろうと思いましたが、本書でも 「一遍聖絵」 という絵を史料として、これまでの研究内容とは異なった新鮮な視点を提供しています。

氏は日本史の中でも中世が専門だそうですが、そのあたりの分析や、解説は独壇場、歴史は“科学”だと感じることができると思います。まだまだ日本の歴史には研究が不足している部分、従ってまだ解明されていないところがたくさんあるとしています。


残念ながら、2004年に亡くなっていますが、歴史研究に大きな足跡を残したのではないでしょうか。一方で、政治的な発言も目に付き、私も主張が “偏っているのではないか” と、一時期は敬遠していましたが、本書はおもしろい一冊です。


目次は以下の通りです。

第1章 文字について
第2章 貨幣と商業・金融
第3章 畏怖と賎視
第4章 女性をめぐって
第5章 天皇と「日本」の国号


P.S. 実は本書の続編があって、それもいつかご紹介しようと思っていましたが、本書とその続編を一緒にして文庫化したものが発売されていました。今気付きました。下の表紙のものです。2冊分ですから、こちらの方が良いかもしれませんね。 (409P:1260円です) 

ですから、ついでに続編の目次も紹介しておきましょう。本書は両方、入っているということでしょう。


第1章 日本の社会は農業社会か
第2章 海からみた日本列島
第3章 荘園・公領の世界
第4章 悪党・海賊と商人・金融業者
第5章 日本の社会を考えなおす

 


日本の歴史をよみなおす (全)

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『日本の歴史をよみなおす』 網野善彦
筑摩書房:237P:1260円


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『「家族」と「幸福」の戦後史 -郊外の夢と現実』 三浦展 

2007年03月10日 | 歴史


家族と幸福の戦後史.jpg


下流社会』 が大ヒットし、『かまやつ女の時代』 もそれなりにおもしろかった三浦展氏ですが、その二冊よりもずっと体系立った専門的な一冊で、郊外を論じたのが本書。少子化問題の分析にも役立ちそうな、大変勉強になった一冊です。 


氏が本書の数年前に書いた 「家族と郊外の社会学」 が日本ではじめての、“郊外論” だそうですが、本書はそれに“郊外史” を付け加えたような内容です。



ある年代以上の方は、次の歌をご存知でしょう。小坂明子のヒット曲 “あなた” 

♪もしもわたしが家を建てたなら、小さな家をたてたでしょう♪ 


また、吉田拓郎のヒット曲 “結婚しようよ” 

♪僕の髪が肩まで伸びて、君と同じになったら、約束どおり町の教会で、結婚しようよ Mmmm♪ 


前者が1974年で、後者は1971年で、両方ともビッグヒットですから、その世相が何となくわかる気がします。


筆者はこのところから始まり、当時、日本に住宅ブームあるいは結婚ブームが起こったことを指摘します。すなわち都会に出て、結婚をし、団地に住むのがあこがれであったというように。団地というのは核家族化の象徴ですが、2DKの団地にあこがれるほどそれまでの住環境は劣悪だったわけですね。

そしてそのブームの背景は、すなわちその理想とするところはアメリカの豊かな郊外の生活です。自分の車に乗り、電気製品がたくさんあり、専業主婦で子供が二人というような家庭です。この頃実際に日本で流行った“三種の神器”は、カラーテレビ・クーラー・カー(車)の3Cでしたね。


そのアメリカですが、アメリカも自然にその形になったのではなく、そういう理想像を普及させたい政治的思惑があったというのです。一つには対ソビエトの冷戦構造と、もうひとつは、言ってみれば、秩序だった消費社会、消費主体を作リ出すこと。


つまり、“労働者” を “消費者” という見方に変えていくわけですが、確かに自分の車や家を持ってしまった人は共産主義者にはなりにくいでしょう。今、まさに中国がその状態ですね。そのあたりは『東アジア「反日」トライアングル(古田博司)』でも痛切に感じました。


そして、その理想が日本に伝わってくる様子も紹介するのですが、その理想であったはずのアメリカの郊外の生活では予想していなかった反乱が起こります。不満をつのらせたのは、郊外の生活レベルに達しない黒人などのマイノリティーだけではなかったのです。


まずは女性たちのムーブメント(ウーマンリブ:女性解放)が、次に若者たち(ヒッピーなど)が理想や規格に閉じ込められた生活に反発をするわけで、それぞれ社会問題化します。

筆者の見るところ、時期を遅らせて、日本もそれに続きます。いったい郊外の核家族に何があったのか、どうして問題が出てきたのか、郊外生活の特徴や問題点を分析します。


こう見てきますと、戦後の高度成長社会ではものを大量生産すると同時に、多くの核家族を生産してきたというわけです。極端に言うと、家族ができたから、家電を買おうというのではなく、家電や車を買えば家族らしくなれたという指摘です。

今はその時代よりさらにずっと豊かですから、独身でも車や家電は買えるわけで、あえて家族になろうとする必要もない。ブームも起きません。大変おもしろく読めました。やはり目次を紹介しておきましょう。


第1章
 マイホームという神話
第2章 ニューヨーク万博と郊外・家族
第3章 レヴィットタウンとアメリカの夢
第4章 冷たい戦争と暖かい家族
第5章 郊外への反乱
第6章 55年体制の中の郊外
第7章 郊外という問題
第8章 郊外を超えて



「家族」と「幸福」の戦後史―郊外の夢と現実

講談社

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フォークソング
南こうせつ, 吉田拓郎, 徳武弘文, 田口清, 松本隆, 井上陽水, 泉谷しげる, 堀内護
ポニーキャニオン

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『「家族」と「幸福」の戦後史 郊外の夢と現実』 三浦展
講談社:224P:756円



P.S. 先ほど気付きましたが、左上にあるカウンターが30万に近付いております。おそらく、明日かあさってです。HITされた方、よろしければご連絡下さい。記念に当教室のボールペンとクリアホルダーくらいならプレゼントさせていただきます。



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『歴史パロディ 英雄よみがえる【日本編】』 ARISAWA KEN

2007年02月27日 | 歴史

 

英雄よみがえる 歴史パロディ.jpg


このブログによくコメント下さる、あーりーさん、実は、歴史パロディ:英雄よみがえるという人気シリーズの著者です。 “ARISAWA KEN” というお名前になっていますが。

インターネット上で書いていた歴史パロディの文章が出版社の目に留まって、本の形になり、現在はシリーズ化されるまでになっているようです。すばらしいことですね。ネット社会の寵児です。


で、早速読んでみました。めちゃくちゃおもしろいですよ。いつもコメントをいただける身内だからほめるのはなく、本当にゲラゲラ声を出して笑える内容です。今日で国公立大学前期日程もほぼ終了ですから、ゆっくり楽しんで読めます。小学生から大人まで、歴史嫌いには解毒剤・治療薬としてお薦めします(笑)。


私事で恐縮ですが、息子は5年生の夏から塾に通い始めましたが、その前は、“信長の野望(テレビゲーム)” や “三国志” で遊ばせました。思惑通り歴史好きになり、社会は得意科目になりましたが、本書でもそれができそうですよ。実際、息子に読ませてみたら、いきなり “よっしー”(義経)にはまっていました。


どんな感じか最初だけ書き出してみましょう。ちょっとびっくりしますよ。


■■■

源義経:第1話 伊豆挙兵 
西暦1180年。日本では平家一族がいばっていた。源氏一族は不愉快だった。

頼朝『平家、ムカつかん?ちょっとブレークしたからって調子に乗ってさ』

妻まさこ『うんうん』

頼朝『おれら源氏だってけっこうイケてると思うんだけどな…』

妻まさこ『思う思う』

頼朝『ねぇ、今度さ、平家に反乱起こさない?』

妻まさこ『おもしろそう!みんなびっくりするね』

頼朝『あ、でもさ… 反乱って、どうやって起こせばいいのかな?知ってる?』

妻まさこ『ごめん、知らない…』

頼朝『とりあえず、なんか建物とか襲う?偉い人の家とか…』

妻まさこ『う~ん、そうだね』

 こうして1180年8月17日、源頼朝は数人の仲間を率いて伊豆の国司代官屋敷を襲った。ところが…


■■■


と、こんな調子でどんどん話が続いていきます。これだけではお伝えできないのですが、史実のなかのポイントとなる出来事やその背景だけをきちんと押さえ、あとはすべて楽しい会話や架空のできごとやギャグでつながっているのです。


義経の他、織田信長、徳川家康、坂本竜馬が取り上げられています。どれもうまく作ってあるのですが、個人的には竜馬が出色だと感じました。

単に会話がくだけているというのではなく、きちんとギャグが史実に活かされていますし、ちょっとしたギャグが実はのちのちのしかけになっていたりします。いや、よく書けるものです。


歴史の英雄をこうして親愛をこめてからかうのは、知識はもちろんのこと、ユーモアのセンス+構想力+さらに勇気が必要でしょうね。実際、相当歴史にいれこんでなければ考えもしないでしょう(笑)。ブッシュ大統領や安倍首相なんかを風刺するのとはちょっと違うと思うんです。


先日、ご紹介した『ゆうき式逆転発想勉強術』では、“勉強をおもちゃにしちゃえ”というのがあって、受験勉強の中になるべく遊びを入れておくことが知識吸収の突破口になるという趣旨のことが書いてありました。本書なんかはその材料にもピッタリ。


私もこのシリーズの他の作品もまた続けて読んでみたいと思いますが、あーりーさんご自身がお薦めの本をレビューされています。どうぞご覧下さい。


 あーりーさんのブログ ⇒ 『お薦め歴史小説


 

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『日本史の一級史料』 山本博文

2007年02月17日 | 歴史

 

日本史の一級史料.jpg


帯には歴史は1秒で変わると書かれています。

現代人が織田信長の肉声を聞くことも、関ケ原の戦いを目撃することもできません。すべての歴史の知識は残された史料によってのみ、歴史家によって作られたものだということになります。

そして、もし何か新しい史料(資料のうち歴史に関わるもの)が出てきたり、新しい解釈がなされればその一秒の間に書き換えられるというわけです。実際に今でもさまざまな新史料は発見され続けているそうです。

 

本書は導入部分で、宮本武蔵と忠臣蔵を比較します。

NHKの大河ドラマは平成15年は一年間かけて、宮本武蔵を扱いました。吉川英治の長編小説も有名ですし、コミックの『バガボンド』も強い人気を誇っています。

バガボンド.jpg           宮本武蔵.jpg


クライマックスの巌流島の戦いは1612年ということになっていますが、その同じ江戸時代の1703年、こちらも日本人に人気の高い『忠臣蔵』、すなわち、吉良上野介義央の屋敷に討ち入り事件がありました。仇討ちをした大石内蔵助良雄以下47人の赤穂浪士の話ですね。


この二つのどこが対照的かというと、宮本武蔵に関してはほとんど信頼にたる一級史料が残っていないというのです。逆に忠臣蔵に関しては豊富に残っているそうです。こういうやつでしょうね。


古文書1.jpg



ちなみに手許にある日本史用語集で見てみますと、確かに宮本武蔵は名前すら出ておらず、吉川英治が出ていました!そして、忠臣蔵の方では、赤穂事件に関して詳しく解説してあります。

武蔵に関しては、没後一世紀以上たって書かれたものがストーリーの下敷きになっており、身内や弟子たちがおのれの流派の宣伝のために書かれた可能性が高く、筆者によれば、武蔵の兵法の著作といわれる『五輪書』 も、その周辺の史料を探っていくと、弟子による捏造というか宣伝のようなものだとわかるそうです。


以上のようなことを出発点にして、歴史家がどのように史料を扱い、歴史を解釈するのかをわかりやすく説明してくれます。読者がどうやって一級史料を探すのか、教科書や歴史書を鵜呑みにしない歴史観を持つにはどんなことが役立つのかを示します。


目次は

第1章 有名時代劇のもと史料(宮本武蔵の一次史料はたったこれだけ;一次史料が豊富な「忠臣蔵」);

第2章 歴史家は何をどう読む?(東京大学史料編纂所;史料集の編纂とは何をするのか? ほか);

第3章 新しい史料を発掘する(歴史学の基礎を築く「史料採訪」;わたしの「史料採訪」 ほか);

第4章 一級史料の宝庫「島津家文書」を読む(島津家の文書とともに死ぬのなら本望;一次史料だけで「歴史」が書ける ほか);

第5章 「歴史学」への招待(いろいろな一級史料に出会う;データベースから史料を探す ほか)


となっています。大きな字で書かれた新書でわかりやすく、大学の史学科に進みたいと考えている高校生や私のようなまったくの素人には歴史学の導入として良い一冊ではないでしょうか。ただし、古文の勉強はしなおす必要がありそうですが(笑)。


日本史の一級史料

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バガボンド―原作吉川英治「宮本武蔵」より (1)

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宮本武蔵 全8冊 吉川英治歴史時代文庫

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P.S.
実はよくコメントを下さる、あーりーさんは『歴史パロディ』というシリーズの本を書いておられます。今度取り上げますね。さらにラジオに、舞台にと活躍されていらっしゃいます。あーりーさんのブログ、ぜひ訪ねてみて下さい。


   おすすめ歴史小説(あーりーさんのブログ)

[歴史パロディ] 英雄よみがえる!<日本編>

学生社

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また、相互リンク先であり、名作 『浪士石油を掘る』 の著者、真島節朗先生のブログもご覧下さい。歴史の勉強になります。

  『反戦老年委員会』 

 

 

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『日本史の一級史料』 山本博文光文社:224P:735円

 

 

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『真珠湾の日』 半藤一利

2006年12月08日 | 歴史
 

真珠湾の日 半藤一利.jpg



今日12月8日は太平洋戦争開戦、真珠湾攻撃の日です。この日からあの戦争が始まってしまったわけです。


以前、何かの本に歴史家の保阪正康氏が “真珠湾攻撃に関する限り、正確でよくまとまった書物はどこにもない” という旨を書いていました。


その理由として、特に天皇に関する資料というのは、当時、そう簡単に手に入るものではないらしく、そのためもあってか、逆にデマや思い込みによって書かれた書物はあふれるほどあるそうです。

また、政治的にではなく、真剣に歴史研究をしている外国人にとっても、日本が真珠湾攻撃にいたる経緯がどうも腑に落ちないという意見が多く、保阪氏に問い合わせてくることもあるようです。その中で信頼できる一冊として、本書を挙げていました。


このブログでも、半藤氏の著作は数冊紹介しましたが、中でも、『聖断』 と本書が、私には大変印象深い内容です。膨大な資料と関係者に対する直接取材によって、事実を丹念に読み取り、比較、検討し、見事に全体像を描ききっていると感じます。


小林よしのり氏ではありませんが、戦争はもちろん、日本国内の『いわゆるA級戦犯』 だけがはじめたのではありません。しかし、また逆に、ハルノートABCD包囲網など、日本が諸外国から受けた冷淡な扱いだけを取り上げても開戦を理解することができません。

国内、海外の情勢を見聞きし分析し、名も無き国民を含めて、無数の誰かが何かを決断し、意見を衝突させながらも、結果としてはあの悲惨な戦争にいたったわけです。


本書で描かれる開戦を決断するまでの日米のかけひきの場面、また連合艦隊司令長官の山本五十六氏の言動など、身震いがする思いがしました。また当時の日本国民の心境も挿話によって、とてもリアルに想像することが出来ました。

ルーズベルトの人格(ちなみによく聞かれるルーズベルト陰謀説は明確に否定しています)、東条英機の考え、外務省(アメリカ大使館員)の体たらく振りなど、実にさまざまな要因が絡んでいることを実感します。半藤氏のライフワークは本書ではないのかとすら感じました。


以前申し上げましたが、私は、『殉死』 を書いた司馬遼太郎氏に、明治ではなく、昭和や太平洋戦争の人物を描いて欲しかったのですが、やはり天皇に対する資料不足なのでしょうか、なぜか氏は手を出そうとせず、亡くなってしまいました。この一冊が代わりになると感じました。


司馬氏の小説を読むように読み進められますし、政治的な片よりも感じません。生徒諸君にもぜひ読んでもらいたいと思う一冊です。




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P.S. 実はですね、もうお一人、相互リンクの気安さで、昭和を書いていただきたいと思い、しつこくお願いしているのが、真島先生。名著 『「浪士」石油を掘る』 の著者。こちらもお薦めです!

浪士石油を掘る.jpg

『「浪士」石油を掘る』 真島節朗
 共栄書房:243P:1800円




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『昭和を振り回した6人の男たち』 半藤一利

2006年12月01日 | 歴史

 

『昭和を振り回した6人の男たち』半藤一利.jpg


半藤氏の著作は、一番好きな 『聖断』 を含め、数冊読んでおりますが、こういう形の本は初めてです。

本書は、半藤氏が一人で書いたのではなく、数年前に企画した昭和史のセミナーに、講師として参加した専門家五人の、講演が収録されています。


半藤氏以外のメンバーは、保坂正康氏、利根川裕氏、夏堀正元氏、土門周平氏、檜山良昭氏らで、それぞれが取り上げた人物は石原莞爾松岡洋右マッカーサー東条英機阿南惟幾吉田茂 の六人です。


平成になってすでに18年。確か、保坂氏が別の著作で、あるできごとがあって、50年経てば、歴史研究ができるというようなことを述べていたと思います。第二次大戦後 60年経っていますので、昭和という時代が、第二次大戦を中心に本格的に歴史学問の対象となってきたという印象を受けます。


読む前は、あさはかにも、“有名人ばかりを取り上げていて、新鮮味はないのかもしれない” などと、思い込んでいたのですが、とんでもない、どの方の講演にも引き込まれ、自分の知識不足を思い知らされました。


本編に入る前に、“本書を手にする人は、年配の方はともかく、若い人々の中には実感としての昭和を持っていない人もいるだろうから” という理由で、少しだけ(20ページほど) 半藤氏は当時の時代背景と、今問われていることを整理してくれています。これも大変役立ちました。


もっともっと続きの講義を読みたいと思った一冊で、こう言っては申し訳ないのですが、同じく半藤氏の書かれた『昭和史』 よりも、ずっとお薦めしたい一冊です。





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『昭和を振り回した6人の男たち』 半藤一利
小学館:256P:580円


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『スパイス戦争-大航海時代の冒険者たち』ジャイルズ・ミルトン(著)松浦怜(訳)

2006年10月30日 | 歴史
 

supaisusennsou.jpg


大変おもしろい一冊です。本書はその綿密な調査で、発売と同時に大絶賛を受けたそうですが、筆者によれば、東インド会社の資料館のようなものには、誰も手を付けていない貴重な資料がまだまだ山のように残っているそうです。

大航海の時代、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダなどが胡椒やナツメグなど東インド諸島の香料を巡って繰り広げた争奪戦を描くノンフィクション。 途中イギリス船に乗った日本人傭兵が登場しますが、そんな話、聞いたことありますか。

まぁ大した役割はなく、だまし討ちにあったり、拷問にあったりして殺されてしまうのですが1600年前後、朱印船に乗った人々の中にそういう争いに巻き込まれた日本人がいたというのを不思議な感覚で読みました。

以前、使ったこの地図でじっくり見てみると、彼らの船は日本のすぐ下にまで来て、やりたい放題の悪さを働いていたんです。

map2.JPG← クリックで拡大されます。

  
彼らが、日本に興味を持ってしまったら、江戸時代以降、かなり歴史は変わっていたんだなぁ~と実感しました。ヨーロッパ人がもう少し足を伸ばしていたら、と考えるとぞっとします。

というのも、後半部分は “イギリスVSオランダ” の戦いが描かれていますが、ヨーロッパ人の冒険心や勝負の徹底振りはため息が出ます。この宿敵同士の戦いはすさまじく、殺し合いや裏切りは、日常茶飯事。

原住民などは人間と見なしていないのでしょう。捕らえては、拷問、虐殺、または奴隷狩りのような対象に過ぎません。『ちゃんと歴史の教科書に書いとけよ!』と叫びたくなるくらい(笑)。

ただ、私の生徒から、その時代、日本に最初に来た外国船には、仲の悪いはずのイギリス人(ウィリアム・アダムス、のちの三浦按針)とオランダ人(ヤンヨーステン)が一緒に来たと聞いて驚きました。

いずれにしろ非常におもしろく、香料、特にナツメグは肉の防腐剤としてヨーロッパでは非常に貴重らしいのですが、東インド諸島では、それがただ同然で入手できたそうで、巨万の富を築くために命がけでヨーロッパ諸国が争いました。

その後、日本は、出島は開港したものの、占領されず、無事に鎖国を続けられたのは、奇跡的な幸運だと思わずにはいられません。


スパイス戦争―大航海時代の冒険者たち

朝日新聞社

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P.S. 受験生は大航海の時代を復習! 例によって、genio先生のブログ

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『スパイス戦争-大航海時代の冒険者たち』ジャイルズ・ミルトン(著)松浦怜(訳)
朝日新聞:362P:2940円

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『「受験世界史」の忘れもの』 井野瀬久美恵

2006年10月27日 | 歴史


世界史.JPG

高校の必修科目である世界史の未履修問題、こんなことがあるんですね。誰かが責任を取るのでしょうか。校長への注意だけなら生徒は助かりますが、ゆとりの時、あれほどもめていた“指導要領”とは一体何なんだということになるでしょうね。

少なくとも公文書に、虚偽の記載は法律違反でしょうし、岐阜の裏金でもあったように、教職員のモラルハザードはどこまでも続いてしまう。一方、自分の受験科目じゃないのに、まじめにやっていた学校の受験生は、どう感じるでしょうね。


かといって厳しく対処すれば、世界史を受験科目にしていない生徒はたまったもんじゃないですね。たまたま2007年度入試を受ける現役の生徒たちが、受験直前に世界史受験でもないのに、その集中講義を70時間も受けなければならないという、信じがたい状況に追い込まれてしまいます。 学校の不始末を生徒たちが責任を取らされるわけです。

卒業延期して、入試の後に補習というのが現実的でしょうか。それにしてもやっぱり誰も従いたくないような指導要領だった。文部科学省は、裸の王様だということがよくわかったでしょう。

センター試験まであと3ヶ月を切って、1時間、10分でも時間が惜しいときに、70時間取られる。実にバカバカしい。 高校3年生諸君に“世界史は抜群におもしろい!”と言っても、何の慰めにもならないでしょうが、その“受験世界史” の問題点を指摘し、授業では決して語られない、“本物の世界史”を語った一冊を紹介します。

まずは、生徒にも、この地図をじっくり見て欲しいですね。

map2.JPG← クリックで拡大されます。

  
そうです。見慣れた地図と異なり、日本は端っこに来ています。世界の人々は、こういう地図を見ながら、ものを考えます。世界の中心は日本ではなく、あくまで西欧。そして、受験世界史も西洋中心主義が過ぎる、と筆者は指摘します。

さまざまな興味深いエピソードが登場しますが、受験世界史と筆者が大学で教えている世界史に橋をかけたい、そんな思いで書いたそうです。今回の事件で、再読してみましたが、やはりおもしろいです。この先生の大学の世界史の授業に参加したくなるでしょう。


【本書の裏にある言葉】

世界史は、物言わず静かに流れる時の大河。その壮大な流れを受験世界史は古代・中世・近代・現代と切り刻み、細かな事実を羅列する。かくして、歴史は無味乾燥な年号と人名と事件の集積と化す。しかし、実際の世界史は教科書と裏腹に、もっとダイナミックに、人間くさく動いてきた。本書は、そうした歴史の裏側に光をあて、本当の世界史の醍醐味を満喫させてくれる一書。



誇大広告でなく、その通りだと思います。ただ、残念ながら、本書はアマゾンのユーズドでしか入手できないようでした。(またPHPだ)。しかし、井野瀬氏には、他の著作もたくさんありますので、きっとそちらでも同じような興奮が味わえると信じています。

http://tokkun.net/jump.htm 


『「受験世界史」の忘れもの』 井野瀬久美恵
PHP研究所:198P:480円



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『信長と秀吉と家康』 池波正太郎

2006年09月16日 | 歴史


信長と秀吉と家康.jpg


信長 ・ 秀吉 ・ 家康。この三人に関する書物はいったいどれだけ出版されているのか想像もつきませんが、今、ちなみに Google で、それぞれを検索しますと

信長:692万件
秀吉:252万件
家康:467万件 
ヒットしました。

並び称されることが多い三人ですが、案外、差がありますね。しかし、三人並べて検索してみますと、やはり60万件もヒットしました。男の子の歴史好きは、戦国時代の武将から入る人も多いですね。(ゲームの『信長の野望』なども含めて…)


本書は、当教室 で出しているメルマガの、読書 “入門書特集” の時に、歴史の入門書として取り上げたものです。歴史が苦手な中学生やひょっとしたら小学校高学年でも、この300ページは、きっと“ 一気読み ” できるのではないかと思いますので、ぜひチャレンジして欲しいです。


単に面白いエピソードを紹介するだけではなく、史実やそのつながりが頭に残るように書かれているという点が実にすばらしいと思います。池波正太郎氏の力は偉大です。ところどころに入る、ちょっとした解説は、わかりやすい授業を聞いているかのようです。

限られた、私の歴史読書ではありますが、その戦国時代ものの中で、入門書として抜群だと思います。


P.S.(1) 生徒には、本書を強くお薦めしたいのですが、どうしても文庫の小さな文字は苦手だという人には、今年のはじめから、『週刊:日本の100人(1号190円:2号以降560円)』が創刊され、その1号が信長です。このあとは、坂本竜馬、家康、東条英機、秀吉と続きます。バックナンバーも在庫さえあれば手に入ります。
→  http://www.de-club.net/nhy/ 


テレビCMで紹介されているとおり、こちらは大型本で、きれいな写真、年表などがふんだんに使われ、ながめるだけでも楽しいできばえで、内容も本格的です。現在は34号まで出ています。我が家もずっと買っております。



P.S.(2)
 ところで、検索エンジンは、英語の勉強にも使えますよ。例えば、ほとんどの高校生は中学で “be surprised at” を叩き込まれていますから、丸暗記していますが、by でも良いんだよというと、びっくりします。教え方が悪いんですね~。そこで、生徒の前で、フレーズ検索をして見せるのです。

surprised at : 1230万件
surprised by :1570万件 
 となって信用してもらえます(笑)。 
ちなみに
surprised to :2130万件 で、これが最もよく使われる言い回しだと推測できます。

ついでにもうひとつ、イラク戦争は war on Iraq なのか、in Iraq か with Iraq か at か of なのか、たとえ英文を読まなくとも、検索にかかる数の違いだけでも、参考になります。興味のある人は試してみてください。


http://tokkun.net/jump.htm
 

『信長と秀吉と家康』 池波正太郎
PHP文庫:300P:570円


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   きっかけ  ■■  

子どもを見ていますと、本当に勉強はきっかけです。楽しい本やドラマ、時にはテレビゲームまで…、またライバルの出現などもそうなったりします。難しいのは、相手は、子どもとはいえ、こちらの予想どおりには反応しないことですね。学校や家で大人がなるべくたくさん、いろいろなきっかけを与えることが大切だと思います。

このブログのどれか一冊でも、そういうきっかけになりますように!
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『いわゆるA級戦犯』 小林よしのり

2006年08月08日 | 歴史
  

しばらく前、靖国神社に関して、中国・韓国が日本に対して怒っているというような内容がテレビで流れました。例によって、小泉首相の写真や、日の丸に火をつけていました。

すると歴史をほとんど知らないはずの、私の小学生の息子に 『当たり前だよね!だってそれだけひどいことを日本はずっとしてきたんでしょ』 と言われ、愕然としました。この小学校は何をどう教えているのでしょうか。それからはいろんな話をするようにしています。

私がブログを始めて、最初にリンクを貼っていただいたのは、ご夫婦で図書館司書をされており、ブログ 『 少林寺と図書館と病気と 』 を書いておられる HIRO。さんです。いつも“本のプロ”として、いろいろアドバイスをいただきます。本書もHIRO。さんからご紹介いただきました。

HIRO。さんは、氏のことを、右でも左でもなく、一匹狼と呼びます。確かに、小林氏は朝日新聞だけでなく、右寄りといわれる、読売新聞、産経新聞に対しても、『親米ポチ』 などと、容赦なく批判していますからね。

小林よしのり氏の著作はいくつか読んでいますが、『戦争論』 などのマンガは、過激な表現で感情に訴えかけようとする面があり、正直申し上げて、それがいかに正論であっても、子どもには薦められませんでした。小林氏の一般書籍の方がずっと読みやすいと感じていました。『 嫌韓流 』 や 『 嫌韓流2 』 にも同様のことが言えます。マンガという戦略はかなり有効なんですね。

さて、久しぶりに氏のマンガを読んだわけですが、これまでより冷静に、客観的な印象を受け、正直、驚きました。本書では、そもそも“A級戦犯”という概念自体が、不当なものであるという主張です。この前取り上げました、『南十字星に抱かれて(福富健一)』 と同様の意見です。

朝日新聞などは、サンフランシスコ平和条約 を日本が受け入れた以上、東京裁判、つまり戦犯の犯罪行為を認めたことであり、そのおかげで戦後の日本がある。今さら、平和条約を否定するのかという主張です。要するに、東京裁判批判は歴史的に許されないと。

小林氏の主張は、条約の意味は、“たとえ不当な裁判であっても、その判決は受け入れる”、と言っているだけなので、裁判自体が不当だったと主張しても、何の矛盾もないという立場です。なぜかということが詳しく書かれています。

実は、そこのところを知り合いの法律家に聞いてみました。政治がからむので、やはり難しいところだが、小林氏の主張も充分ありうるという意見でした。私個人は国際法というものは、まったくわかりませんが、東京裁判がかなりおかしなものだったということくらいは理解できます。

パール判事の日本無罪論(田中正明)』 や 『アーロン収容所(会田雄次) 』 などを読めば、学校で教えられる史観とはかなり違った意見をもつはずです。本書では、A級戦犯一人ひとりについて、コラムで紹介しており、もちろん、先日、天皇陛下に関する『富田メモ』で名指しされた、松岡洋右や白鳥敏夫も、取り上げています。

塾講師が政治的な本を薦めるのは、あまり好ましくないとは充分知っています。特に当教室周辺は朝日新聞がものすごく強いと感じますので(笑)。しかし、あのアメリカでさえ、原爆投下に疑問を投げかける議論が教科書に出てくる時代です。(『アメリカの教科書が教える日本の戦争(高濱賛)』)中国、韓国、北朝鮮問題は毎日報道されます。

教科書で一方的な歴史観を押し付けるのは、もう時代錯誤です。本書での小林氏は冷静で、かつての扇動家のイメージではありません。子どもの知性を伸ばすためにも、どちらか一方だけを信じこませ、相手の話を聞かないという方がマイナスだと私は考えます。

今後の平和のためにも、感情論ではなく、戦争にいたった経緯、あるいは戦争責任を、学校で討論できるような時代をそろそろ迎えるべきだと思いますし、本書はその議論の材料を与えていると思います。



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いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL

幻冬舎

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『和魂和才』 童門冬二

2006年07月25日 | 歴史

江戸時代の職人や学者を取り上げた一冊です。
“麻田剛立(あさだごうりゅう)” という人物をご存知でしょうか?ガリレオニュートンアインシュタイン にも劣らぬ江戸時代の大学者、と言ったらおおげさかな?

彼は、暦についての著作しかないために、業績をさぐるのは、弟子たちの著作などから推測するしかなく、彼の業績として確定できないような歯がゆさがあります。

というのも当時、天文学の目的はただ、農民のために正確な暦を作るためだけの“作業”に過ぎず、“学問”とすら見なされていませんでしたから。

幕府の暦に載っていない日食を予言、的中させたことで彼は有名になります。それ以前から西洋では天動説、地動説などをめぐって裁判沙汰になっていましたが、彼は幕府の出した日食の誤りを堂々と二度修正しました。

計算によって正確に日食の日を予想したのは世界初!西洋で計算によって日食が割り出されたのは、その150年後のことだそうですから、世界的偉業です。

ところがです。日本史の教科書には「江戸時代の暦は蘭学を学ぶことで進歩した」などと書いてあります。剛立はオランダ語を読むことすらできなかったんですよ。教科書間違ってますよね(笑)。本人の学問的資料が残っていない悲しさでしょうか。

さらに「惑星の公転周期の2乗は、恒星からの平均距離の3乗に比例する」というケプラーの第3法則と呼ばれるものを独自に理解していたと言われています。この難しそうな法則はニュートンの万有引力へとつながっていくという、現代物理学の大発見で、日本天文学史上最大級の快挙だそうです。

死後、彼の偉業は国際天文学連合によって、月のクレーターに「ASADA」と命名されたことで一部報われました。

この麻田に関連した本を探していたのですが、一般書籍も専門書もアマゾンでは入手不可能でした。古書に当たるしかないのかと思っていたのですが、偶然にも本書の中に江戸時代の偉人として紹介されていました。

うれしいことに麻田剛立に、一番多くのページを割いていました。ここには麻田の女性関係まで触れていて、彼の新しい魅力(笑)に接する思いがしました。

麻田の他には、三浦梅園大原幽学 など5人が取り上げられ、副題は『 世界を超えた江戸の偉人たち』 となっています。いずれ劣らず魅力的で、各人の特徴的なエピソードなどは、会話なども挿入されていて、読みやすくなっています。

気に入った人物を取り上げて、夏休みに自由研究をしてみたらどうでしょうか。

和魂和才―世界を超えた江戸の偉人たち

PHP研究所

詳  細

http://tokkun.net/jump.htm



『和魂和才』 童門冬ニ
PHP研究書:238P:1575円


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『南十字星に抱かれて』 福冨健一

2006年07月21日 | 歴史
 
 
昭和天皇の、A級戦犯や靖国神社に関するメモが見つかったことが、大きな話題になっています。主要新聞はすべてこのことを社説で取り上げました。それにしても、このタイミングでメモが出てくる事情が知りたいですね。

このブログでは、三土修平氏の『 靖国問題の原点 』 をご紹介しました。非常に緻密に調べて分析をしており、大作と呼べると思います。論点整理もできるのですが、最後、解決策はゆいいつ、首相が参拝をやめるしかない、すべて解決するには、まだ何十年もかかるというもので、“もう少し何かないのかな” と思いました。

本書はまったく逆です。分祀などとんでもないという立場です。こちらも京都大学の中西輝政教授が、「一級の資料的価値のある」 と述べたように、調査はものすごく綿密です。「“凛として死んだBC級戦犯の「遺言」” という副題からもわかるように、B級、C級戦犯とされた人々の記録をもとに、裁判の不当性を訴えたものです。

例えば、ワールドカップで負けると、『A級戦犯は○○だ 』 というような言い方をされるため、誤解している人が多いのですが、A・B・C級というのは罪の重さではなく、種類の違いです。ですから、A級で釈放された人もいれば、B・C級で死刑になった人もいるわけです。(人違いで死刑になってしまった人までいるそうです)

一応、A級が政治指導者、B級が軍部の指導者、C級は犯罪の実行者ということになっていますが、本書によれば、これすらかなり曖昧だということです。日本人を裁いたのは、アメリカ軍、イギリス軍、フランス軍、フィリピン軍、中国(国民政府)軍、オランダ軍、さらに記録が正確ではないのですが、ソ連、中国共産党の対日戦犯裁判もありました。裁判地も数十に及びます。

本書は死刑約千人を含め、裁かれた5千を超える人々の中から、本間雅晴中将と山下奉文中将、後藤大作大尉などを詳しく取り上げます。遺書なども紹介されますが、自らの命を惜しむのではなく、『戦争犯罪人』 の烙印を押されることの無念さがにじみ出ています。残される家族はもちろん、日本の将来を心配しているわけです。

実際に戦犯とされてしまった人々のその後の生活は悲惨だったようです。就職を拒否されたり、婚約解消、村八分などなど…。当時、これらの裁判に批判的な声はアメリカ内部にも相当あったにもかかわらず、それが報道されず、現在まで戦犯として扱われている人々に対する無念さが筆者から感じられます。
         
明らかに不備な裁判で、自分が無実だと主張しながらも、死んでいく姿は、涙を誘います。筆者は、自虐史観を痛烈に批判していますが、では日本国内の戦争責任の所在は?ということになると、触れられていません。そこを書いていただきたかったと思います。


http://tokkun.net/jump.htm


『南十字星に抱かれて』 福冨健一
講談社:270P:1600円



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南十字星に抱かれて―凛として死んだBC級戦犯の「遺言」

講談社

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